消化の良い食べ物や食事法 ~柔らかい料理をつくろう~

高齢者や歯の治療中で、歯が無い方や、矯正をしていて痛い時など、食事をする際に歯茎でも食べられる料理噛めない時、飲み込めない場合の食事についてお話しします。

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とはいっても、そもそもの話、お年寄りで「食べにくいから」とか、若者でも「固いものは苦手だから」と言う理由で食事で柔らかい料理ばかり食べるのはよくありません。

一時期、ハンバーガーの食べ過ぎで若者が固いものが食べられない、顎を使わないので、骨格が変わってきているというニュースがありましたが、食べ物が柔らかい分、顔のあごの形はすらっとするかもしれませんが、健康上はよくありません。

あごを使わないと、どんどん顎の力が弱ってきて、色々な食べ物を食べられなくなります。それに、歯を使わないので唾液や消化液の分泌がされず、身体の中に消化され吸収されにくくなります。

歯でかむ刺激によって、脳も活性化されるため、若者と言わず、高齢者でも柔らかい食事ばかりとるのはよくないのです。

ただ、咀嚼(そしゃく)に問題がある場合、歯で噛み砕くこと自体が難しい場合もあるので、その場合の料理の対処法について、ポイントがあります。

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1:とろみをつける

煮物を中心に食事を構成し、素材自体のとろみや、片栗粉、キサンタンガムなどの増粘剤、生クリームなどの油脂成分を混ぜることにより、喉で飲みこみやすくなります。ゼラチンや寒天なども使ってもいいでしょう。

ポイントは、あまり滑りが良すぎる(トロトロ)だと、誤嚥(ごえん)の原因となりますので、とろみは少し固めにつけると良いでしょう。

お茶やみそ汁などもサラサラした飲み物は、むせやすいのでとろみをつけるといいです。

2:飲み込みにくい食品を避ける

避けた方が良い食品1

口の中でバラバラになるような食品はなるべく料理に組み込まないことです。例えば、こんにゃくやレンコンなど、固まりにならない食べ物は喉に通すのが困難になります。

対処法としては、ミキサー(フードプロセッサー)にかけて、細かくすることで食べやすくすることが可能になる食事もあります。

避けた方が良い食品2

もうすでにかなりの粘性が付いているものも、避けましょう。

例えば、お餅、和菓子系の団子などや、口に張り付きやすい海苔、わかめ、ガムやキャラメル系などが挙げられます。

避けた方が良い食品3

パサパサの食品。パンやカステラ、ポテトチップスなども含め水分が少なく、口の中で唾液と混じり、団子のような粘性の高いかたまりになる食事も避けましょう。

避けた方が良い食品4

酸味がキツイ料理、酢の物など、酸味が強いとむせやすいので注意が必要です。さらに酢の物の組み合わせでタコやイカ、わかめなどを使うのも気を付けてください。

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自分に合った食事をする

果物などの柔らかい食べ物を食べたり、とろみのある食事で、どの固さなら大丈夫なのかをチェックし、その固さを基準に料理の構成をしていけば良いかと思います。

ペーストにしたり、煮魚、蒸し物(茶碗蒸し)、ヨーグルト、シチューやクリームスープ、豆腐や味噌を使う。野菜ジュース、果物、お粥などや良質の油(ゴマ油、0オリーブ油やココナッツオイル)など、なるべくたくさんの栄養素を摂取できるような食事を心がけてください。

あと、柔ら過ぎて歯を使わないと、唾液が分泌せず、お粥などは飲みこんでいると、逆に消化に悪いと言われます。お粥でも、しっかり噛んで食べることや、梅干しと一緒に食べて、唾液の分泌を多くしたりと工夫してください。

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最後にもう一つ、調理のポイントですが、歯や歯茎を使えるのであれば、調理する野菜に“隠し包丁”を入れましょう。

私が働いていた職場では、高齢者の方が多かったので、ある程度の硬さのある食材ほとんどに隠し包丁を入れていました。

隠し包丁とは、見た目や箸で持った感じでは、普通の料理に見えるけど、口に含んで、歯で噛み砕こうとしたら、サクッとしたとっても柔らかい食感にさせる包丁技術です。食材になるべく細かく、切り離さないように、切り込みを入れます。

そうすると、料理が断然食べやすくなります。

お刺身でも、筋が入っていたり、少し硬めの魚や、厚みのある場合は、切り込みを入れたり、小さく切ったり、薄く切ったりと対処します。

以上、歯の弱い方や高齢者の方のための食事のアドバイスでした。