今回の話は、時間と空間を意識して、料理をカッコよく作ったり、盛り付けをしましょう!という狭い範囲ではなく、もっと高い視点から見たお話をしますので、もしかしたら結構難しく感じるかもしれません。
あなたが本当に望んでいること
世の中、ほとんどの料理人が「自分が本当は何がやりたいのか」が、わからずに生きています。
「私はこれ!!」といった使命を感じて日々過ごしている人もいますが、 そんな人はごく稀です。そんな稀な方でも、「本当にこれでいいのだろうか、、、」と悩んだりもするので、自分が本当にやりたいことや望んでいることを見つけるのは、 とても難しいように思います。
とまあ、冒頭からカタい話をしていますが、 お付き合いください。
さて、、、実は料理人に限らず、人間の心の奥底では、“たった2つ”のことだけを 望んでいると言われています。
1つ目は<自分自身の成長、自分を磨きたいという想い>
2つ目は<誰かの役に立って喜んでもらいたいという想い>
このたった2つが、誰もが持つ望みです。私のメルマガ読者さんにはお伝えしましたが、人生には4つのステージがあるというお話をしたことがあります。http://bit.ly/1hiltkE
そこには『使命』、『貢献』、『願望』、『欲望』とそれぞれステージがあり、食の観点から、それぞれの段階でやるべきことを知っておく必要があります。
第1ステージ◆欲望◆
欲望のステージの人は、己の欲望のみを中心に考え、欲を満たすためにだけ行動しています。そこには過去も未来も、周りの人のことも視野に入っていません。
例えば、ポテチを食べたいと思ったら、身体に悪い良いなど関係なく、自分の欲望を刺激してくれるようなお菓子を買って食べてしまいます。ケーキ屋さんの前を通ったときでも、美味しそうなケーキを見つけたら、すぐさま買って食べてしまいます。
その上、体重が増えてしまったり、アトピーがひどくなったりなど、なにか問題が起こるとモノや人のせいにします。
「あのお菓子が安売りしていた」「なんであのとき止めてくれなかったの?」などなど、かなり自己中な人がこの欲望ステージの段階です。さらには、
・ダイエットを始めても継続することができない。
・お金を稼いだら、すぐに自分の欲のために使ってしまう
のもこの段階です。
ここから脱出するには、自分の本当に好きなことや、熱中できること(短期的な欲望以外で)、あと目標を見つけたり、物事を継続することで、次の願望(自己実現)のステージに行くことができます。
第2ステージ◆願望(自己実現)◆
この願望(自己実現)段階では、例えば、目の前の添加物たっぷりのお菓子に手が伸びる前に、
「おいしいけど我慢して、もう少し身体によい食べ物にしよう」「カップラーメンはやめて、お惣菜にしよう」など、自分の未来を想像して、ある程度、自分の欲望を自制でき、
「いつもファミレスばかりだけど、自炊するようにして、お金を節約してお洒落なレストランに行こう」など、
「このために頑張ろう」「これをやるぞ!」など目標にむかって頑張ることができ、お金も計画的に使える人たちです。そして、好きか嫌いかの判断がはっきりしています。
お腹が空いているので、目の前の熟れていないりんごを欲望のままぱくっと口にするのではなく、ちゃんと美味しく熟した頃合いを見計らって、ある程度自分自身を制御できる人です。
この願望(自己実現)ステージの時は「足し算の時代」と呼ばれます。ちょっとでも「いいな」と思ったものを手当たり次第にやってみる。
例えば、料理がやりたいと思っていて、和食も洋食も中華もエスニックもお菓子もなんでもかんでも手当たり次第に挑戦していったり、料理本に書いてあることをとりあえず実践してみるなど、やりたいと思ったことをやっている状態です。
このように「足し算」をしていくことで、自分の特性や苦手なこと、やりたくない事が見えてきたり、反発や不都合が出てきます。そうなると、さらに次の段階の「貢献」ステージに上がることができます。
第3ステージ◆貢献◆
このステージに行ける人は、かなり少なく、世の中の90%の人は、「欲望」と「願望」ステージで一生を過ごします。
さらに世界中の“お金持ち”と呼ばれる層のほとんどが「願望」ステージです。では、この「貢献」の段階まで行くには、どうすればいいかというと、文字通りに「貢献したい」「人に喜ばれたい」と心から思えるかどうかです。
そのためには、 願望ステージで足し算していった、たくさんの出来事を今度は捨てていく作業をしなければなりません。
つまり貢献レベルの条件は「引き算」。今までの経験や知識などを絞っていくことです。
「私は今まで、たくさんの業態の飲食店を渡り歩いてきたけど、結局は野菜を中心とした健康食をやりたい」とか、「今までで人脈もかなり増えたけど、本当に長く付き合いたい人とだけ接していこう。」など、いままで自分がやってきたことと、ある意味逆のことをする場合もあるかもしれません。
だからこそ、ほとんどの人がこの貢献ステージにたどり着けず、居心地のよかった、変化のない願望ステージに居続けてしまうのです。
ハッキリ言って、願望から貢献までの道のりでは、ものすごい恐怖感に襲われます(例えば収入が減ったり、問題が勃発したり)しかし、少しずつでも(それがどんなにお金を貰ったり、期待されたとしても)自分に合わないものや、やりたくないことを引いていくことで、貢献ステージに進むことができます。
わかりやすくここまでの段階を例えて言うと、
- 欲望は「氷」(動かずに固まっている)
- 願望は「水」(流動性がある)
- 貢献は「水蒸気」(質が変わり、さらに大きな範囲に影響を及ぼす)
という徐々に熱せられて、どんどんと広がっていくイメージです。では、この貢献ステージはどのような状態になるかと言うと、自分の人生の意味を問う段階で、「私は料理を通して何を伝えようとしているのか?」「なんのためにこの仕事を選んだのか?」などを深く考えるようになり、
今まで「自分のスキルアップやお金を稼ぐために」などの理由で働いていたことが、“周りの人、家族、お客様など”誰かのために何かをしようという意識になります。
さらには、この段階から、“人の幸せが自分の幸せに感じる”ため、幸せを感じるレベルが今までと格段に違ってきます。
第4ステージ◆使命◆
これは貢献をさらに強くしたイメージで、自分の信念、使命や役目などを見出して、迷いなく進む人です。
スピリチャルな言い方をすると「神に導かれた、、」という表現にもなりますが、この段階では、ゆるぎない意識の状態で、人生のエネルギーを(9割)注ぎ込める人です。
例えるなら、マザーテレサのような生き方だったりします。この使命段階まで至るには、今まで「引き算」だったのが、今度は「掛け算」が起こります。
いままで自分が過去にやってきたことがすべてつながっていき、過去の自分とのコラボレーションや、一緒に仕事を組む人とのコラボレーションにより、掛け算がどんどん起こり、ものすごい影響力となって世界中に広がっていきます。
この段階では、人のためという意識が強いため、「お金がほしい」「豪邸に住みたい」などの自己の欲望はほぼありません。
しかし、そのすべてが手に入る状態でもあります。ここまで読んできて、感じた方もいると思いますが、結局のところ(バランスも大事ですが)、いま「お金が欲しい」と思っているなら、自分のためにという思いで日々生活するのではなく、誰かのためにと思って生きていることが、自分の夢を叶える一番の早道だということが見えてきます。
特にこれからの時代は、人とのコラボレーションが重要になってきます。
ネットの影響は強いです。例えば、昔は日本の中でも、村単位でのコミュニティしかなかったものが、今は世界中でコミュニティを作ることができます。さらに、誰かと一緒に何かをしようという場合、自分の想いや使命、大事にしたいことをしっかりと持つことで、とても大切な人脈を構築することができ恐ろしいくらいの掛け算が起こるようになります。
たった一人の影響が、Youtubeで世界中に広がったように、今の時代は、あなた一人が世界を変える力を持っていると言えます。
◆まとめ◆
欲望、願望(自己実現)ステージでは「満足感」が幸せであり、貢献、使命ステージでは「一体感」が幸せを感じるポイントになります。
満足感が幸せの状態だと、どうなってしまうのかというと「キリが無い」です。
新しく出てくる調理法、食材を次から次へと試して自己満足していっても、キリがありません。
100万円稼いでも、次は200万円、次は1000万円稼ぎたいとなってしまい、キリがありません。
世の中は、このように終わりがない世界とも言えますが、“幸せを一体感”と考えると“守備範囲”が広がります。
それは“未来という時間”の範囲もありますし、“人間関係など空間”という範囲もあります。
つまり、今あなたが料理人として、自分のスキルアップのためにだけ考えているとそこで終わってしまいます。
しかし、「この料理を食べた人が笑顔になる」
「それにより、その人が一日ハッピーで過ごし、友達や家族も幸せな気持ちにしてくれる」
「食事によって身体のめぐりがよくなり、調子がよくなり病気を改善」
「それにより仕事のお客様の満足度もアップ」
「未来に生まれてくる子供も元気に育つ」
「その子供が、、、」などなど、たった一皿の料理でも、一体感を幸せの基準とした場合、このように守備範囲が広がり、与える影響力も大きくなります。
そして、時間と空間を意識することで、あなた自身の
・話し方や声のトーン、雰囲気が変わります。
・仕事の姿勢、やり方、喜びが変わります。
・エネルギーが変わるので来る人が変わります。
「まだ、自分はそんな高いステージ段階ではない、、、」と思っていても大丈夫です。『貢献』ステージ以上にいる“つもり”になって、物事をとらえることで、少しずつでも近づいていくことができます。
ぜひ、意識していただけたらと思います。