コンフォートゾーンから抜け出した時に起こる引き戻し現象

人は、自分のテリトリーの中で生活することに安心感を覚え、ずっとその中で生活したいと感じています。

仕事や人間関係、彼氏彼女や夫婦・家族関係、趣味など、どんな出来事でも、自分の想像できる範囲内、または許容量の中で物事を解決しようとします。でも、本当に自分の殻を破って、一回り大きく成長するためには、

今までの自分のコンフォートゾーン(居心地の良い場所)から抜け出さなくてはなりません。

当たり前ですが、 いままでの自分の行動と違うことをするということは、かなりのストレスがかかりますし、体力的にも精神的にも疲れます。

さらには、周りの人からあなたを元に戻そうとする“引き戻し”現象が始まります。それら試練を乗り越えると、達成感や充実感と共に、成長した自分を実感できるのですが、多くの人は、もとのコンフォートゾーンに戻ります。

この“コンフォートゾーン”“引き戻し現象”の理論を何となくでも頭でわかっていると、あなたは、いざという時にうまく対応することができるでしょう。

今回は、その事例を一つ挙げます。私の実体験です。

つい先日、オーストラリアのシドニーにて、World Rice Festivalという世界のお米エキスポに日本代表として日本のお米の素晴らしさを世界に広める活動をしてきました。開催は10月7日、8日の二日間でしたが、来場者は2万人を見込むとても大きなイベントでした。

そのブースで日本のお米を使って、焼きおにぎりや和牛肉巻きおにぎり、手毬寿司などを販売したのですが、それとは別で、会場の大きなステージで料理のデモンストレーションもしました。

このイベントの話を頂いたのが、1カ月前の9月上旬。チームメンバーはみんなそれぞれの分野で活躍するプロフェッショナル。自分のビジネスやフルタイムの仕事の合間をぬってのミーティングや準備作業で、あっと言う間に時間は過ぎていきます。

実際、主要メンバーは私を含めた3人で進めていったのですが、おおきなイベントでの出店やデモンストレーションは誰もが初体験で、みんな、このイベントがうまくいくのか不安を持ちながらも全力で取り組んでいました。

これは、まさに私たちにとって“コンフォートゾーン外”の出来事であり、いままでのルーティーンで過ごしてきた平和な日常とは違って、当日までの1か月は忙しい毎日を送っていました。

自分の殻を破るためにすること

コンフォートゾーンを抜け出し、次に進んで成長するための第一歩として、私が行ったのは、 必要なものと必要のないものの振り分けです。私にとって、フルタイムの料理の仕事はどうしても必要なものとなります。

その料理の仕事をおろそかにして、目の前のお客さんに迷惑が掛かっては元も子もありません。ですので、この仕事は必要なこととして置いておきました。しかし、その他の普段の生活で、必要だったこと。

例えば、ネットビジネスでのメールマガジンやブログの更新、パートナーや友達との時間も最小限にし、家の掃除なども必要最低限の範囲でやるようにして、 イベントに必要なことだけにフォーカスしていきました。

というのも、デモンストレーションは日本語ではなく英語での解説でもあるため、しかもそんな大勢の観衆の前でしゃべることなんて人生で一度も経験したことがないので、毎日が緊張と不安の連続です。セリフも丸暗記するために、空いた時間は暗記に費やしました。その中でも、私は料理系担当だったため、食材の仕入れや仕込み、調理機器のオーガナイズなどもやっていきます。

他2人のチームメンバーもそれぞれ、協賛のためのレポートを作ったり、マーケティングや販促、プレスリリース、POP作成や企画やプレゼンのまとめなど、イベントを最大限に盛り上げるために動いてくれています。

みんながみんな、普段の居心地の良い環境から抜け出して、頑張っていこうとコンフォートゾーンを飛び出して行動していると、次に必ず訪れるのは、

周りの人からの“引き戻し”現象

いつも仲良くしていた友達からは、「最近飲みに誘っても来てくれないやん、どうして?」などの誘惑があったり、彼女からは、「お互いせっかく一緒に過ごせる時間を削ってまで、なんでそんなイベントの仕事に打ち込むの?やりすぎじゃない?」

職場の人からは、「そんな疲れた状態で、本業に支障があったら困るから、断ったら?」みたいなことを言われます。

それはなぜかというと、周りのみんなは、普段と違った行動を起こす相手(私)を見て、自分(友達や職場の人、家族、恋人など)の持つコンフォートゾーン以外に飛び出してしまう行動をされるため、

「もう二度と友達として戻ってこなくなるんじゃないか?」

「2人の時間が無くなって、別れてしまうのではないか?」

などと不安に思います。

さらに言うと、それぞれ誰もが自分のコンフォートゾーン内に仲間を居させておきたいために、なんとかして引き戻そうとしてきます。(意識的に無意識的に両方で)

ただし、そこでせっかく殻を破ろうとしているのに、「こんな大変な思いをするより、前の楽しかった環境に戻ろう」と言って、やろうとしていたことを止めてしまうと、また一からやり直しです。

試練を乗り越える

コンフォートゾーンを抜け出し、成長するには必ず試練が与えられます。自分が想像した通りに物事が進むのは、100%ありません。もし100%予想通りに物事が進むのであれば、それは自分のコンフォートゾーンを抜け出していない証拠でもあります。神様は私たちが乗り越えられる試練しか与えません。

私の場合も、ここ1カ月は、さまざまな面において、人生でも珍しいくらい、精神的に浮き沈みの激しい時期でした。

「ぜったいうまくいくぞ!みんなが良い方向へ向かっているぞ」と思った矢先に、全てが最悪のシナリオとなってしまったり、業者にお願いしていたものが、イベント直前になって配達できなくなって、走り回ったり。よくよく考えたら、自分の小さなミスでもあるのですが、予期しない出来事が次々に起こり、精神的に落ち込み、全く何もできなくなってしまう一日もありました。

本気で泣きそうになる時もありました。でも、そこでくじけて諦めてしまったらだめです。

そんなときは、諦めずに仲間を信頼して、思い切って相談したり、お願いしてみたら、意外に最後の最後には結果オーライとなります。

本気で「天から神様が見ているんではないか」と思うくらい、前日の夜になって、必要不可欠だったものが手に入ったりすることがありました。

さらには、イベント当日。マーケットはほぼ素人集団の私たちは、準備も万全でない状態で、デモンストレーションは始まり、スタッフも足りなくて、オペレーションもバタバタで、しっちゃかめっちゃかな状態で必死に乗り越えていきましたが、その結果、他のブースより飛びぬけて人気があって、昼夜行列が絶えず、そのフェスティバルでは一番人気でした。

当初用意していたお米も1日目でほぼ使い切り、2日目には出すものが無くて、買い足すほどの繁盛ぶりでした。

準備しているときは、「永遠にこのイベントがやってこないのではないのか」と思うくらい、色々なことに追われて、常に緊張感マックスで気を張っていました。

そんな気持ちで迎えた2日間。

朝から晩まで動き続け、最後の満足感・達成感と共にみんなで過ごしたあの瞬間は、私の人生で最高な思い出として残りました。また、多くの友達・知人も訪れてきてくれて、本当に嬉しかったです。

多くの人が応援してくれて、本当にたくさんの人に支えられて大成功を収めたWorld Rice Festival

チームの誰一人として欠けては成し遂げられなかったこのイベント。

素晴らしい仲間に出会えて、一緒に時間を共有できたことは、私をさらに一段成長させるとともに、これからのさらなる可能性を秘めていることを感じずにはいられない大事な出来事でした。

一度コンフォートゾーンを抜け出してしまえば、さらに大きな枠の中で、もっと多くの人を巻き込んでいくことができます。本当に、関わってくれたみんなに感謝!!

あなたも、今いる居心地の良い場所=コンフォートゾーンから抜け出して、私の見たような、素晴らしい感動の世界を見てくれることを願っています。

ちょっとした勇気と行動力と勢い(笑)で、本当に人生って変わるんだなと感じた出来事でした。