器の正面・方向・置き方&懐紙の折り方や向きのルール

日本料理の器の向きについては、結構前の記事で「木目の方向はどちらか?」http://worldchefsbible.com/?p=613

っていう疑問でも詳しく書きましたが、調べれば調べるほど混乱してきます( ゚Д゚)

器のルール

色、形、模様など変化に富んだ和食器は、正面がわかりにくいものが多いです。結局は、何が正しいか?というより、あなた自身が何を考えて器を使っているか?っていく結論にたどり着く気がします。

その何を考えて?ですが、、、例えば

  • 使う器が美しく見えるように置けばよい。
  • 絵柄や他の器とのバランスをみながら落ち着く形に向けるとよい。
  • 安全性
  • 歴史
  • お茶の作法・流派
  • 作る工程から判断
  • 作者のサインの向き
  • 神様に供える料理の時、自分が食べるとき、お客さんが食べるとき

このように色々な視点で考えた場合、必ずしもこれが正しいということがはっきり言えない場合もあり、難しいものがあります。(例えば3脚の器の場合も1本脚が手前という考えもあれば、2本脚が手前という考えもあります。これについては後述してます)

一応、一般的な(私視点の)見解を述べていますが、結局はあなたの考え方で変わってきます。その所、しっかりと勉強し、基本(器の知識や安全性)を押さえたうえでの器の向きを決めていただけたらと思います。

今回の記事はわかりやすいように写真ばかりです。

お盆、曲げ物

周辺に綴じ目がある場合 丸盆は綴じ目が前、角盆は向こう側。*「丸前角向(まるまえかくむこう)」と覚えましょう!

綴じ目のない場合 平たい板の木目が横になるようにする。木目の細かいほうが前、粗いほうが向こう側です。

生地板

板目を横に、上と同じ。

三宝

元々は神仏のお供え用であるので、神仏の方が上座正面です。

足の部分は見て格好の良いように、横と人間側に飾り穴があります。これをお客さんに使う場合、足の穴が四方に空いている物を使うか、足を付け替えて使う。

*三方向に穴があるので三方、穴が宝珠形になっているので三宝と名付けられています。

ちなみに宝珠形というのは、

  • 茶道具の香合

  • 仏壇によくある舎利入れ

  • お寺のてっぺんの玉ねぎみたいなの

これを宝珠形と言います。

蒔絵などのある場合は、正面が分かりやすいですが、でない場合は、生地木目を見て横になるようにして使う。(合成樹脂で作っている場合は分からない。)

皿、鉢

絵のある場合 絵に従って正面が決まります。絵の無い場合 何か変化のある方を正面にする。また、器の下、高台脇、中に落款(サインのこと)があれば、文字下を正面にして器を横回転させた方向が正面とする場合と、器を前後に回転させて正面になる場合の2種類があります。

これは、作者によって異なる(分かりにくい、、、(+o+))

三本足(三脚)の器

手前が一本で、向こう側が二本。という人は多いが、理由はなぜでしょう?

私は手前が二本で、向こう側が一本で盛り付けます。

理由は、仏壇や掛け軸の前に置いてある”香炉”。この香炉は3本足が多いのですが、置くときは上座(掛け軸)が二本で、人間が見るほう(下座)が一本です。つまり、お客さんの方向が2本足手前になるってこと。

あと安全性、手前が一本だったら、手前右(または左)に重さが加わった場合、転げやすい。ですが、作者が反対に作っている場合がある。有名な作者のものであれば、間違いも正しくなります。よけい混乱する!(゜レ゜)

ちょっとここで、香炉について説明します。香炉は、大きく重心移動しないので、3本足が多いのですが、この写真を見てください。

これで、なぜ三脚の器は、置き方を「1本脚が前!」っていう人と「2本足が前!」って言う人に分かれるかの謎が解けます。

このように、香炉は一般的に人間側から見る方が正面として置かれています。ですので、「一本足が前」という人が多いのはうなずけます。なぜなら、明らかにこの写真の場合は後ろが正面だったら、見た目がおかしいからです。しかし、見た目で正面が分からない場合、「2本足が前」という人の主張もうなずけます。

なぜなら、先ほど説明したとおり、上座(仏壇や掛け軸の方向=仏・神様)の方向が2本足ということは、お客さんに出すときに1本脚を正面として出した場合、お客さんの面を下座ととらえることになってしまうからです。

お分かりいただけましたか?このような理由により、意見の違いが出てくるのだと思います。

ちなみに、仏壇における、一本足が手前(人間側)の理由は、お香の香りが拝む人や家中に隅々まで行き渡らせることから、仏さまの慈悲を表しているといわれるもので、仏さまの慈悲に包まれることで、日々の煩悩や汚れた日常生活を清めていただけるのだそうです。

五角形・六角形・八角形の器

片口

口の方が左側

魚の皿

頭を左、尾を右に

葉っぱの形の皿

とんがり(葉っぱの先)を左、、、と思ってましたが逆に右で盛り付けをしているベテラン料理人もいることが発覚!!(・へ・)ということで、木の葉型の器について検証した記事を書きましたのでこちらをご覧ください。

http://worldchefsbible.com/?p=2097

割山椒

中の料理が見えるように、切り込みを手前

角切り

切れている方を右上

 敷紙(かいし)・天ぷら紙

料理やお菓子など扱うとき、敷き紙が必要なときがあります。または天ぷらの下に敷く天紙なども含め、折り方しだいで吉事、仏事と昔の人は決めてきました。

これは日本人として必ず覚えましょう!下の絵は、上が吉事で、下が仏事です。