決断:食医への道

2020年9月2日 午前9時

若い女性起業家と待ち合わせの場所に行く途中のバスの中で、”それ”は思いついた。

「そうだ食医になろう」

 

突然浮かんだ考えだった。唐突に頭の中に出てきた”食医”という言葉が、ここからの私の人生を変えていくことになる。

食医とは!?

食医とは、食事で人を治す【医者】のことです。昔、中国には4種類の医者がいました。

薬を用いて治療にあたる「疾医」(現在の内科医)、

メスを用いて治療にあたる「瘍医」(現在の外科医)、

動物を診る「獣医」、

そして『食』全般を担う「食医」

この4種類のなかで、最も重要であるのが食医でした。

古代中国では医師のランク付けがあり、その中で最高位にあったのが、皇帝の体調管理を「食」で行っていた「食医」です。王の飲食のバランス・四季の陰陽調和・味の組み合わせなどを管理をするのです。

 

食医をめざすきっかけ

「いきなり”食医”が思い浮かんだ」のですが、実は前々からとても興味がありました。

料理人をしながら、漢方やハーブ、健康に関する勉強をしていく中で、料理を通して人を健康にしたいという思いが強かったのです。

理由はおそらく母の影響もあるかと。

母は看護師です。私の子どものころから現役バリバリで働いている姿を見て、またその周りにいるお医者さんたちと触れる機会も多く、”人を治す仕事”に幼少ながらに影響を受けていたのではないかと思います。

 

私は日本料理人ですが、「日本料理は健康」と言われていることにずっと違和感を覚えていました。

健康大国であるオーストラリアに住んでいても、外国人の日本料理の認識は「ヘルシー」です。

 

人気の寿司も「ヘルシー」と言われていますが、すし飯の酢には大量の砂糖が使われています。

その他にも日本料理は砂糖を使う料理も多いですし、味噌も多く使うので塩分は高いです。

お店によっては添加物ダラケや化学調味料まみれの料理ばかりだしているところもあります。

 

「本当にこれでヘルシーなのか!?絶対ちがうだろ」

と思っていましたし、実際内情を知っている私からしたら、ヘルシーではない部分もたくさんあります。

 

日本料理以外の油まみれの料理やステーキなどの肉料理、生クリームたっぷりのソースや甘ったるいケーキなどと比べれば、確かに「和食はヘルシー」かもしれません。

しかし、本当に健康的な料理かというと、そうではない面もたくさんあります。

 

そもそも飲食店はビジネスなので、健康路線のお店でない限り、

甘かろうが、添加物が入っていようが、極論身体に悪くても、お客さんが満足すればOKなのです。

 

悪くないとも断言しませんが、良いとも言えません。

また安い単価の店は、必然的に身体に悪い料理が多く、高い単価の店は身体に良いとは言いませんが、まだマシです。

 

 

そんな飲食業界に20年以上どっぷり浸かってきて、料理以外にも経営やマーケティングも学んで、ビジネスとして取り組んでいる時期がまさに今の私です。

 

老舗日本料理店の料理長を経て、GM(ジェネラルマネージャー)という最高責任者までなり、お店を任され回しています。

健康なものを出しているという意識はありません。

理由は、お客さんの求めているのは、健康になる料理ではないからです。

 

 

また、今まで健康食や栄養、食養など、勉強してきた時期もあります。

しかし、あまりにも膨大な知識が必要であり、陰陽や漢方なども組み合わせると複雑すぎて、さまざまな本を買ったり、ネットで調べて勉強はするものの、毎回途中で断念していました。

 

料理も奥が深いですが、健康や医学系の分野はさらに奥が深いです。

日本料理でさえ、マスターしていないのに、そこからまた新しい分野なんて、時間もお金もかかるし到底無理だろうという判断を毎回して、途中で勉強を諦めていました。

 

その時も、毎回「食医になろう」と決意していたと思うのですが、

今回のひらめきとも思い付きともわからない、突然頭に浮かんだ「食医」は、私のこれまでの決意とは違い、

「決断」になっていました。

このときすでに、人生の目的が「食医」に向いた瞬間でもあります。

 

これが私が本当に心から「食医になる」と決断した出来事です。

 

ちなみにその若い女性起業家に会い、その後、オーストラリアでの日本料理界の重鎮と呼ばれる人物にあるのがその日の目的で、

この日を境に、私は日本料理人・GMという立場を捨て、新しい業界に行こうとしていたのは、あまりにも不思議な偶然でした。