飲食店の棚卸しの正しい計算方法とは?

飲食店の棚卸しについて、私が知る限りでは、ほとんどの飲食店が棚卸しをしていません。棚卸をしていても、しっかりと数字をつけている店もほとんどありません。

それは、大概の場合、毎日の忙しさに追われ、できない、時間が無い、めんどくさいなどの理由もありますが、「ちゃんとした棚卸のやり方がわからない」というのも正直なところかもしれません。

コンビニのように、仕入れた食品を加工せずそのままお客様の手に渡るような場合、管理はしやすいですが、飲食店の食材の棚卸は、仕入れたものを、複数の組み合わせ、異なる量となって現れる場合が多いのでかなり難しいと言えるでしょう。

原価計算法はいくつか種類がありますが、価格の上下が激しい食品はどのように棚卸をすれば良いのか?

この問題について、私の見解を述べようと思います。

 

まず、値段だけについて見てみると、特に12月など、月初めに、ある食材が1キロ1000円でも、月末には1キロ3000円に跳ね上がる食材などがよくあります。これは極端な例かもしれませんが、このように食材の計算に悩まれる方は少なくありません。

ちなみに私の言う事が絶対に正しいわけではないという事を了承ください。

棚卸方法の種類

調べてみると、法人税法で認められている棚卸方法の「原価法」には、 

  • 個別法
  • 先入先出法
  • 総平均法
  • 移動平均法
  • 最終仕入原価法
  • 売価還元法

などあり、他にも棚卸の算出法はたくさんありますが、ここではややこしいので説明は省きます。

 方法①

「先入先出法」や「最終仕入原価法」は、期末に仕入れた単価で計算する方法ですが、さきほど例を上げた12月の食材のように余りにも値段が高騰した場合で、その高騰した時に仕入れた食材が余っている場合、有効だと思います。

しかし、価格の上下が激しいと言っても、年末のような上下の仕方はめったにありません。

 方法②

普段は、「移動平均法」を使うのが一般的かと思います。これは、今在庫にある食材の、仕入れた単価の平均を取って計算する方法です。

飲食店では、食材の出入りが頻繁に行われますので、個々にそれぞれ把握でき、しっかりと平均が取れればいいですが、数ある食材を一つ一つチェックするのも時間がかかります。ですので、できれば週単位で単価の平均を出すのが良いと思いますが、最低でも1カ月単位で平均を取ってみるのがよいと思います。

年末のように単価の変動が大きい場合は、大きなお金が動いている食材に注意しましょう。単価が余りにも違いすぎる場合は、仕入れた日付をチェックし、適正な棚卸法で計算したほうが、正確です。

注意点とポイント

そして、飲食店の場合、もう一つ難しい問題が、食材を色々合わせた調味料や、野菜なら皮をむいた状態、魚なら骨を抜いた状態の歩留まりを計ったあとの食材の値段もカウントします。

ドリンクは、ほとんどが仕入れた状態のものを手を加えず提供する場合が多いので、ややこしくないですが、食材となると話は変わります。例えば、高級肉を扱っている場合、ブロックで仕入れて、肉の掃除の時に余分な脂を取って、保存する場合、原価が変わってきます。

野菜など、単価の低いものなら、まだ良いですが、高級食材となると、棚卸の場合でも、その可食部位の大小、値段によって、棚卸結果の値がだいぶ違ってきてしまいます。

実際の所、飲食店でそこまで細かく計っているところは私の知る限りかなり少数ですが、やるなら、ここまでやっておくにこしたことはありません。もちろん、合わせた調味料なども、しっかり原価を計算して棚卸した方が良いです。

液体の調味料の場合、食材ほど値段の差が少ないので、2か月~3ヶ月に1回程度の原価の見直しで大丈夫かと思います。

このような計算は、毎日の積み重ねが大切で、できるだけ早くデータ作成に取り組むことが重要です。

私の販売している商材のツールにこの計算が自動でできるものを追加しようと現在作成しています。

簡単に言うと、食材それぞれの歩留まり率を計算し、毎日の食材の仕入れを入力することによって、単価が自動で平均を出してくれて、そこに、月末の棚卸の結果数量を入力するだけで、合計が自動算出されると言う仕組みです。

最初は多少時間はかかりますが、このツールでかなりの時間短縮ができます。飲食業関係者でなければ、今回の話は「なんのこっちゃ」って感じですが、経営において重要な事でもあるので覚えておきましょう。

ちなみに、何度も言いますが、大半の飲食店はまともに棚卸をしていません。つまり、しっかり数字を管理していないですし、実際棚卸をきっちり管理しなくても、店は回ります。(後で大変なことになるかもしれませんが、、、)

と言う事で、「私はしっかりと在庫管理ができているので、棚卸はそこまで重要視しなくてよい。」という見方もできますが、逆にその部分を管理することによって、店全体を把握し、経営者として一段とレベルアップし、店を繁盛させるシステムを作りやすくすることもできます。

なんにせよ、一度そのシステムやツールを作ってしまえば、あとは自分がやらなくても任せることもできるので、この機会に棚卸についてしっかり考えてみてもいいかもしれません。