4月の味暦 ~晩春の旬暦・食材・異称・行事・風情・語源・由来~

4月の味暦

晩春の味について

南から北上する花便りの代表がソメイヨシノの開花を知らせる桜前線で、沖縄では3月の初旬に始まり、逐次北上して5月に北海道で終わりとなります。

関西と関東では数日のずれはあるものの、4月の初旬には桜が満開になり、この時期の第一の楽しみはお花見で、桜花で開くご馳走を囲んでの宴の楽しさは格別です。

夜桜見物となると、掛け茶屋のおでんや田楽、串だんごや桜餅など、例えにある「花よりだんご」といわれるように、食べ物がつきものです。

桜が咲き、桃が咲き、りんごの花が咲く、花木といわず雑草の端々まで百花が乱れ咲き、鳥は空にさえずり、人は行楽に連れ立って出かける、まさに春爛漫の季節が4月です。

晩春とは、陰暦の3月のことで、陽暦では4月になりますが、4月5日頃に24節季の一つである清明が訪れ春も盛りに近く、穀雨(4月20日)の頃に降る雨は五穀にとっては天の慈雨となり、春も極まります。

立夏(5月6日)頃には春とはいえ夏めいた気配が立ちますので、すなわち、清明から立夏の前日までが晩春の時期です。この時期は春酣(はるたけなわ)で、花の名所は大変賑わい、飲食店では晩春の装いに工夫を凝らしてお客様を迎えます。

食材も春の魚介や野菜類は旬の盛りを過ぎようとし、夏の走りの食材が顔を見せ始める時期でもあります。

3月から4月にかけての食材の筆頭は、日本の海魚の代表である産卵期を控えた桜鯛で、その味、その姿はまさに王者。他には、あいなめ、サヨリ、キス、イカ、マスなどの海魚やあまご、若鮎、もろこ、フナのどの川魚が美味です。

野菜では、この時期の筆頭はなんといっても盛りの筍で、蕗やうど、わらび、こごみといった特有の苦みを持った春野菜の名残を楽しむとともに、豌豆などの緑豆類や胡瓜、茄子に代表される夏野菜の走りを使って食卓を豊かに彩りたいものです。

0-06

晩春の旬暦

旬の食材

魚貝類・肉類

あいなめ

あじ

穴子

アマダイ

あわび

飯蛸

烏賊(鯣{スルメ}イカ、剣先イカ、紋甲イカ、蛍イカ)

いかなご

いさき

伊勢海老

いたやがい

いわし

おこぜ

かつお

かます

かれい(目板カレイ、星かれい)

いわし

おこぜ

かつお

かます

かれい

キス

車海老

こち

このこ

さざえ

さより

しゃこ

たいらぎ

タコ

タチウオ

生ウニ

にしん

ばいがい

はまぐり

春サバ

ます

めごち

メバル

あまご

いわな

川エビ

川マス

子持ちハゼ

しじみ

すっぽん

どじょう

なまず

ふな

もろこ

若鮎

0-02

野菜・果物類

浅葱

アスパラガス

いたどり(スカンボ)

うど

えんどう

きぬさや

木の芽

きゅうり

こいも

ゴボウ

里芋

三度豆

しのたけ(篠筍)

しょうろ(松露)

ぜんまい

新キャベツ

新ごぼう

新ばれいしょ

空豆

タケノコ

玉ねぎ

タラの芽

たんぽぽ

つくし

つるな

菜の花

にら

のびる

はちく

浜防風

ひじき

ふき

ブロッコリー

みょうがちく

まつな

三つ葉

めいも

芽キャベツ

やまぶき

わらび

いちご

ざぼん

さんぽうかん(三宝柑)

はっさく

0-03

4月の異称、別名、呼び方

卯月

卯花月(うのはなづき)

陽月(ようげつ)

花残月(はなざんげつ)

夏初月(なつはづき)

首夏(しゅか)

純陽(じゅんよう)

卯月の由来は、卯の花が咲く月「卯の花月(うのはなづき)」を略したものという説。

その他の説には、十二支の4番目が卯であることから「卯月」とする説や、稲の苗を植える月であるから「種月(うづき)」「植月(うゑつき)」「田植苗月(たうなへづき)」「苗植月(なへうゑづき)」であるとする説などがあります。

0-38

4月の行事

4/1 新学年・入社式・新年度・エイプリルフール。エイプリルフール(英語: April Fools’ Day)とは、毎年4月1日には嘘をついてもよい、という風習のこと。4月1日の正午までに限るとも言われている。日本語では直訳で「四月馬鹿」、漢語的表現では「万愚節」または「愚人節」。

フランスではエイプリルフールを”Poisson d’avril”(4月の魚)といい、子供達が紙に書いた魚の絵を人の背中にこっそり張り付けるいたずらをする。この「4月の魚」とはサバのことを指すと言われ、ちょうどこの頃にサバがよく釣れるためこう呼ばれます。

4/5 四天王寺花まつり園遊会・石山さくら祭

・清明(4月5日頃および穀雨までの期間)

春分から数えて15日目頃。春先の清らかで生き生きとした様子を表した「清浄明潔」という語を略したもの。万物が若返り、清々しく明るく美しい季節。

この頃は桜の花が咲きほこり、お花見の時期です。南の地方ではつばめが渡って来る頃。雨が多い時季で、暖かくなった後に小雨が降り続いて寒くなったりもします。

4/8 花まつり

ブッダ(お釈迦様)の誕生日。「潅仏会(かんぶつえ)」「仏生会(ぶっしょうえ)」「降誕会(ごうたんえ)」とも言う。インド古来の行事で、日本では推古天皇の時(7世紀初め)にすでに行われていました。

「花祭り」の名は、明治時代に浄土宗で用いた言葉ですが、現在は宗派を問わず用いられ、親しまれています。お寺にお参りして、草花を飾った花御堂に安置された誕生仏に甘茶を注ぎ、礼拝する。

甘茶はブッダ誕生の時、九体の竜が香湯を注いだという伝説に基づいている。

4/10 婦人週間・平野神社さくら祭

4/11 メートル法記念日

4/第2土・日 西大寺大茶盛

・十三参り

主に関西(特に京都)に伝わる習慣で、陰暦の3月13日、現在の4月13日に数えで13才になった男女が虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)にお参りする。

虚空蔵菩薩は智恵と福徳の仏として知られ、13番目の菩薩であることから、13のつく日に13才になった子どもがお参りし、知恵と福徳を授かる風習が生まれた。

「智恵もらい」「智恵参り」とも言う。13才は生まれた年の干支が初めて巡って来る年にあたり、男女共に精神的にも肉体的にも子どもから大人へと変化する大切な節目とされています。また、女の子は初めての厄年にあたることから、厄落としの意味も込められています。

・春土用 (4月17日頃~5月5日頃)

土用というと夏を思い浮かべる方も多いですが、土用は各季節にあります。

陰陽五行説で、春・夏・秋・冬をそれぞれ「木・火・金・水」とし、残った「土」を各季節の終わりの18日間に当てはめたことから、立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間を土用と言います。最初の日を「土用入り」最後の日を「土用明け」と言う。

4/20 穀雨(4月20日頃および立夏までの期間)

清明から数えて15日目頃。春季の最後の節気。春雨が百穀を潤すことから名づけられたもので、雨で潤った田畑は種まきの好期を迎える。

「清明になると雪が降らなくなり、穀雨になると霜が降りることもなくなる」という言葉があるように、南の地方ではトンボが飛び始め、冬服やストーブとも完全に別れる季節です。

変わりやすい春の天気もこの頃から安定し、日差しも強まってきます。昔から、この日に合わせて田畑の準備をし、穀雨が終わ る頃に八十八夜を迎える

4/21 京都壬生狂言

4/22 靖国神社春祭・四天王寺聖霊会舞楽大法要

4/28 サンフランシスコ講和記念日

4/29昭和の日・京都城南宮曲水の宴

・昭和の日
もとは、1989(昭和64)年1月7日に崩御した昭和天皇の誕生日でした。昭和天皇崩御後、生物学者であり自然を愛した昭和天皇をしのぶ日として、「みどりの日」となったが、2007年よりこの日は「昭和の日」と改められました。

それは、「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」と言う意味合いからだと言われます。それと同時に、「みどりの日」は「国民の休日」であった、5月4日に移動されました。

0-39

4月の風情

忘れ霜

花冷

鰊雲

・花見

八百万の神の中に、山や田の神「サ」神が存在した。「クラ」とは神が鎮まる座を意味し、サ神がその根元に鎮座したとされる木を「サクラ」と呼ぶようになったと言う。

サ神を信仰する古代の農民は桜の木に供え物をし、豊作を祈り、宴を行った。そして、江戸時代、お花見は庶民の娯楽として定着し始める。

花見酒

花衣

茶摘

仏生会

入学

入社

十三詣

都踊

桜狩

摘草

長閑(のどか)

更衣(ころもがえ)

袷(あわせ)

花疲(はなづかれ)

鯛網

魚島

上り簗(やな)

磯開き

磯菜摘

磯遊び

鮎汲み

潮干狩

花筵(かえん・はなむしろ)

野遊び

陽炎(かげろう)

霞(かすみ)

花時

春田打ち

春時雨

花曇り

春深し

春暑し

木の芽時

桃の花

木蓮

若緑

躑躅(つつじ)

海棠(かいどう)

山吹

小手毬

八重桜

豆飯

筍飯

鯛飯

行く春

苗代

種蒔き

桜鯛

眼張

0-40