前回の復習です。お寿司の皮目の位置・向きは奥か手前か? 説1 ~日本料理~ http://wp.me/p50ahn-1nq
お寿司の皮目の位置・向きは奥か手前か? 説2 ~魚の触感・筋の方向~ http://wp.me/p50ahn-1nM
3:見た目
お寿司の皮目の位置・向きは奥か手前か?シリーズの最後は、見た目。つまり、どれだけ綺麗に見えるかについてです。
実は、日本料理のどんな決まり事を守ることよりもシンプルに目の前で握ったお寿司を出して、食べる寿司は、この見た目が一番重要と考える寿司職人も少なくありません。
その見た目と言うのは、単に皮目が上か下かという問題だけではなく、握った時に見える筋の方向なども考えて切りつけしている料理人もたくさんいます。
それは筋に直角に入れるとか、入れないなどもそうですが、例えば、サーモンだと、
↑筋が横に入っている。魚によって、または部位によって、
↑筋が斜めに入っている。
筋に直角に入れることで、寿司を握った時に見える筋目がキレイかどうか、筋に直角ではなく90度ずらした方がキレイに見えるのであれば、そちらの切り方にする。というような、見た目重視のやり方です。
この場合、多くの盛り付けは皮目が手前になります。なぜなら、見た目重視だからです。
結局のところ、皮目の割合が低い(見える範囲が少ない)魚のネタを握る場合、皮目を奥にしてしまうと、テーブル席で食べる場合に、お客さん目線で見た場合(斜め45度の角度から見て)、そこまで皮が目立たない、見えない。
お客さんの目線斜め45度からだと、ネタの皮目が見えない。という状況となり、魚によっては、白身など皮目をみることで、何の魚か判断できることもあるので、その場合、上の写真のように、皮目向うにするとお客さんが何の魚なのか「わかりにくい」となります。
さらに、せっかく皮目を立たせて切ったとしても、皮目向うにした場合、その部分も目立たないという場合もあるので、皮目手前なのかと思います。
さらには、カウンター寿司の場合、寿司の見える角度がもっと高い位置に出されることもあるので、20~30度の角度で見る場合(水平に近い感じで出された寿司を見る)場合もあるので、それだと、余計に皮目手前の方が美しく見えます。
そして、切りつけの時も、おそらく、ほとんどは皮目を下(まな板につけて)にして切りつけ、角を立たせるような切り方をすると思うので、そちらの方が、お寿司の横のライン(長い方)をキレイな直線の切り目を手前にして握った方が、より美しく見えると思います。
すると皮目手前になります。
さて、ややこしいですが、以上が見た目重視で寿司を盛り付ける説についてです。
ちなみに絵で書くと、魚の柵の皮目を下にして、高い方を奥(向こう)側にして柵の右上から左下に向かってそぎ切りした場合、
切り身は(大げさに書くと)、
↑このようになるので、幅が狭い方を右にした方が恰好つくので、皮目奥でお寿司を盛り付け、
柵の高い方を手前にして、柵の左上から右下に向かって(さっきとは90度切る位置を変えて)切った場合、
切り身は、
↑この形になるので、皮目手前で盛り付けることになります。
さらに、これに追加して、筋の方向などを考えながら切っていきます。
もし柵取りした魚が、マグロのように長方形の柵だったり、サーモンなどでも台形のような柵の場合、どちらが高い低いというのはないので、皮目の向きはどちらでも対応できるのかと思います。
以上、ちょっとわかりづらかったかもしれませんが、一つ言えることは、これが正しいというものではなく、ちゃんとした理由があって、盛り付けなり、皮目手前・奥などにしているのであれば、それで良いのではないか、ということに行きつくと思います。
さらに、これまで説明してきた3つの要素を全部または複数組み合わせて、寿司の握りの盛り付けを考える方もいます。
今回解説してきた考えは、私の長年の経験からの個人的主観ですが、あなたはどう思ったでしょうか?