料理人は2つのタイプがいます。
1.家でも料理を作る
2.家では料理を作らない
私は2のタイプで、家では料理をほとんど作りません。料理人のほとんどのタイプが家では料理をしない人が多いのではないでしょうか?
料理人ではない人たちは、よくそれを疑問に思って聞いてきます。
「なんで料理できるのに家で作らないの?」
その答えをわかりやすく説明します。まず、料理人のほとんどは料理が嫌いでわざわざこの厳しい道に入る人はいません。
昔は経済的な理由、学問の知識が乏しいから、、などの理由で料理人の道しかない、、、という時代もあったかもしれませんが、今の時代、選択はたくさんあるので、料理嫌いなのに料理する人はまずいません。
では、料理が好きで料理人になったのに、なぜ家ではしないのか?その理由は明確にあります。
料理を家で作らない理由
時間がない
朝から夜遅くまで仕込みも片づけも全部が料理人としての仕事です。
特に、忙しい店や、新人見習いのころは、朝5時に起きて、夜中に帰宅。その間休憩時間はあったとしても、寝る時間は平均3~5時間。その合間を縫って、家で料理する時間はありません。
疲れている
1の理由に関係しますが、一日中働くので、たまの休みの日には、寝る。何もしない。っていうひとも多いです。または、洗濯などの家事、買い物、たまのデートなどで時間を費やします。
この2つの理由だけで、「そりゃ家で料理は無理だな、、」と思いますが、まだ時間的に余裕のある料理人もいますので、その他の理由を言ってきます。
設備が不十分
私にとっては、家で料理をしない理由ナンバー1はこれですが、料理人は、自分の包丁などの調理道具は常に仕事場にあります。ですので、わざわざ、切れない家庭用の包丁を使って、切るだけでも時間のかかることはしたくありません。
さらに、ガスなども、火力が弱かったり、電気式だったり、仕事場で同じように料理するにも倍近く時間がかかります。そして家で料理をしない人は特にそうですが、料理用に家に器具を置いてないので、「あ~これない、あれもない、、」っていうことになって、ストレスになります。
まな板やふきんも使い勝手の良いものがありません。
共有が嫌い
レストランでは、だいたい自分のポジションがあって、冷蔵庫の中身や調理器具の配置も自分のやりたいようにですが、家だと、共同で生活している場合、だいたい自分以外の誰かの方が、家にいる時間は長いので、家の調理場の優先権はその人にあります。
それが嫌です。包丁も一緒に使うなんてことはしたくないです。
冷蔵庫に何もない
家で料理しない人は、そもそも冷蔵庫に食材が入っていません。ですから料理しようと思ったとしても、買い物に出かけるところからスタートするので、さらにやる気が起きません。一人暮らしなら、特にいろいろ買っても、食材が余ってしまい、次に休みの日に料理できるのは1週間後とかになるので、食材も悪くなります。
Q:「 じゃあ、何を食べているの?」(一人暮らしの場合)
A:仕事の日は、基本”まかない”があるため食事に関しては問題ありません。朝おなかが減っていた場合はコンビニなどでパンやおにぎりなど(女性料理人はチョコなどお菓子が多いですが、、)買ったり、夜仕事が終わってからは、同じくコンビニ行ったり、家でビールを飲んだり、すごくおなかがすいていれば24時間の定食屋に行ったりします。
休みの日は、食べ歩きのため、仲間と料理の勉強のためレストランに食事に行ったり、安い定食屋でがっつり食べたり、スーパーなどでできあがった惣菜やお寿司、パン、カップラーメンなどを食べる。
店での賄いのごはんを持って帰って食べる、、、などです。
と、ここまで書いたら十分だと思いますが、逆に、家で料理をして気付いたことを少し述べます。
料理人の癖
家庭で料理するのと、職場のキッチン内で料理するのは、全然違います。キッチン台の高さから、床とか、シンク水回り、スペースなど、、、もちろんレストランはプロが使うように設計されているので、使いやすいです。
つまり、普段気付いていない料理の”くせ”に気づきます。それは体にしみこんでいるのでどこで料理をしても無意識に動いてしまいます。例えば、
水を床にばらまく。
レストランの床は、家庭と違い排水溝があったり、デッキブラシで磨くように、お風呂のタイルのような床やコンクリートになってます。普段、店で床に水がこぼれても、すぐに乾くし、気にしないのですが、その癖がでます。
思わず、ぼとぼと水を落としてしまいます。
こみ箱が小さい、出しづらい、捨てにくい
レストランのごみ箱は大きくて、常にふたが開いてます。家では、わざわざ小さい隙間にあるごみ箱に捨てるので、かなりの時間のロスになります。
ペーパーや布巾を大量に使う
レストランでは、食材の管理が家庭と違うため、衛生面などの理由により色々な種類のペーパーやふきんがあります。それを様々な用途によって使い分けるのですが、その付近やペーパーは一日でかなりの量を使います。
家で料理をしようとしたときに、その癖が残って、ついたくさんのキッチンペーパーを使ってしまったり、布巾の質が気に入らなかったりという問題が起こります。
服装
クセではないですが、お店では普通は制服に着替えて仕事をします。家では普段着で料理をするため、「料理しづらい、、」や「なんか気が引き締まらない、、」と思ってしまいます。
このような理由から、料理人は家で料理をするのが嫌いな人は多い気がします。