前回、昆虫食についてお話しました。http://wp.me/p50ahn-17M
今度はまた別の角度から料理界を見てみます。
医食同源 ~勝手に未来の料理界を予想するシリーズ2~
医食同源とは、普段の食事をバランスよく、美味しい料理を食すことによって、病気を予防したり、治療するという考えのことです。この言葉は、もともと中国に古くからある薬食同源という言葉から来ています。「食(じき)は医なり」という言葉もあります。
中国では昔(3000年前の周という時代)に、食医と言う人がいました。食べ物で病気を治したり治療する医者のことです。そして当時、食医は、医者の中でも最高ランクの医者とされていました。
ちなみに当時の医者ランクはこの通り
- 食医(食べ物で治す)
- 疾医(薬を使って治す)
- 傷医(メスを使って治す)
- 獣医(獣を扱う医者)
この順番で格式が高いと言われていました。つまり、次世代の料理人像の一つとして今後確立するであろう職業は、この『食医』ではないのかと思うのです。
これは、病院で患者のための料理を作っている料理人や栄養士などのレベルではなく、病院でもトップの医者として、料理をもって病気を治す人のことです。つまり、言い換えると料理人が医学会のトップに君臨する世界がいつか訪れるかもしれないのです。
料理人と言えば、日本ではまだ、格式で言うと地位が低いイメージがありますが、それは、誰でも参入できる業界であったり、50年以上前は、学校に行くことさえできないような貧乏な世帯の人が、住み込みで働くための唯一の働き場だったりと、なんとなく格下の職業と思われるのは、そのためなのかと思います。
もうだいぶその風潮も無くなってきたのですが、それでも飲食店の場合、高校生でも「とりあえずバイトするか」程度の感覚で働くことができるので、なんとなく敷居が低い分、世間から崇められるような職業ではないことはわかります。
その分、医者と聞くと、特に日本人の性質として、制服や権威に弱いので、しかも命を扱うし、頭もよく知識豊富で
高校生がバイト感覚で「ちょっと病院でバイトしようかな」という感覚にはならないため、料理人に比べ医者はかなり、各上の職業だと思われています。
実際、職業に上も下もありませんし、行っているのは一人の人間なので、どの職種であろうが意識の高い人、低い人は存在します。ただ料理人と医者を比べると、参入障壁や、育った環境、知識の量など、どうしても医者の方が良いイメージがあります。
、、、というのが、今までの常識ですが、、、今後その時代がガラッと変わるかもしれないというのが、今回の料理人の未来予想です。今の時代、何においてもかなり選択の幅は広がっていると思います。
インターネットの普及が大きいですが、ネット上で大学の講義も受けられますし、医学の知識も身に付けられる。大学に行くための費用が無い家庭でもネットで自分の好きな分野の勉強はいくらでもできますし、コネクションを持つこともできます。つまりどのような人が現われるかと言うと、
・料理人ベースで、医学の知識を豊富に持つ食医
または
・医者ベースの、料理の知識・経験をもつ食医
が出てくるのです。料理人と医者のフュージョンです。
料理人として生きてきたが、医学にも興味があり、食で人を幸せにしたり、病気を治したいと思う人がいれば、料理の知識・スキルを生かし、医学会に参入できるかもしれませんし、
医者として生きてきたが、(例えば)薬だけでは解決できないと思って、薬膳料理、精進料理など食に興味を持って、医者の知識・経験をもって、料理人になる
という2種類の形ができるのです。そしてこれらは、『食医』と呼ばれ、「料理人+医者」を融合した職業として確立されるときがくるのではないでしょうか?
ちなみに今でも、食医の簡易バージョン
・「料理を通じて健康になりましょう」という料理人
・「まずは食生活を治しましょう」という医者
はいます。
今までの飲食店の場合は、お客様の笑顔、大切な時間など、プラスの要素を含んで体験してもらう。つまりポジティブな感情で来店するお客様がほとんどですが、(食欲を満たしたいなど、欲求を満たす系)
未来の飲食店は病院のように、
病気を治したい、身体を良くしたい、がんを治したい、そのためにあの料理屋に行こう。というような店ができてもおかしくありません。
医者の免許を持った料理人
料理と医学の知識から、最適な調理法を考えだし、さらに美味しい、健康になる料理を提供できる。言わばこの世で最強の職業が生まれる日はそう遠くないかもしれませんね。
そして私も含め、そのような分野にも目を向けられる料理人が多く出来ることを願っています。(*補足として、病気を治す、治療する際に食事内容を正すのは最重要ですが、もう一つ“意識”を変えることも食事内容を正すことと同じくらい重要なポイントなので、そこも踏まえて治療できる料理人がいると最高です)
以上、私の勝手な未来予想でしたm(__)mさらに次回は、この次の次元の料理人像についてお話します。