少し前の記事に『和包丁で切る時に意識すること ~表と裏~』http://wp.me/p50ahn-12a で、包丁の陰陽についてお話しましたが、今回はもう少し具体的に説明したいと思います。陰陽五行と風水は密接に関係しています。

日本料理には、五味、五色、五法があり、 それぞれ、

五味

甘・鹹(かん→塩辛い)・辛・酸・苦

五色

赤・黄・青・白・黒

五法

生・焼・煮・蒸・揚

となります。これらは、日本独特で、日本と言う大陸の影響が強いと言われています。

包丁と料理の陰陽 具体例

包丁の右側(研いでいる面)は陽、左側(まっすぐ平らな面)は陰とされています。

陽は、、、日・丸・浅・海魚・春・南・昼・男・奇数、、、

陰は、、、月・四角・深・川魚・秋・北・夜・女・偶数、、、

となり、包丁で切った食材の面なども、陰と陽が使われます。ちなみに包丁の陽の面を“表包丁”、 陰の面を“裏包丁”と呼ばれます。、、、では想像してみてください。

片刃の和包丁で、大根のかつらむき、里芋や蕪などを剥いた場合、包丁の陽の部分(斜めになっている右側)が食材に触れています。つまり丸くなるものは陽となります。

逆に、 サイコロ状に食材を切る場合、包丁の陰(平らな左側)が食材に触れるため、四角い形のものは陰となります。

ただ、ここで面取りなどをすると、今度はまた包丁の陽の部分が一部食材に触れることになり、その食材の形自体は、陰陽のバランスが取れた状態となります。(煮崩れを防ぐという意味合いが一般的ですが、このような見方もできるわけです)

魚にも海と川とで陰と陽があり、

  • 海魚=陽
  • 川魚=陰

なのですが、その中でもランクがあり、

  • 鯨(クジラ)は海川全ての魚の中で最上位
  • 川魚の鯉(こい)は“鯛”より上位
  • 鯛(たい)は、海魚の上位

など決まりもあります。さらには、食材の陰陽が包丁によって変わるだけでなく、 盛り付けによってもバランスが大事になってきます。

例えば、 陰の面で切った“薄造り”の刺身は、陽である丸い器に盛り付けたり、陽の面で切った、“平造り”は四角い器に盛り付けたり、陰陽で見るバランスを重視した盛り付け方もできます。

もちろん懐石(会席)などコース料理で、“陽の強い料理、陰の強い料理などを交互に出していく”というようなバランスの取り方もあります。

ちなみに「左右どちらが陰なのか陽なのか?」という議論がありますが、一応日本では左上位とされていますが、世界的にみると右が上位の場合が多いです。この考え方は、どちらが正しいというのはなく、陰陽説でも、右が陰といわれる場合もあれば、陽と言う人もいます。

流派によっての違いなどもありますし、日本でも関西と関東でもひな人形のお姫様が右と左で違ったりと、実は陰陽と左右については、かなりややこしいのです。

なので、この部分を話すと長くなるので割愛しますが、解釈として、右か左かというのは、その人自身の立っている位置にも関係してくるもので、一般的には北の方角を向いて、東が右、西が左と解釈します。

例えば、天皇陛下、皇帝、皇后、大臣などの立っている位置は、南を向いているため、

今度は逆の東が左側、西が右側となるので、「どちらもある」と考えて、あとは『郷に入れば郷に従え』の精神で、その場所や環境に合わせて適用するのが良いと私的には思います。

以上、このような陰陽五行を意識して料理を作ってみると新しい発見があるかもしれません。