今回は調味料の中でもスパイスです。さらにスパイスの中でも“胡椒(コショウ)”について詳しく話していこうと思います。
『辛みのスパイス“コショウ” 』
コショウは、完熟度や果皮の有り無しで香りや辛みが違います。下調理から加熱、料理の仕上げにいたるまで、使用頻度は高いです。より効果的なコショウの使い方を学ぶためにまずは種類と簡単な説明をします。
コショウには大きく分けて3種類あります。
熱帯のつる性植物、コショウ科の木の実を加工したものでインド南西部マラパール地方原産で、おもな産地はインド、インドネシア、マレーシアです。その他ブラジルやアフリカ大陸のマダガスカル島、東南アジアのベトナム、カンボジア、スリランカ、珍しいところではクロネシアでも作られます。
ちなみに、マレーシアのサラワクという胡椒は、日本人の嗜好に合い、日本での消費率がもっとも高いコショウと言われています。土壌や気候、栽培・製造方法の違いにより、出来上がりも様々です。粒の大きさや色も産地によって違います。
<ブラック(黒胡椒)> 辛み
熟し、色づく前に収穫・乾燥させたものです。未熟なコショウの実を摘んで数日間おいた後、皮つきのまま実がしなびて暗褐色から黒色になるまで天日乾燥させたものです。
外皮に芳香成分を含むため、香りや辛みが強く感じられます。
<ホワイト(白胡椒)> マイルドな風味
完熟させて、水に浸けてから果皮を除いて乾燥させます。ところどころ赤く色づいて熟したコショウの実を、水に1~2時間漬けて柔らかくし、皮をこすり取って乳白色になるまで乾燥させたものです。
上品な香りや辛みを持ち、白っぽい色や透明感を生かす料理に向きます。
<グリーン(3種類)> 清涼感
1:ドライ
未熟な緑色のコショウの実を、機械を使って熱風乾燥させたもの。香りと辛みが穏やかでさわやか。
2:フリーズドライ
ドライと同じ未熟な実を冷凍乾燥させたもので、乾燥中に極度の成分変化が起こらないため、ドライより色や見栄えが良いです。
3:塩漬け
未熟な緑色の実を塩漬けしたものです。酢漬けしたものもあります。サラダやさわやかな辛みのソースなどに用いられます。
辛みは、ブラック、ホワイト、グリーンの順番で強いです。特にブラックは香りづけ、辛みづけ、臭み消しの効果があり、よく使われます。
<ピンクペッパー>
鮮やかなピンク色。コショウの類ではなく、辛みも香りもほとんどなく、彩として使われることが多い。
原料は3種類あり、南米原産のウルシ科「コショウボク」の熟した果実。北欧原産のバラ科「セイヨウナナカマド」の果実を乾燥させたもの。それを塩漬けしたもの。その他、赤く熟したコショウの実の加工品もあります。
<ジャワペッパー>
インドネシア原産のコショウ科の未熟な果実。刺激的な香りとキレのある辛み、そしてわずかな苦味をもつコショウの仲間で、「テール付きコショウ」「クベバコショウ」とも呼ばれ、細い尻尾のようなものがついているのが特徴です。
ジビエと相性が良いです。
<ロングペッパー>
インド南部や東南アジアに原生するコショウの近縁種。ブラックより辛みは穏やかで樹木のような清涼感とほんのり甘い香りをもつ豚肉料理との相性が良い。
「ヒハツ」とも呼ばれる。
挽き方のよる使い分け
挽いた粒子の大小によって、香りや辛みの感じ方が違います。
以下に、どれくらいの挽き具合がどんな料理に合うのかを載せます。粒の大きい順です。
<ホール(粒)>
丸い粒で、長時間の調理や存在感の強い食材に適します。煮込みやマリネなど、香りをゆっくり引き出して料理にしみこませたい時に使いましょう。
<八つ割>
ホールを8つに割ったもので、ステーキやグリルなどに用いられます。触感や噛んだときのフレッシュな辛みと香りを生かす料理に。
<粗引き>
八つ割より、もう少し細かく砕いたもので、肉のグリルやロースト、コショウの存在感を生かした炒め物などに適しています。
<グラインド>
少し粗めの粒子とパウダー状の粒子が合わさったもの。下処理から仕上げまで幅広く使うことができます。
<パウダー>
細かく挽いてあるため、一気に香りが立ち、即効性が高いです。素材への下味や料理の仕上げに用います。