あなたはアンチョビを1から作ったことがありますか?「アンチョビって作れるの?」みたいに思うかもしれませんが、もちろん個人でも家庭でも作れますし、とても簡単です。
「とても簡単です」と偉そうに言いながら、私は今回作って大失敗してしまったのでその話をします。もしあなたもアンチョビを作ることがあったら、私の体験を反面教師としてお役立てください。
アンチョビとは?
英語で「anchovy」アンチョビと呼ぶと、洋風な感じがしますが、カタクチイワシを塩漬けしてオリーブオイルに漬けたものです。小さな瓶や缶に入って売られています。
日本料理ではあまり使われることはなく、よく使われるのはイタリアンのパスタとかですね。私も最近まで特に気にしていなかったのですが、たまたま魚屋さんにイワシをいただいて、今すぐに使う予定がなかったので、長期保存のきくアンチョビを作ることにしました。
そして今回はマイワシを使いました。マイワシの特徴は背に点々の斑点があるものです。でも本当はカタクチイワシを総称的にアンチョビと呼ぶそうです。
今回初めてアンチョビを作ったのですが、結論から言うと大失敗しました。
ただ単に塩漬けしてオイルに漬けるだけなのに何を失敗したのでしょうか?
それをこれから説明します。
失敗談1
塩漬けし過ぎで、ちゃんと塩抜きもせずにオイルに漬けたのでアンチョビが塩っ辛くなりました。
ただ、塩抜きで水を使うのはあまりおすすめしないので、適量の塩で漬けるのがベストです。
塩漬けする時の塩の重量は、イワシの30%前後が良いです。私は、メチャクチャたくさん使って塩で埋め尽くしてしまいました。本当は、もっと塩を少なくすると液体が出てきて、それがナンプラー(魚醤)になります。
イワシを塩漬けしたあとに出てくる液体はナンプラーとして、そして、塩漬けした塩そのものも、捨てずに鍋で乾煎りしてパラパラにするとアンチョビー塩が出来上がります。
↑こんな感じで
このお塩、かなりおすすめです。色々な料理に使うことができます。さて、ここでちょっと今回作ったアンチョビの作り方を簡単に説明すると、カタクチイワシやマイワシなど小さなイワシをさばいて、中骨を取り腹骨を取り除き、背びれなども切り取ります。
内臓は別で塩漬けして、また違った料理や珍味などに使えますが、ここでまた重大なことが発覚!
失敗談2
実は、アンチョビは内臓ごと塩漬けする方が味も香りも抜群に良いらしいことが発覚!捌かず、おろさず、内臓も取らずに塩漬けにします。*鱗はとりましょう
そうなんです!たしかに私のやり方でも発酵した香りは出ていました。
1カ月以上塩漬けしていましたが、そんなに強烈に香りを感じなかったので、「こんなもんなんだ」と思っていましたが、たしかに内臓も一緒にして、さらにもっと長期で発酵させるともっと香りが出て良いと思いました。
ただ、魚発酵臭が苦手な場合は今回の私のようなやり方でもいいでしょう。
塩漬けは1~2か月でもいいですが、半年以上漬けて放っておいても全然使えます、、、というより香りがもっと良くなります。
塩漬け後、フィレットにしていきます。内臓や皮を取って、骨から身を外します。包丁よりスプーンなどを使うと良いでしょう。または小さいナイフで。
以上の点を気を付ければもっと素晴らしいアンチョビができたと思います。
6種類のオイル漬け
今回通常のアンチョビと少し違うことをしたのが、オイルの種類を変えたことです。
どんなオイルに漬けたのかというと、
- エキストラバージンオリーブオイル(普通)
- レモンオリーブオイル
- ワサビオリーブオイル
- ブラックトリュフオイル
- ごま油
- 太白ごま油
以上の6つです。アンチョビは通常オリーブオイルを使っています。または、オリーブオイルでは冷蔵保存すると固まりやすくなるという理由から、グレープシードオイルを使う人もいます。試してないですが、ココナッツオイルは冷やすと固まるのであまり良くないかと想像されます。
、、、で、そしてオイルによるアンチョビの“良い悪い”のランクをつけようと思いましたが、それぞれに特徴があるので、判断はしにくく、料理によって使い分けるのが良いと思いました。
ということで食べてみた感想を言います。
オリーブオイル
王道ですが、オリーブオイルにもかなり違いがあるので、できればオリーブオイル自体が良質なものを使うのが良いと感じました。
今回使ったのはエキストラバージンオリーブオイルですが、スーパーで売っている一番安いものを使ったので、それがちょっと失敗かと思いました。
レモンの香りが付いたエキストラバージンオリーブオイル
想像どおりのコメントになりますが、爽やかなのでサラダなどさっぱり系の料理に合います。
ワサビエキストラバージンオリーブオイル
ワサビの辛みが強すぎて、少し食べるだけでも大変でした。合わないことはないのですが、ただただ辛い。自然のわさび辛さではないので抵抗があります。ここでもやはり、オイルの質、食材の質が大事だと実感。
トリュフオイル
最高のマリアージュ(組み合わせ)!、、、とまではいかないまでも、結構好きです。
トリュフの上品な香りがアンチョビについているので、品の良いアクセントになります。結構色々な料理に応用できそうです。
ごま油
率直な感想は、中華版アンチョビという感じです。
ごま油の香りがやはり強烈で、ほとんどの料理は、このごま油の風味とアンチョビの塩辛さに持って行かれそうです。使い方には要注意なアンチョビです。
太白ごま油
そして最後は太白(たいはく)ごま油。
わさびオリーブオイルのアンチョビは、わさびを使っているだけに若干和を感じることができましたが、例えるなら、イタリア人が作った和食のようなイメージの味です。
でもこの太白ごま油は、この6種類の中では、一番日本料理に合わせやすいと感じました。
普通に売られているアンチョビのように、オイル自体の個性は薄れますが、アンチョビ自体の素材の味を引き出してくれる和バージョンといいましょうか、日本料理の一品にちょっとアクセントとして添えてあっても、違和感なく使えると思います。
感想
以上が今回のレポートになりますが、次回やる時は、“オリーブオイルにレモンの香りがついたもの”とかのちょっと加工されたオイルを使うのではなく、何も付加されていない原形のオイルで、また他の種類で試してみたいと思います。さらに、色々なハーブ系も組み合わせてみたいですね。
よく使われるのは、オイル漬けする時に、粒黒こしょうや赤唐辛子、ハーブ系の葉(ローリエ*月桂樹の葉など)を一緒につけこんだりします
その他にも例えば、紫蘇を入れたり、山椒の実を入れたり、和のハーブを使うのも面白いかもしれません。
*注*基本アンチョビはオイルメインではなくアンチョビ自体を使いますが、オイルにもアンチョビの香りは移っているので捨てずに使いましょう。