丸前角向こうで盛り付ける理由は“陰と陽”が関係!?

丸い器は綴じ目が正面そして、四角の器は綴じ目が向こう側です。

料理を盛り付けるときに、継ぎ目や綴じ目がある器の正面を把握するためにお茶の世界や日本料理では「丸前角向(まるまえかくむこう)」と教えられますが、これは、元々は木製の器である「曲げ物」の向きを判断するために考えられたといわれています。

そんなことは、日本料理人であれば常識ですが、なぜだかわかりますか? 意味を知っているでしょうか?

答えは“陰と陽”

これだけでわかる人は結構すごいと思いますが、では、どちらが“陰”でどちらが“陽”なのでしょう?

少しここで、陰と陽について簡単に振り分けます。まず、

光、太陽、明、剛、火、夏、昼、動物、男

包丁の右側(角度が付いている方)、丸い器・浅い器、身体を温める食べ物、菜っ葉類、海の魚や丸ごとの魚、位置では向こう側、

闇、月、暗、柔、水、冬、夜、植物、女

包丁の左側(平らな方)、角のある器・深い器、身体を冷やす食べ物、根菜類、川の魚、切り身、位置では手前側、

↑対極図(対極魚とも呼ばれ、黒が陰、白が陽を表します。陰の中央にある魚眼のような白色の点は陰中の陽を示し、いくら陰が強くなっても陰の中に陽があり、後に陽に転じることを表し、またその逆もありえる。)

ちなみに、陰が悪く、陽が良いという単純な意味ではなく、相反する二極によって自然の調和・秩序が保たれる。という東洋医学の考え方ですが、どうしても“陰”に悪いイメージがありますね。

そこら辺を踏まえつつ、丸前角向こうの話に戻ります。

先ほどの例では、陰と陽の“陰”は四角の器で手前側。 “陽”は丸い器で向こう側です。つまりお客様側に“陽”の方向でお出ししなければならないため、

角のある器は継ぎ目をむこう側にすることで“陽”になり、丸い器は継ぎ目を手前にすることで“陽”となります。

これが「丸前角向」と呼ばれる理由です。