料理において五感を駆使することはとても大事な要素です。視覚や触覚、味覚は意識しやすい感覚ですが、見落としがちなのが嗅覚(におい)と聴覚(おと)です。
嗅覚結界バリア
良い料理には風が吹いています。どういう意味かというと、こちらから迎えにいかなくても向こうから香りがやってきます。
香りは良い料理かどうかを見極める一種のパロメーターです。美味しそうなにおいは幸福感と安心感があります。香りに乗ってやってきます。
その香りを消してしまうのは、化学的なもの、香水、洗剤、整髪料、消臭剤、化粧品などは特に気を付けてください。
キツすぎる匂いは自己主張の表れで、食べる相手を不快にします。素で勝負するのが怖いので香りを加えようとするのです。また同じ香水を使ったとしても人によって良い香りとイヤな香りがあります。
煙草の煙は、その人のストレスを煙に乗せているのと同じように、その他の匂いもその人自身の状態を香りという媒体に乗せてしまっています。
なるべく自然なものを使ってください。本来持っている香りを大切にしてください。
その人の匂いはその人の内面でもあります。その人の普段の食生活からも来ています。いつでも清々しい、気持ちいい毎日を送っていれば良い香りが醸し出されるようになります。
また、お香をたくのもひとつです。ストレスは脳にダメージを与えます。脳の大脳辺縁系と呼ばれる感情や本能、3大欲や自律神経に影響を与えます。そして唯一嗅覚だけがその大脳辺縁系と直接つながっているのです。
つまり香りは身体に与える影響が強いです。
良い香りだけで、やる気が高まります。リラックス効果もあります。逆に不快な臭いは悪影響です。やっかいなのは香りは周りと同化しやすいので「なんか臭い」と感じても徐々に慣れていまうことです。これでは脳は悪影響を受け続けます。
お香は結界、厄払いの効果もあります。空間が良い香りで満たされていれば、それだけで悪い“氣”から身を守ることができるのです。空間ごとに香りも意識してみましょう。
そして身の回りの香りに敏感になって良い香りと共に生きてください。
聴覚結界バリア
料理する時は音に意識を向けてください。レストランやカフェなどに行ったとき、耳をすますとガチャガチャとお皿の洗う音や鍋がぶつかる音が聞こえてくる時があります。
ジュ~ジュ~!とかの美味しそうな音なら良いのですが、不快な音もあります。料理をするときの自分が出している音は自分の心の音そのものです。
心が乱れている、イライラしている時はどうしても調理器具や食材を雑に扱いがちです。考え事をしているとその波動が音に移ります。そしてその音を聞いた人も、雑音となって同じような気分になってしまうのです。
もちろん心地よい音であれば聞いた人も心地よく、雑音(ノイズ)を聞くと聞いた人の心も感覚も乱れます。音が空間のノイズとなって、人や物や料理から料理を奪うのです。
自分が立てる音に集中すると自然と心も落ち着いてきます。それは”神経質になる”ということではありません。その音を“認識”するだけでいいのです。「あ、うるさかったかも、、、」と気に病むのではありません。
ごはんを食べる音、食器を洗う音、ドアを開け閉めする音、パソコンのキーを叩く音、ひとつひとつの動きを意識してみてください。それだけで自分の立てる音が変わります。ちょっと意識するだけで美しい音楽が奏でられているかのように変わるでしょう。
ポイントとして、料理の間は黙ってみることをおすすめします。
適度なおしゃべりはいいですが、話に夢中になっていると自分でも気づかずに“氣”がもれてしまいます。自分の“氣”がなくなると食材や空間から“氣”を奪うようになります。そんな状態だと何をしてもうまくいきません。
おしゃべりだけではありません。自分のアタマの中でのおしゃべり(妄想・脳内会話)も同じです。そうなると心が定まらず、本来料理に注ぐべき“氣”が漏れてしまいます。
ここぞという時は集中しましょう。黙って目の前の食材と向き合う。すると食べる人を元気にすることができます。