海老(えび)の筋の場所、のばし方

海老の天ぷらを、丸めずにまっすぐ上げるためには「筋切り」をしなければいけません。

天ぷら屋のエビはまっすぐで、食べるとプリッとしていて、歯切れもよく食べやすいですよね?海老は筋切りをしないと、身は丸まり、筋が硬くて噛み切れない天ぷらになってしまいます。

筋切り技1

「海老の筋切りは腹の間接の部分に包丁を入れる」

えびに火を通した時に曲がるか曲がらないか?その差は、海老の腹側に切り込みを入れるか入れないかによります。

ただ、やみくもにエビの腹に数か所切り込みを入れて、伸ばしていませんか?

経験を積めば、誰でも簡単にできるようになりますが、ほとんどの人は、

エビの筋はどこなのか?どれだけ包丁を入れるのか?などのことを詳しく理解せずただ教えられたとおりに筋きりをしているように思います。

試しに先輩に聞いてみてください。どこが筋でどのように包丁を入れればいいのか?なぜそうするのかも含めて、、、答えられれば、その料理人はすばらしいです。

さて、筋きりの答えですが、”海老をつぶして伸ばす”といっても、腹側であればどこでも切り込みを入れてしまっては、海老特有のプリプリ感がなくなってしまいます。

包丁を入れすぎたり、場所が違うと、ただの軟らかい海老になります。切るポイントは、腹側の筋の部分のみ。

この写真は車海老をボイルしたものですが、色の対比でわかりやすいので載せました。ご覧のとおり背側から見て赤い色の太いラインがどんどん細くなり、おなかまで続いています。

その先が筋の場所です。

わかりますか?おなかに頭から尾まで一直線に赤い細い線が入ってますよね、、、そのラインがところどころ見えにくくなったり切れています。その部分がえびの筋です。

活け(生)の車海老で見てみると背に太い赤黒いラインがいくつか入っていますね。その延長上の腹側が筋ということになります。そこに3分の1ほどの深さで切り込みを入れます。そのほかの部分は切ってはいけません。

実際に見てみるとわかりやすいと思います。

殻をむいた海老の胴は皮膜でおおわれていて、腹側から見ると節と節の間のへこんでいるところに筋が寄っているのがわかりますか?

そこに切り込みを入れると、加熱しても身が縮まって硬くなりません。天ぷら以外の用途や、天ぷら屋さんのようにまっすぐの状態にしなくて良いのであれば、ここまででOKです。

しかし、天ぷら専門店で出しているようなまっすぐな状態にする時には、さらに胴全体を指で背中側から押しつぶすか包丁の腹で叩き延ばします。

私は、包丁よりも手でつぶす方をお勧めします。なぜなら包丁は力加減が難しいのと、沢山仕込むのには向いてないと思いますし、なにより雑っぽく汚らしい感じがします。

その後、衣をつけて揚げると、天ぷら屋さんの海老天と同じようにまっすぐに揚げられます。

 

ちなみに冷凍のむき海老は、すでに丸まっていて、筋の場所はどこにあるかわかりづらいですし、切り込みを入れ伸ばすのも、やりにくいかもしれません。

筋切り技2

その他の海老の伸ばし方で昔からある技法で今はほとんどやっている人やできる人は見かけませんが、これは、包丁で筋きりというものをしません

「指」だけを使って海老を伸(の)す方法です。

理由は、海老を噛んだ時の食感が悪くなる為です。噛んだ時に海老の断面が潰れずに、プリッとした食感がのこります。

筋切り技3

さらにもう一つの方法で、活け、もしくは冷凍の殻つきのエビならば、腹側に切り込みを入れるのではなく、”両サイドから切り込みを入れ”指でのばさなくてもまっすぐに揚げることができる方法もあります。

 

料理というものは感覚で仕事をしている場合も多いため、言葉ではなかなか伝えきれない部分もありますが、このように食材を研究していけば、いつかすんなり理解できる時が訪れるかもしれません。