松花堂弁当と吉兆
私の出身料亭である吉兆と松花堂弁当は実はメチャクチャ深い関係にあります。なぜなら、この弁当を作ったのは、吉兆の創業者である湯木貞一氏だからです。当然のことながら、吉兆では松花堂弁当はメニューにあり、毎日作っていました。
松花堂の由来
松花堂弁当は、江戸時代初期の茶人。松花堂昭乗の愛用していた煙草盆を見て、これを湯木氏が弁当箱に使ったのが始まりです。
幕の内弁当にも似ていますが、江戸中期から浸透してきた、幕の内弁当は本膳料理が元となっており、懐石料理の流れを汲む松花堂弁当とは違います。
松花堂弁当の盛り付け・配置
今は6つ仕切りや9つ仕切りなど、多くのバリエーションの松花堂弁当がありますが、
↑6つ仕切り
もともと基本は、4つ仕切りの弁当箱です。その4つの穴にそれぞれ盛り付けた料理をはめ込むのですが、どこに何を入れればいいのでしょうか?
それは、懐石料理から来ている松花堂弁当なので、お茶事での懐石料理にならって配置すれば、良いわけです。
そして、吉兆では基本、
- 左上に八寸などで使うような一品・前菜系
- 右上に向付(お造り・お刺身)
- 左下に煮物(炊き合わせ)
- 右下にご飯
という位置です。
↑こんな感じ
しかし、食べる人の食べやすさを重視して、その配置を変えている場合も多くあります(例えば、『左下にご飯、右下にお造り』など)。また、見た目の美しさや小鉢の色などから配置を変える場合もあるでしょう。
実際に、私の働いていた吉兆でも、以下の写真の通りに、さまざまな盛り付けバージョンがありました。
(10年以上前の写真になりますが、、、)
お店で出すのではなく、お持ち帰りテイクアウト用や仕出し(配達用)の場合、
このように、弁当箱をその場で処分できるようなスタイルで作ります。また、中にはこのように仕切り無しで盛り付けることもあります。
料理の盛り方
弁当スタイルのため、基本は蓋(フタ)をした状態でお客様の前にお出しするので、天ぷらなど、高さのあるもので蓋を閉じられないほどまでの高さまで盛ることはできません。
しかし、場合によっては、すでに蓋を取り外した状態で提供して、見た目により豪華に華やかに見せるお店もあります。
松花堂と点心
吉兆のランチでは、松花堂の他にも点心を呼ばれるものを出していましたが、これも同じ弁当箱のようなものに盛り付け提供するのですが、松花堂弁当とはまた違います。
↑点心
まとめ
松花堂弁当に限らず、どの料理にも当てはまることですが、何を一番重要に盛り付けを考えているかで、その配置は変わってくると思います。
・食べる側の食べやすさ
・見た目の美しさ
・王道のやり方に従う
・センス・好み・直観など
色々要素はあると思いますが、ちゃんとした歴史やあり方を知った上で、遊び心を出して盛り方を変えてみるのはありだと思います。
盛り方を変えたり、6つ仕切りや9つ仕切りなど、型を破ったり、離れるところは、守破離でいうところの『破』や『離』になりますね。真行草でいう『行』と『草』です。
何事も基本を知った上で色々と進化させていくのが、先人に対する礼儀であり、筋というものでしょう。
ps、、、
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