日本語(料理・調味料)を深く調べていくと、英語(他言語)との関係が面白いことに気付きます。
ウスターソースの源泉(Source)は何?
このタイトルは、調味料の Sauce (英語では“サース”と発音)と、源泉・原因の意味を持つソース Source(英語では“ソース”と発音)をかけて言葉遊びをしています。
さて、日本料理は、日本国内だけで作られた料理というのは、案外少なく、そのほとんどが、外国の食材や調理法をまねて、日本独自のやり方に変化させて作った料理が多いです。
例えば、『天ぷら』という名前は、ポルトガル語やスペイン語から来ていると言われていますし、『ラーメン・うどん』は中国から、国民食の『カレー』もインドからですし、『とんかつ』もミラノ・ウィーンの“カツレツ”からだったりします。
このように、日本人が使っている日本語って、本当はその半分以上は外来語なのです。
例えばこの文章、
「パパとプールでスイミング」この文章に含まれる日本語はなんでしょう?
“と”と“で”だけです。それ以外は、“パパ”“プール”“スイミング” すべて英語です。
発音は置いといて、私たちが普段使う日本語はかなりたくさんの英語を取り入れています。
考え方を変えてみたら「英語が苦手」っていう日本人はあまりいないのではないかなとも思います。そして、英語に限らずですが、料理に出てくる言葉の語源を知らべると、それだけで英語が上達する可能性を秘めています。
英語と言うより、英語も含んだ「多言語」と言った方が正しいかもしれません。
タイトルにある、“ウスターソース”一つをとっても、言語を含め、さまざまな背景があります。
『ソース』(Sauce)
名前の由来はラテン語の“塩”を意味する「サルス(salsus)」に由来し、これを日本語訳すると「塩梅」にあたるのだと思われます。
Salsusのsalは、塩を意味する英語salt(ソルト)の語源です。日本には、フランス語のSauceが英語経由で入りました。
*ちなみに“源”を意味する“source”の語源は、surge(盛り上がる)⇒『大波』という所からつながり、source (湧き上がるもの)⇒『源泉』となります。
日本ではソースと言えば、ウスターソースやとんかつソースを連想するかもしれませんが、ウスターソースは明治27年ごろに日本に伝わったと言われ、当時はしょうゆ以外の調味料は何も知らない時代だったため、よそから来たソースには
「新味醤油」「洋式醤油」「洋醤」などと呼ばれて売られていました。
これは、日本のしょうゆが食卓には欠かせない調味料であったため、その使い方の習慣がソースにまで及んだためです。
ウスターソースは、串カツにもお好み焼きにも使われます。
<ウスターソース>Worcester sauce (Worcestershire sauce)は、イギリスのウースターシャー州のウースターという町で作られたソースで玉ねぎ、にんじん、トマト、セロリなど煮込んで、香草、ハーブのタイム、セージ、シナモン、コショウ。ニッケイ、そして、酢、砂糖、塩、カラメルなどを加えて6~12か月熟成させるのが正統な作り方です。
ウスターソースが輸入された当時はそのようなタイプのソースでしたが、日本人は前述したとおり、自分たちで独自に変化させて作り変える民族です。ウスターソースも日本人の嗜好に合うように新種を編み出します。
野菜に、玉ねぎ、にんにく、人参、トマト、生姜、そして、桂皮、チョウジ、コショウ、ウイキョウ、サンショウ、タイム、唐辛子など20種類の和洋中香辛料を使い
さらに、調味料には、アミノ酸液(しょうゆのようなもの)、コンブのだし汁、にぼしや鯖節の煮汁、赤糖、酢を用いて、日本人の口に合うソースを生み出します。
というように、外国の伝統的なソースでさえ、日本色に染まってしまうという現象がさまざまな料理・調味料で起こっています。このように、日本独自の言葉だと思われているものでも、実際本来は外国のものだったという料理・調味料が多くあるので面白いですね。
そもそも漢字自体、中国からですしね、、、。それを考えると、本来の日本語ってどこにあるの?って思っちゃいます。
ちなみにウスターソースによく合う、お好み焼き、たこ焼きとピザやパイなど同じ粉もの料理でも、日本はまた他国とは違った特徴を出しています。この違いについては、また次にでもお話ししたいと思います。