意外にややこしい、Free食品たち
世の中には多くのFree食品があります。
- Sugar free(砂糖)
- Gluten free(グルテン)
- GMO(Genetically modified organism) Free(遺伝子組み換え)
- Preservative free(防腐剤)
など他にもたくさんありますが、今回はタイトルにもあるDairy free/Casein free/Lactose freeについてお話しします。
デイリーフリー、カゼインフリー、ラクトスフリーの違い
- デイリー(Dairy)とは乳製品のことです。
- カゼイン(Casein)とは、乳製品に含まれるタンパク質のカゼインです。
- ラクトス(Lactose)とは、乳製品に含まれる糖、つまり乳糖のことです。
- フリー(Free)は「入っていない」という意味なので、「乳製品が入っていない食品」となります。
シンプルに言えば、これだけですが意外にややこしいのです。
なぜややこしいのかというと、乳製品は色々と誤解や勘違いを生み出しやすい食品で、アレルギーの人は注意しないと命にかかわります。
例えば、「マヨネーズは乳製品ですか?」
多くの人は、一瞬「んっ?」と悩むでしょう。即答できる人は意外と少ないです。
そんなモヤモヤをここでは解決したいと思います。では順番に見ていきましょう。
乳製品(Dairy)を含む食品
代表的な乳製品を挙げます。
- チーズ
- 牛乳
- ヨーグルト
- クリームスープやパスタ
- 生クリームを使ったケーキ
- バター
- チーズ味のチップス、クラッカー、ポップコーン
- シーザードレッシング
- チョコレート菓子
- ホエイ(動物性)プロテインパウダー
このような食品が「Dairy」と呼びます。
通常、そこまで気にしなくても良いですが、乳製品によって、体の調子が悪くなってしまう人は、
「実は知らず知らずのうちに、身体によくない食品を食べていた」
なんてことになりかねないです。
特に日本人は、乳製品を摂ることで胃腸の調子が悪くなる人は多いです。
乳製品の罠
理解しておかなければならないことは、一般に売られている食品に「隠れて乳製品が入っていることが多い」ということ。
パッと見は大丈夫そうでも、材料表示を見ると発見できます。しかし、毎回心配しながらラベルを見るのは嫌ですよね。でもこれから伝える「ポイント」さえ押さえておけば、簡単に探し出すことができます。
その前に、とっても大事なことを覚えておかなければなりません。それはアレルギーや不対症についての理解です。
これが明確にわかっていないと、今後説明することもチンプンカンプンになってしまいます。
アレルギーと不対症
食物アレルギーと食物不対症は全くメカニズムが異なります。
食物アレルギーは、
免疫系を介する疾患です。
体に入ると、そのアレルギー食品を追い出そうと攻撃して、その結果、体に炎症が起こったりアナフィラキシーショックなど、最悪死んでしまう可能性もあります。
ちょっとだけアレルギー食品を食べるだけでも症状が出てきます。もともとアレルギーを持っている場合もあれば、後天的に発症する場合もあります。
食物不耐症は、
アレルギーと違い、免疫系を介さず、消化器系による疾患です。つまり、食べた物の消化・吸収がうまくできなくて体調を崩します。ある程度の量を摂取することで発症することが多いと言われています。
ミルクアレルギーと乳糖不対症
ミルクアレルギー(Milk allergy)と乳糖不耐症(lactose intolerance)は、どちらの場合も、「牛乳を飲むと腹痛・下痢などの症状が出る」という点で似ています。
乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)
牛乳の中に含まれる成分「乳糖(ラクトース)」を消化吸収のため分解する「ラクターゼ」という消化酵素が、小腸で分泌が十分にできない原因で起こります。
*食べ物は基本、その食べ物に合った消化酵素によって細かくなり、「これ以上細かくできない」ってくらい小さくなってから小腸で吸収されます。
消化不良・腹部不快・腹痛・下痢・おならなどの症状がでます。
個人差がありますが、「少量なら大丈夫。たくさん飲むとおなかをこわす」という人は、数回に分けて飲めば症状が出にくいです。
他にも、ホットミルクは大丈夫だけど、冷たいのはダメという方もいます。体温に近い方がラクターゼの活性が上がることで胃腸への刺激が少なく、下痢しにくいと考えられます。
このラクターゼは、一般的に、大人になると分泌が減少することが多いため、「子供のころは大丈夫だったのに、、、」という人は多いです。
私もその一人です。
ミルクアレルギー
ミルクアレルギーの多くは、タンパク質の一種カゼインが原因です。
アレルギー反応は、腹痛・下痢だけに収まらず、酷くなると、じんましん・呼吸困難・アナフィラキシー反応などが起こります。
より深刻です。
原因物質は、牛乳などの食品に含まれる、カゼインやβラクトグロブリンなどのタンパク質です。
牛乳アレルギーは、乳幼児に多く、3歳以降に自然治癒することが多いと言われます。粉ミルクでもアレルギーを起こします。ほとんどの場合、粉ミルクに含まれる牛乳タンパク質が原因です。
誤解されやすい“乳製品”と“乳製品ではない”名称。
日本語でややこしい表記があります。
加工食品に利用される「乳化剤」「乳酸菌」「乳酸カルシウム」
これらは「乳」が付くため、その名称から、乳製品と誤解されやすいのですが、乳製品(牛乳)とは関係なく必ず乳がはいっているわけではありません。
一方、「全粉乳」「脱脂粉乳」「練乳」「乳酸菌飲料」「はっ酵乳」などの加工食品には乳製品が含まれるため、アレルギーの人は食べられません。
母乳の乳糖(Lactose)
母乳には、「乳糖」と呼ばれる成長に欠かせない大切な栄養素が多く含まれています。
乳糖は赤ちゃんが持っているラクターゼという消化酵素を使って消化しますが、大人になると、そのラクターゼは出なくなる(少なくなる)と言われています。
そのラクトスを消化することができない人は、ラクトスの含まれた食品によってお腹を壊すことがあるので、Lactose freeの食事をすることになります。
牛乳のカゼイン、母乳のカゼイン
カゼインとは、牛乳や母乳に含まれるタンパク質のことです。牛乳に含まれるタンパク質には、カゼインの他にホエイもあります。
牛乳から脂肪分等の固形分やカゼインを除いた半透明な液体で、ヨーグルトなどで分離した上澄みの水分がホエイになります。
牛乳を温めたときに張る膜の主成分がカゼインです。
筋肉マッチョの人が飲んでいるプロテインパウダーはホエイプロテインですね。
ホエイもカゼインも、牛乳と母乳で含まれる比率が違います。
- 牛乳は、カゼイン80:ホエイ20
- 母乳は、カゼイン40:ホエイ60
牛乳には多くのカゼインが含まれています。
さらに、牛乳と母乳ではカゼインの種類も異なり、牛乳はαカゼイン、母乳はβカゼインがメインです。
乳児は、αカゼインは消化ができません。母乳はカゼインの比率が低くて、胃酸の影響での凝固もしにくく、消化しやすいです。
カゼインは大きく分けて、αカゼイン・βカゼイン・κカゼインの3種類が存在します。
人が消化しやすいのはβカゼインです。αカゼインは消化しにくいため、未消化物として腸内に残りやすく、腸壁を傷つけてしまう事があります。
カゼイン豆知識
<1>食品添加物の「カゼインナトリウム」は、カゼインを加工したもので、食品の安定化のために、お菓子やハム、アイスなど幅広く使用されています。
<2>発達障害の治療では、グルテンフリーに加え『カゼインフリー』の食事方法が実践されることが多いです。
海外のスーパーだと、大豆ヨーグルトやココナッツミルクで作ったチーズ、牛乳代替品のアーモンドミルクやライスミルクなども大人気です。
<3>ギーは澄ましバター(不純物を濾したバター)になるので、乳糖やカゼインが含まれていません。
*Ghee(ギー)とは無塩発酵バターを煮詰めて、水分やタンパク質、糖分などを取り除いた高純度のオイルです。
【Dairy-Free】と【Non-Dairy】の違い
これはもしかしたら、日本にはなくて、海外でのケースかもしれませんが、【Dairy-Free】または【Non-Dairy】という表示の場合の違いについて説明します。
まずわかりやすいもので言えば「ビーガン」「乳製品を含まない」これはDairy freeです。
「非乳製品」 “non-dairy”と表示された製品には、乳タンパク質やその他の乳製品由来の成分が含まれていることがあります。
デイリーフリー食品
乳製品という言葉自体が実際に何を意味するのかを理解することが大事です。
乳製品とは、牛やその他の哺乳類に由来する牛乳および牛乳の一部を指します。つまり、これらが含まれないものがデイリーフリーとなります。
また「乳糖(Lactose)」は牛乳に由来します。ですのでデイリーフリーはラクトスフリーでもあります。
ただし、ちょっとややこしいですが、ラクトスフリー食品は必ずしもデイリーフリーというわけではありません。
ラクトスフリー食品
ラクトスフリーには、牛乳を使ってないものもあれば、乳糖だけ取り除く加工処理をした牛乳のものもあります。
ミルクアレルギーの人や赤ちゃんは、ラクトースフリーだとしても牛乳が入っているものは一切ダメなので注意です。
牛乳から乳糖を取り除いた、ラクトースフリーミルクは全乳より消化しやすいため、お腹をこわしがちの人に向いています。
*デイリーフリーには、カゼインとホエイは入っていませんが、カゼインとホエイは乳糖ではないため、ラクトスフリーにはこれらカゼインとホエイは入っている可能性があります。
また乳製品から乳糖を除去してもタンパク質が除去されない可能性はあります。
卵は乳製品ではない
「乳製品アレルギーと診断されました。卵を避ける必要はありますか?」
こんな質問が来たらどう答えますか?卵は一般的には鶏卵を指しますし、卵と牛乳はまったく異なる種類の食品です。さらに、まったく別の動物からのものでもあります。
実際、卵は乳製品よりも肉に似ています。
「乳糖不耐症の場合、卵を食べることはできますか?」
卵には乳糖は含まれていません。乳糖は哺乳類のミルクに含まれる糖です。
別々に食品テストしてみる
ミルクアレルギーの人は卵を食べることができます。しかし、ミルクと卵の両方にアレルギーがある可能性もあります。知る唯一の方法は、両方をテストすることです。
病院などで、牛乳アレルギーをテストする場合、卵アレルギーもテストしてもらうように言いましょう。
もし自分で、食物除去テストをする場合は、ミルクと卵を別々にテストするようにしてください。
なぜ人々は卵と乳製品を混同するのか?
乳製品と卵製品は食品の生産と小売で密接に絡み合っています。卵と乳製品を混同する理由はいくつか考えられます。
- 昔、多くの(牛を育てる)酪農場は卵も生産していた。
- 卵は通常、乳製品と同じ、近くで販売されていた。
- 乳製品と卵は長い間、主食に近い存在だった。
- 同じ冷蔵ケースに陳列されていた。
また「乳製品」の写真には、ミルク、チーズ、ヨーグルト、そして卵が含まれていることがよくあります。
ためしにGoogleの画像検索で「乳製品」と入力してみてください。
面白いことに、いくつかの写真には玉子が一緒に載っています。
ギーはデイリーフリーですか?
乳製品を含まないわけではありませんが、乳糖不耐症の人にはギーが適しているかもしれません。
消化の理由で乳製品を避ける人の中には、バターよりもギーに耐えられる人もいます。
それは、乳糖とカゼイン(乳タンパク質)の含有量が非常に少ないためです。しかし、バターもラクトースとカゼインの量が非常に少ないため、バターでも問題ないこともあります。
ただ、カゼインアレルギーがある場合は、バターもギーも避けてください。
Dairyに含まれる代表的な食品
- バター
- カゼイン
- チーズ(すべて動物ベース)
- 練乳
- カッテージチーズ
- クリーム
- 凝乳
- カスタード
- 粉乳
- ギー
- 山羊乳
- 乳糖
- 牛乳
- ヌガー(お菓子)
- プリン
- リカルデント
- 羊乳
- スキムミルク
- サワークリーム
- ホエイパウダー
- 全乳
- ヨーグルト
驚き!「実は乳製品だった」隠れた17食品
アレルギーや不対症の人は、普段食品表示ラベルを読むことが重要です。それでもわからない場合は、製造元に直接連絡しましょう。
1 – ガム
すべてのガムが乳製品フリーではないです。一部のガムは牛乳に由来するRecaldent(リカルデント)と呼ばれる添加物を使用しています。
2 – パン粉とクルトン
お店で売られているパン粉やクルトンには乳製品が入っている可能性があります。
3 – 加工肉
安価に提供するために乳清または何らかの乳製品を使用したり、ソーセージにはチーズが含まれていることもあります。
4 – パン
特に甘いパンに関しては、パン生地を牛乳やバターを練り込んでいることは多いです。製菓業界ではごく一般的です。
乳製品フリーのパンもたくさんあります。
5 – チップス(およびその他のスナック)
商品をよりクリーミーにしたり、風味豊かにするために乳清を使用しています。
6 – 冷凍チキンナゲット&魚肉棒
ラベルの成分表を確認しましょう。
7 – サラダドレッシング
いくつかのドレッシングには、乳製品が入っていることもあります。
8 – クラッカー
乳製品を含むブランドはかなりあります。必ずラベルを確認してください。
9 – マーガリン
バターの代わりとして販売されていますが、すべてのマーガリンが乳製品フリーではありません。
マーガリンの味をよりバターのようにするために乳清を使用しています。健康上にも食べるのはお勧めしません。
10 – ラクトスフリー食品
ラクトスフリーのラベルを付けられていても、本当はラクターゼ酵素を追加したものもあります。
乳糖不耐症の場合は大丈夫でしょうが、ミルクアレルギーやカゼイン不耐症を持っている場合は、避ける必要があります。
11 – グラノーラ&シリアルバー
ものによってバターで作られ、風味を加えて乳清粉末を加えることもあります。しかし、ビーガンやデイリーフリもたくさんあります。
12 – スパイスブレンド
ほとんどのスパイスブレンドは問題ありませんが、調味料系スパイスやブレンドされたスパイスは、たまに乳清や粉ミルクを追加していることがありますのでチェックしてください。
13 – ブイヨン & グレービーミックス
牛肉のブイヨンは乳製品を含む傾向があります。ラベルを確認しましょう。
14 – 冷凍ポテト
ミルクの粉末や香料でバターなどが入っている場合があります。
16 – 医薬品
意外かもしれませんが、薬にも一般的に含まれていたりします。
症状がある場合は、薬剤師や医者に確認しましょう。また成分のラベルも確認してください。
17 – アルコール
ワインには亜硫酸塩とアミンが含まれていて、感受性の強い人だと頭痛を起こすことがあることはご存知の人も多いです。
しかし、一部のワインやビールは、アレルギーやビーガンの人にとって危険な場合があります。
実は特定の製法のワインやビールには乳製品が入っている可能性があります。ここでの一番の問題点は、アルコール製品に成分のラベルを付けることを義務付ける法律がないことです。
ワインの製造工程で、不純物を取り除くために添加される「清澄剤」のなかには、動物由来のものがあるとのことです。
広く使われている清澄剤としては、「血液や骨髄、カゼイン、キチン(甲殻類の殻に含まれる繊維)、卵アルブミン(卵白から抽出)、魚油、ゼラチン、アイシングラス(ゼラチンの一種で、魚の浮き袋から抽出したもの)」などがあるそうです。
これらの動物由来の成分はワインを濾過する目的で使われるものですが、少量ながらワインに吸収されてしまう可能性があります。
アレルギーや、ビーガンの人にとっては、知らずに口にしてしまうおそれがあります。乳製品に限らず、卵や魚や甲殻類など、よくあるアレルギーも含まれているので注意してください。
ワインだけでなく、ビールにも同様に意外な清澄剤が使われている場合があります。無清澄、無濾過のものを選ぶようにしましょう。
このサイトで、その製品がビーガン(乳製品が入っていない)かどうかがわかります。barnivore.com
検索で出てこない場合は、製造元に問い合わせましょう。
逆に!実はDairy free(乳製品が入っていない)食品
- ココアバター/パウダー
- ココナッツバター/クリーム
- グルコノデルタラクトン(ph調整剤・酸味料・凝固剤)
- レシチン・オレオレジン
- 麦芽大麦または他の穀物ベースの麦芽
- モルトリキュール/ビネガー
- ナッツバター(ピーナッツ、アーモンドなど)
- シアバター(植物性油脂)
以上、参考にしてください。