あなたの知らない大根の世界 ~味の向こう側~

今回は、大根のすべてを解決する!くらいの勢いで、大根についての知識、調理理論など、ありとあらゆる方面から大根のことを詳しく書いていきます。

大根(だいこん)

大根役者(だいこんやくしゃ)という名の通り、大根は“あたらない”ことで有名で、良くない意味では、「売れない、有名にならない」などの表現で使われ、食に関しては、食”あたり”しないことから、肉魚の毒消し名人として使われます。

しかし、大根は消化を助ける作用が強いだけではなく、食用以外にもさまざまな使い道があるのです!

以下、さっと小難しいことを言うと、、、

成分

タンパク質、脂肪、糖質(ジアスターゼなど)、ビタミンA、B類、C、カルシウム、リン、メチルメルカブタン、鉄、多種の酵素、リグニン、有機酸、インドール、食物繊維など、大根に含まれるリグニンは、マクロファージの活力を数倍にアップさせて免疫力を高め、抗がん作用があります。

大根の辛みが強いほど抗がん作用も強いです。大根の抽出物であるメチルメルカブタンは、抗菌作用があります。ビタミンCはコラーゲンの形成を促進し、体細胞を強くして、ガン細胞への抵抗を増強させます。がんの発生を予防する効果もあります。インドールとは腸がんを抑える物質の一種です。

期待できる病気・症状への効果

ガン、気管支炎、胃腸炎、下痢、高血圧、高脂血症、結石、膣炎、消化不良、喘息、咳、多痰、吐血、鼻血、解毒など

免疫に効果的な調理法はが一番です。続いて、油で炒める、漬ける。その次に煮込むの順番です。長時間加熱するとせっかくの栄養分を破壊してしまうので気を付けましょう。

備考

>大根のカルシウムの90%は皮にある。皮ごと調理が望ましい。

>空腹時に生の大根を食べると、結腸ガンや直腸ガンの予防に効果的。

薬膳・漢方の観点から陰陽五行に則って考えると、、、

五性 熱・温・平・涼・寒

五味 酸・甘・辛・苦・鹹・(淡)・(渋)

また帰経(きけい)という、五味と対応する五臓六腑の組み合わせがあり、それぞれの味はそれぞれの臓腑の機能を助け、影響を及ぼすとされています。

帰経は五味や色の他にも、季節や気候などとも関係があり、それぞれ作用を及ぼし合っています。

帰経

<五臓>肝・心・脾・肺・腎

<六腑>胆・小腸・胃・大腸・膀胱・(三焦 体内の空間)

それによると大根の特性は、

五性 涼

五味 辛・甘

帰経 肺・胃

となります。

特徴

大根は、収穫後も細胞が生きており、呼吸や蒸散によって徐々に大根内部の成分を消耗させ、自ら品質劣化を起こしています。そして、貯蔵中にしなび、偏食、発根、萌芽(ほうが)、腐敗、内部変色、ス入りなどの変化が起こります。

ス入り とは?

ス入り現象は、大根の呼吸による炭水化物の消耗、根内部の溶存酸素の減少、炭酸ガスの発生による内部の空洞化が原因とされている。その他、収穫以前に大根の成長が盛んで、葉の同化能力以上に急激に根の肥大が行われた場合に

大根柔組織細胞の急激な肥大→細胞内水分上昇→内容水分濃度が薄まる→ス入り、となる。

良い大根の見分け方

  • ひげ根が少なく、ひげねのあとが小さく、重みがあるもの。
  • 葉はみずみずしく黄色い葉が無いもの。
  • 葉がカットされているものは、すが入っていないか茎の切り口を確認する。
  • 断面はきめが細かくみずみずしいものが良い
  • 同品種であれば、太くてずっしり重い方を選ぶ(水分がたっぷりで新鮮)
  • 肌が白くすべすべでつやとハリがあること
  • 下の方の毛穴の数が少ないものが良い(適切な水の量で丹念に栽培された証拠)
  • 毛穴が目立って深いものは順調に生育を経ていないので選んではダメ。
  • 葉つきのものが日持ちも風味も良い
  • 首が黒ずんだり、ひびが入っているものはすが入っている可能性がある。
  • 皮がしなびていなく、白色のつややかなものが新しい。
  • 大きさと重さのバランスが取れているものはス入りの恐れが少ない、
  • ス入りは老化現象の一つ。
  • 新聞紙などに包み、冷暗所に保存。
  • 穴を掘って、大根をまとめて斜めに置き、土をかけておけばかなり日持ちする。
  • 根と葉は別々で湿らせた新聞紙で包み、冷暗所で保存。
  • カットされたものはラップに包んで冷蔵庫の野菜室へ。

大根の豆知識

一般に出回るのは病気や環境に強い「青首だいこん」と呼ばれるもの。春夏大根は辛みが強く、身体のほてりを鎮める効果があり、冬大根は甘みが増して煮物に良いです。

消化酵素のアミラーゼを豊富に含み、胃腸の調子を整えます。体内の余分な熱を取ったり、肺を潤す作用もあるので、風邪や熱やのどの痛み、咳、痰を改善する効果もある。カリウムを含み、利尿作用もあります。

12月~2月の冬大根がおいしい

11月~3月

夏大根は7.8月

そして切り干し大根は食物繊維トップクラス!!

保存法

さきほども少し触れましたが、、、すぐに葉と根を切り離し、それぞれポリ袋にいれて密封して冷蔵庫で保存。葉は早めに調理すること。ラップでしっかり包んでから野菜室へ入れましょう。

また、1㎝ほどの厚みに切り、かために茹で、冷やして水気をとってから冷凍したり、生のまますりおろして冷凍もOKです。

大根の歴史

古代エジプト時代から栽培されていたと言われる最古の野菜の一つ。日本でも古事記に登場している。

春の七草の「清白すずしろ」は大根の葉のこと。

大根は根と葉で栄養成分が違い、根は消化を助けるジアスターゼをはじめとするさまざまな消化酵素とビタミンCが含まれます。葉には美肌効果のビタミンCやβカロテン、女性が不足しがちな鉄分やカルシウムも豊富です。

皮にも血圧を下げるルチンがあり、捨てる部分がありません。

種子から油を絞ることもある。

大根との食べ合わせ

<大根とかんぱち、動脈硬化予防>

大根のカリウムで血圧を下げ、カンパチの良質なタンパク質と魚油が丈夫な血管を作り、動脈硬化を予防します。

<大根と豆腐 美肌効果>

美肌に欠かせない大根のビタミンCと、肌の基礎となる豆腐のタンパク質で美肌力アップ。

<大根と人参(良くない)>

栄養価低下。人参のアズコルビナーゼという酵素がビタミンCを破壊します。熱と酸に弱いので、加熱するか酢を使うようにしましょう。

<大根+ごぼう、なす、にんじん、しじみ>

糖尿病予防、貧血予防、ガン予防

<大根+あずき、アロエ、はちみつ、みかん>

せき、のどの痛みの緩和、美肌作り

<大根+バナナ、冬瓜、牛乳、りんご>

胃潰瘍の予防十二指腸潰瘍の予防

<大根+法蓮草、かぼちゃ、鶏肉、ホタテ貝>

胃・大腸がん予防、強肝作用

<大根とあさり>

どちらも体の熱を取り、余分な糖や脂肪を排出する働きがある。生活習慣予防に有効。

<大根とハチミツ>

大根をおろした汁にハチミツを加える。どちらも肺を潤し、のどの炎症や乾燥を緩和する作用がある。

<大根とマスタード油>

結腸ガン、直腸ガンを予防

<大根とのり>

甲状腺腫に効果あり

<大根と法蓮草>

鼻血、血便、便秘、糖尿などに適し、ダイエット効果もある。

<大根と高麗人参(良くない)>

高麗人参が補ったエネルギーを大根が散らしてしまい、高麗人参の薬効が減ると言われている。

<大根とみかん(良くない)>

甲状腺腫を誘発する恐れあり

<大根と人参、胡瓜。レバー(良くない)>

大根のビタミンCが破壊されてしまう。

<*注>

人参を一緒にすると、人参に含まれるビタミンCの酸化酵素が、大根に含まれるビタミンCを分解してしまう。ただし人参に酢を落とすと、この酵素が抑制される。

おせち料理の紅白なますは大根と人参を合わせ酢で和えているからビタミンCの分解がない。

大根との美味しい相性

焼いたさんまと大根おろし、手羽と焚いた大根

大根の調理ポイント

根に含まれる消化酵素やビタミンCは熱に弱く時間が経つと壊れるので、消化促進効果を得たいときは生食が良いです。また、干すとカルシウムはおよそ23倍、鉄分は49倍にアップします。

天日に干したり、切り干し大根を使った料理も良いです。

部位による味の特徴

一番味のいい部分は真ん中。先端の細い方は辛みが強い。おろし金に押し付けるように一直線におろすと辛みが増す。大根の辛み成分は酸化しやすいので、材料と和える直前にすりおろす。

<備考>

貝割れ菜は、大根の若芽を収穫したもので、ぴりっとした適度な辛みがあります。

大根料理

・ふろふき大根、味噌 

下茹でし、昆布だしでうまみがしみこむようにゆっくり焚く。火が通って出てくる大根の自然な甘みを大切に。昆布だしがおいしいかどうかが決め手。

・大根と豚ロース炊き合わせ 山椒、ゆず

豚肉は煮るより焼いた方が香ばしく、大根の風味に合う。

・みぞれなべ、たら、春菊

・大根ステーキ、昆布 ゆず

芯に火を通しすぎない方が大根本来の旨みが味わえます。

・大根サラダ、塩コショウ、オリーブ油

・大根葉とちりめんじゃこ

・きりぼし大根のあちゃら漬け

水につけて戻して味醂八方につける(その他人参やカブも)。土佐酢を昆布だしでわって、赤トウガラシ入れる。最後に振りかける。

などなど、いくらでも調理法はあります。

大根の茹で方比べ

*下茹ですることで特有の苦みが取れます。

  1. 米ぬか
  2. 米のとぎ汁
  3. 米粒

この下煮は、大根の苦味や生大根特有の硫化水素臭を軽減させ、色白に仕上げるために行います。

切った大根を水につけておくと、下煮した際にアクが抜けやすくなる。その後に鍋にたっぷりのとぎ汁と米飯を少量加え大根を下煮にすると、白くしっとり仕上がる。

そのまま煮汁ごと常温で一晩おき、自然にゆっくり冷ますことで雑味が抜ける。そのあとよく水洗いし、出し汁で煮含めると調味を生かす優しい味わいになる。

味に大差はないですが、米粒は米の甘みがほんのりつくこともあって良い。米ぬかでは、栄養的には米ぬか。でもぬかの鮮度が大事となります。日本の青首大根は下ゆでしないで直焚きでも十分美味しい。

大根雑学

「面取りすると、煮崩れしにくくなる。また汁に触れる面積が多くなるので味がしみ込みやすい。」と言われるが大根に関してはさほど差が出ない。面取りは見た目重視でやる。

夏の大根は辛みがきついものもあるので、使う場合は皮をむいて、ひたひたの昆布だしに漬けると少しマイルドな味になる。

大根おろしなどで感じるような刺激臭は硫化水素。特有の刺激臭は時間が経つ、または酸や加熱によって大根の細胞組織が軟化することで消失する。

おろしたものは加熱すると甘みが強くなる、ただ時間が経つと独特のにおいが強調されるので、おろしたら時間をおかないように気を付ける。

味のしみたおいしさを楽しむなら、軽く干したり冷凍したものを使うと、短時間でおいしく仕上がる。

切ってすぐに水につけておくと、下茹でした時に大根のアクが抜けやすくなる。

とぎ汁だけでなく、ご飯も加えると大根がよりしっとりとした口当たりになる。

大根のつまの種類

普通のせんぎりの他に、斜めに切る「さざ波」、手で裂く「州浜(すはま)」があります。切り終えたら流水にさらし、水洗いし、氷を入れた水につけてパリッとさせる。

以上、大根大百科事典とは言い過ぎですが、大根特集でした。