3月の味暦 ~仲春の旬暦・食材・異称・行事・風情・語源・由来~

3月の味暦

仲春の味

梅が散り、桃の節句が近くなると春もようやく訪れたと思わせる陽気が少しずつ感じられます。

3月の雛節句(ひなまつり)は、日本人女性の心に幼い日の楽しい想い出を思い起こさせる節会で、白酒を満たした銚子や瓶子に、菜の花と桃の枝とを結び付け雛壇に供えておいて、内祝いの宴を開き、盃に白酒を注ぎ、小振りに可愛く作ったご馳走をいただく楽しい行事です。

仲春とは、陰暦の2月のことで、陽暦では3月になります。

3月6日ごろに24節季の一つである啓蟄があり、雛の飾りを片付け箱に納める頃には「熱さ、寒さも彼岸まで、、、」の言葉のある春分の日を迎え、陽気もよくなりますね。そして、4月5日ごろに24節季の清明が訪れますが、この啓蟄から清明の前日までが「仲春の期間」とされています。

3月は貝の一番おいしい時期で、多くの貝は5月ごろの産卵期を控えて身がよく肥えます。

アサリ・シジミ・ハマグリはもとより、赤貝・ミルガイ・トリガイ・トコブシ・マテ貝など、雛の節句に差し上げるご馳走には、色々な貝が活躍するのも古来からの約束で、中でも赤貝と分葱の芥子酢味噌和えは、欠かすことのできない雛祭りのご馳走です。

また、ハマグリもこの時期の花形で、蒸し蛤、焼き蛤、蛤吸物、蛤御飯、蛤鍋などにします。

ハマグリは優れたうま味を持つので余分な調味を必要とせず、木の芽や胡椒、柚子や山椒などの香味と柑橘の酸味を添えるだけで味が引き立つのが特徴です。なお、貝類には芥子酢味噌和えや、木の芽味噌和え、胡麻味噌和えなどもよく合います。

他の食材としては、海の幸に、イカ、サワラ、アイナメ、カレイ、ワカメなどが優れ、野山の幸には、わらび、つくし、ふき、ちしゃ、よめな、あさつき、春菊、木の芽など色々な若芽のほろ苦い味を楽しめるのも仲春のこの時期ならではのことです。

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仲春の旬暦

旬の食材

魚貝類・肉類

あいなめ

赤貝

あこう

アマダイ

飯蛸

いかなご

イセエビ

いなだ

オコゼ

牡蠣

かたくちイワシ

きす

こち

車海老

このこ

このわた

こもちはぜ

さざえ

さより

さわら

しゃこ

シラウオ

たいらがい

トコブシ

トリガイ

生ウニ

にしん

ばいがい

はまぐり

はるさば

ヒシガニ

ホタルイカ

まいか

ミルガイ

松葉ガニ

マス

目板カレイ

めばる

紋甲いか

よこわマグロ

いさざ

しじみ

すっぽん

子持ちブナ

ひうお(氷魚)

もろこ

わかあゆ

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野菜・果物類

あさつき

うど

海老芋

豌豆

おごのり

大葉ユリ根

からしな

木の芽

くわい

小かぶら

小松菜

里芋

春菊

松露

新キャベツ

新ゴボウ

せり

ぜんまい

だいこん

たぜり

たんぽぽ

ちしゃじく

つくし

菜の花

のびる

浜防風

ブロッコリー

はるこしいたけ(春子椎茸)

ふき

ほうれん草

まつな

三つ葉

芽キャベツ

めいも

めねぎ

やつがしら

わけぎ

わらび

よめな

もずく

わかめ

いちご

ざぼん

三宝柑

はっさくかん

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3月の異称、別名、呼び方

弥生

華月(はなづき)

花見月(はなみづき)

桜月(さくらづき)

夢見月(ゆめみづき)

春惜月(しゅんせきづき)

季春(きしゅん)

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3月の行事

3/1~14 東大寺二月堂修二会

3/12 二月堂お水取り

3/1~ 全国緑化運動

3/3 雛祭り(上巳・桃の節句)

桃の節句は「上巳(じょうし・じょうみ)の節供」とも呼びます。起源は古来中国の上巳節で。上巳とは、3月上旬の巳の日という意味。

中国では、上巳の日に、川で身を清め、不浄を祓(はら)った後に宴を催す習慣があり、これが平安時代日本に伝わり、宮中の「人形遊び」と結びつき「流し雛」へと発展したと言われています。

ひな祭りは、中国の上巳の祓いが伝わる以前から、日本の貴族社会では「雛遊び(ひいなあそび)」というものがあり、平安の中期に盛んに行われた大人の遊びだったが、次第に子供たちに広まりました。

段を組んだり豪華な飾りをし始めたのは江戸時代に入ってからで、江戸時代の初期に、京都の御所で盛大な「ひなまつり」が催されて以降、江戸の武家社会にも広まり、庶民の間にも定着していったとされています。

ひなまつりには、ひな人形を飾り、白酒・菱餅・あられ・桃の花等を供えて祀(まつ)ります。ひなまつりの料理は、ちらし寿司と蛤のお吸い物で、蛤は女の子の美徳と貞節を意味するとされ、ちらし寿司の具である蓮(れんこん)やエビも縁起がいいため使われます。

3/6 啓蟄(けいちつ)

3月6日頃および春分までの期間。太陽黄径345度。雨水から数えて15日目頃。啓は「ひらく」、蟄(ちつ)は「土中で冬ごもりしている虫」の意味で、大地が暖まり冬眠していた虫が、春の訪れを感じ、穴から出てくる頃を意味しています。

菰(こも)はずし を啓蟄の恒例行事にしているところが多いです。*菰巻き マツカレハなどの害虫から守るために、松の幹に藁(わら)でできた菰(こも)を巻きつけること。春になって、菰をはずすことを「菰はずし」と呼んでいる。

3/7 消防記念日

各地で卒業式

3/13 奈良春日祭(涅槃会)

3/14,15 近江八幡左義長

3/18~24 彼岸会

春分・秋分の前後3日を合わせた7日間。最初の日を「彼岸の入り」、最後の日を「彼岸明け」、真ん中にあたる春分・秋分を「彼岸の中日(ちゅうにち)」と言う。

仏教では、私たちの住む世界をこちらの岸、三途の川を挟んで、ご先祖様の霊が住む世界をあちらの岸と考えられていて、こちらの岸を「此岸(しがん)」あちらの岸を「彼岸」と言います。

この極楽浄土は西の彼方にあるとされているため、太陽が真西に沈む春分・秋分にお墓参りや先祖供養を行うようになりました。これは仏教にはな い習慣で、日本独自のもの。中日に夕陽を拝むと功徳があると言われています。

3/21 春分

3月21日頃および清明までの期間。太陽黄径0度(春分点)。啓蟄から数えて15日目頃。地球の赤道を延長した天の赤道と、太陽の通り道の黄道がちょうど交差したところが黄径0度です。

春分とは、太陽がちょうど黄径0度(春分点)に到達した瞬間のことで、太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになります。この日から夏至まで、昼がだんだん長くなり夜が短くなります。

春分は、前年の2月1日に国立天文台が官報で発表する「春分日」を基準にして決められます。春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日とされ、春分日を祝う国民の祝日です。

3/19 紀三井寺桜祭

大相撲春場所(大阪)

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3月の風情

雪間

水温む

淡雪

朧月(おぼろづき)

日永

春衣

春燈

春眠

耕(たがえし)

東風

貝寄風

春一番

陽炎

春日和

風光る

菜種梅雨

春の水

春雨

残雪

鶯(うぐいす)

蕨(わらび)

椿

菱餅

白酒

雛あられ

曲水

菜飯

貝殻

貝合わせ

沈丁花

嫁菜

初花