昆虫食 ~勝手に未来の料理界を予想するシリーズ1~

最新調理・次世代料理 ~勝手に未来を予想するシリーズ~

と題しまして、『昆虫食』についてお話します。

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分子ガストロノミーの次の料理

科学と料理の融合で代表されるガストロノミーですが、ガストロノミーとはざっくりいうと、料理を料理だけとしてとらえるのではなく、アートや化学・科学、文化や哲学、心理学、数字などとも関わりがあります。

もちろん、このガストロノミーという概念は受け継がれたうえで、今後の料理も発展していくと思いますが、それも踏まえ、近未来にどのような料理が流行ってくるかを考えてみます。

液体窒素を使ったり、魚のレントゲン写真を撮って、骨の構造を研究したり、土のスープを作ったりとさまざまな料理が生まれていきます。

その中でも、近い将来、ある程度普及するかもしれない食材に“虫”の存在があります。つまり昆虫のことです。

多くの人は、昆虫料理に抵抗はあるでしょうが、東南アジアや中南米ではバッタや芋虫、蟻など今でも当たり前のように食されています。

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日本でも、大正時代には、イナゴやハチノコ、トンボ、セミなどが食べられていました。

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そして昆虫食は、実は、かなり古い歴史があります。

昆虫食(Entomophagy)

約8000年前からあるといわれる昆虫食。そんな前から、人は昆虫を食べていたのです。

蜂を採っている記録があったり、紀元前4世紀には古代ギリシアの哲学者のアリストテレスが、セミの食に関する記述を残したりしています。*セミの幼虫が孵化する前が一番おいしい・交尾前ならオス、交尾後なら卵のあるメスなどが書かれていた。

このように、人間の歴史でも最も古いのが昆虫食とも言えます。

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さらには、2050年には人口増加で世界人口が95億人以上になると予想され、そのことから、食糧難になり、今食べているものが、当たり前のように食べられなくなり、昆虫も普通に食事として出てくる時代がくるのかもしれません。

と言うのも、昆虫は育てるのにもコストが安く済み、栄養価も高く、タンパク質も多く含んでいるため、地球の環境にも身体にも良いのです。ちなみに食用昆虫は1900種類以上あります。

主な調理法は、揚げたり、炒めたり、茹でたり、モノによっては、かなり美味しい昆虫もあります。例えば、

  • タイワンタガメ(洋ナシの香り)
  • サクラケムシ(桜の香り)
  • カイコの幼虫(枝豆)
  • シロスジカミキリの幼虫(大トロ)
  • フタホシコオロギ(カニ味噌)
  • オオスズメバチの前蛹(フグの白子)

のような味がするらしいです、、、

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ただ、どうしても見た目が気持ち悪いので、今後、調理法や仕込みの段階で、いかに美味しそうに見せるかがポイントになってくるかとも思えます。

例えばセミであればそのまま素揚げなどではなく、魚のように、部位別に切り分けたり、細かくすることで、見た目の問題は回避できると思います。

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ただネーミングで昆虫名が出ると、それだけで嫌な人も出てくると思うので、新たにゲテモノとしてのジャンルではない、昆虫料理のそれぞれの名前を考えた方が良いかと思います。

何はともあれ、昆虫食の時代がいつか訪れるかもしれませんので、その時に備えて心の準備はしておいたほうが良いかもしれません。