5月の味暦 ~初夏の旬暦・食材・異称・行事・風情・語源・由来~

5月の味暦

初夏の味

夏と言えばすぐに暑さが連想されますが、初夏の間はその暑さもそれほどではなく、晩春の頃に比べると、むしろ心地よい感じがします。それは日脚が長くなって日光の輝きが強くなることが原因と考えられ、食べ物も一層おいしく感じられるようになります。

初夏とは、陰暦の4月のことで、陽暦では5月になりますが、5月6日頃に24節季の一つである立夏が訪れ、新緑の若葉青葉が目にしみるようになって、この日以後は時候の挨拶も夏になります。

中旬には咲き誇る百花と共に繁茂した青草や青葉が艶やかさを増し、小鳥や虫たちの活動も活発になって陽気が天に満ち、人々の生活にとっても、この時期が一年の中で最も過ごしやすい時候といえます。そして、日毎に汗ばむようになり、夏服に衣替えした6月6日頃に24節季の芒種を迎えます。

立夏から芒種の前日までが初夏の期間となります。

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5月からはお吸い物の加減を夏向きにします。暑さに向かうに従い、人は汗ばむようになるので、徐々に醤油を少なく、塩を多く使って加減をし、醤油はその風味を添えるぐらいにすると、口当たりがよく、外気の温度にふさわしい味になるからです。

食材もこの頃には、カツオやサバを初めとして、背の青い、腹部の白い海魚が旬となり、スズキやアジ、油目、あこう、いさき等の初夏にふさわしい、さっぱりとしたうまさを秘めた魚が出回ります。

野菜も、絹さや、えんどう豆、そらまめ、三度豆の豆類、ゴボウ、新馬鈴薯、アスパラガス、新生姜などの瑞々しい食材に恵まれるので、初夏らしい美味しさを大切に料理することが必要です。

なお5月5日は端午といい、菖蒲の節句で、この行事に見立てて種々の料理が供されているが、見立てや形にこだわり過ぎて、材料の持ち味を壊すような凝った仕事をしてはいけません。いずれにしてもすっきりと「見て美しく、食べて美味しく」仕上げることが大切です。

端午(菖蒲)の節句では、古くから菖蒲の根を干して煎じたものを飲む習わしがありますが、これには強壮解毒剤としての薬効があり、料理屋ではその風習を真似て、菖蒲を酒に浸し乾杯酒として利用しています。菖蒲はその発音から武を尊ぶ“尚武(しょうぶ)”と同じなので、5月5日は男の節句ということになったのです。

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初夏の旬暦

旬の食材

魚貝類・肉類

あいなめ・あぶらめ

あじ

アナゴ

アワビ

かつお

カマス

キス

サバ

サヨリ

スズキ

たいら貝

生ウニ

ハマチ

マイワシ

マス

目板かれい

トビウオ

あまご

いわな

ドジョウ

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野菜・果物類

アスパラガス

青シソ

あしたば

ウド

えんどう

オクラ

きぬさや

木の芽

小南瓜

ささげまめ

三度豆

しのたけのこ

ジュンサイ

しろうり

しんごぼう

新生姜

千石豆

空豆

タラの芽

つるな

ナス

はちく

花山椒

花柚子

浜防風

新じゃが

ふき

めいも

らっきょう

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5月の異称、別名、呼び方

皐月

早苗月(さなえづき)

橘月(たちばなづき)

榴月(りゅうげつ)

田草月(たぐさづき)

五月雨月(さみだれづき)

蒲月(ほげつ)

「さつき」の語源は、田植えをする月であることから「早苗月(さなへつき)」と言っていたのが短くなったものとされる。また、「サ」という言葉自体に田植えの意味があるので、「さつき」だけで「田植の月」になるとする説もある。

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5月の行事

・メーデー

・八十八夜(5月2日頃。立春から数えて八十八日目)

春から夏に移る節目の日で、この日から夏の準備を始める。「夏も近づく八十八夜~」という歌もあるように、この頃から特に暖かくなってくる。

かつては八十八夜は種まきの大事な目安となっていて、「八十八」という字を組み合わせると「米」という字になることから、農業に従事する人にとっては特別重要な日とされてきました。今でも、農耕開始の到来を祝って神事が行われるところがあります。

・憲法記念日(5月3日)

大日本帝国憲法に代わって、1947年(昭和22年)に施行された日本国憲法を記念し、国の成長と発展を期するために制定された日。

・みどりの日(5月4日)

自然に親しむと共にその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ日。

・子供の日・端午(たんご)の節句・男の子の節句

本来、端午とは月の始めの午(うま)の日をいうが、旧暦5月5日(現在は新暦5月5日)を端午と言うように変わりました。古代中国では、この日を薬採りの日としていて、菖蒲(しょうぶ・あやめ)は、煎じて飲んだりして昔から薬草として使われていました。

男の子の節句とされるまでは、厄病を祓う節句で「菖蒲の節句」とも呼ばれている。

5月は悪月(あくげつ)、物忌みの月とされており、その邪気を祓うために菖蒲を浸した酒を飲んだり、蓬(よもぎ)を軒につるして粽(ちまき)を食べたりしました。

・立夏(5月6日頃および小満(しょうまん)までの期間)

穀雨から数えて15日目頃。八十八夜の3、4日後。春分と夏至のちょうど中間にあたる。暦の上での夏の始まりで、この日から立秋の前日までが夏季になる。新緑の季節で、九州では麦が穂を出し、北海道では馬鈴薯や豆の種まきが始まる。

・黄金週間

・長谷川鵜飼い開き・奈良興福寺薪能

・母の日(5月第2日曜日)

日頃の母の苦労を労い、母への感謝を表す日。

・大相撲夏場所・葵祭・神田祭・沖縄返還日

・唐招提寺団扇撒き

・小満(5月21日頃および芒種までの期間。立夏から数えて15日目頃)

陽気が良くなって、万物の成長する気が次第に長じて天地に満ち始めることから小満と言われています。ようやく暑さも加わり、麦の穂が育ち、山野の草木が実をつけ始め、紅花が盛んに咲き乱れ、梅の実がなり、西日本では、走り梅雨がみられる頃で、田植えの準備を始める頃でもあります。

・福岡筥崎宮さつき大祭・札幌ライラック祭

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5月の風情

立夏

初夏

五月晴(さつきばれ)*本来は梅雨の晴れ間のこと

五月雨(さみだれ)*梅雨の別名

夏めく

薫風

麦の秋

袷(あわせ)

端午

幟(のぼり)

武者人形

鯉幟(こいのぼり)

矢車

薬玉

ちまき

柏餅

菖蒲

しょうぶ湯

菖蒲酒

新茶

初風炉

苗売り

葵祭り

夏祭り

夏場所

麦刈り

麦打ち

麦藁(むぎわら)

麦飯

麦苗

夏籠

更衣

新緑

若葉

柿若葉

葉桜

牡丹

芍薬(しゃくやく)

卯の花

躑躅(つつじ)の花

皐月

藤の花

バラ

都忘れ

鉄線

花橘

山吹

花畑

伽羅蕗

蚕豆(そらまめ)

繭玉

時鳥(ホトトギス)

鹿の子

初鰹

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