和食の料理人でもあまり気付いていないかもしれませんが、ロール(巻物)って、日本料理特有に感じませんか?
巻き物って聞いて、あなたは何が思い浮かびますか?
一番代表的なのは、お寿司。【寿司ロール】はそのまま海外でも通じる言葉です。そして、種類も【細巻き】、【太巻き】、【裏巻】、【四海巻き】、、、【カリフォルニアロール】とか、【ドラゴンロール】、【ボルケーノロール】など名前を出したらきりがないほど沢山あります。
では、お寿司以外の巻物は何かというと、これも有名なものには、【伊達巻き】があります。玉子焼きの一つですが、その他、【だし巻き玉子】もあります。
もちろんまだまだあります。【昆布巻き】正月のお節料理によく入っているあれです。また、以下はお寿司のロールでも使われることもありますが、軍艦巻き、かっぱ巻き、しんこ巻き、干瓢巻き、なかおち巻き、納豆巻き、アナゴ巻きなどの巻き寿司の他、
鳴門巻き、磯辺巻き、笹巻き(すし)、紫蘇巻き、巻き漬け(大根漬けの一種)、きゅうりの渦巻き漬け、巻き煎餅、小田巻き(蒸し菓子の一種)、巻き柿(柿ようかん)、巻きブリ、
まだまだ日本には数えきれない巻物が存在します。このように巻物が数多く存在することから、世界一の巻き食文化とも言えるでしょう。でもその巻き物を作った背景には、日本人の知恵や日本食の面白い特徴が隠されています。
巻き物文化日本の、3つのヒミツ
それは第一に、【全く別種の食材を一体にして食べる】というもの。
昆布巻きなら、こんぶの出汁の味で、みがきニシンの味を丸くします。そしてニシンのうま味た脂味を昆布に付けます。巻き寿司は、海苔の香りを持たせながら酢飯に色々な具の味を相乗させます。アナゴとゴボウの組み合わせの”八幡巻き”も良い例です。
2つ目に、【視覚へのアピール】
巻き模様は、見る人食べる人に楽しさや粋、食欲を感じさせます。太巻きなども、色彩豊かで視覚にダイレクトに訴えかけます。渦巻き模様の鳴門巻きも、粋な色彩感を与えます。
3つ目は、巻くことによる材料の濃縮・硬質化。そしてそれによる保存食として成り立つこと。
この原理はハムやベーコンなどとも共通するので、日本人だけの発想だけではないですが、藁縄や藤、桑の皮など日本特有の材料で巻き締める料理は日本独特と言えるでしょう。おむすびも竹皮で包んで(巻いて)いますね。
このように日本人にとっては切っても切れない「巻物」ちょっと周りを意識して見てはいかがでしょうか?
料理以外の日常生活にも「巻物」が意外とたくさんあることに気付くかもしれません。