歩留まり率とはご存知の通り、どれだけ使う部分があって、どれだけ使えない(捨てる)部分があるのかの割合のことを言います。詳しくはこちら⇒ 歩留まり計算式についての記事

この歩留まりについて、私なりに出した結論は「自分で実際に計ってみなければわからない」ということ。 たとえば、お店で人参1本を使う場合、どのような調理法・料理なのかによっても歩留まりが変わってきます。

お造り(刺身)のあしらいに大根のケン(つま)のように細く切る場合、かつらむきをするので、芯の部分は使いません。つまり、すると使える部分は、芯と皮を取り除いた部分だけということになります。

しかし、煮物を作る時に、人参を乱切りにした場合で芯の部分も含む場合、人参は皮以外は使うことになるので、お造りの場合とは歩留まり率が変わってきます(使える部分が増えるため歩留まりが良くなります)野菜に限らず、魚や肉も、料理によって歩留まりの取りかたが変わってくることを覚えておかなければなりません。

次に、食材の種類や質による違い。

また人参を例に挙げますが、人参と言っても色々な種類があります。一般的にスーパーで売っているような西洋人参を対象にしたとしても、産地や大きさによって歩留まりに違いが出てきます。

あとはおいしい人参の見分け方として、芯の小さいモノが良いと言われていますが、人参の旬やランクによっても変わってきます。

このように歩留まりと言うのは、本やネットで公開している数字を見ても、本当に自分の求めている歩留まり率なのかどうかはわかりません。

大きく違うこともないでしょうが、お店で使う食材の歩留まりを決める場合、その小さな誤差がつもり積もって、大きな数字のずれとなって現れる可能性もあります。ですので、誰かが「鯛の歩留まりは60%だ!」と言っていたとしても、その言葉を信じて計算してしまうのは少し待ってください。

その人とあなたの食材に対する考えが違うかもしれませんし、どのような料理に使うのかもわかりません。できるのであれば、自分で食材を計り、歩留まり率を求めるのが一番良いと思います。

その参考値として、一般公開されている各食材の歩留まり率を見て確認しても良いですが、あまりにも割合が違い過ぎたとしても、あなたが計算間違いをしていない限り、自分で計った歩留まりが正しいのです。

ただ、自分で計る場合、1回だけでなく最低5回は同じ食材で歩留まり率を計りましょう。その食材の平均値があなたに合った歩留まりになります。

 

はっきり言って、最初はものすごくめんどくさいです。

お店で使う食材すべての歩留まりを計ろうとすると、とてつもない時間と労力を使うように感じますが、1日1つずつでもいいのでこつこつとデータを貯めていくことによって、あなただけのオリジナルの歩留まり表が出来上がります。

その際には細かくしっかりと詳細を記入しておいてください。

時間はかかりますが、自信で作成することにより、覚えやすく、自然と数字が頭に入っていき、食材や料理の原価計算をすることが簡単になっていきます。

この自分だけの歩留まり表は、料理人として一生の財産となりますし、自分の料理の“くせ”を発見することもできます。