洗いの番外編
「洗う」というのは汚れを落とす目的のほかにも、さまざまな理由で“洗い”をします。
お刺身を洗う!?
魚を切り身にした後に、氷水で“洗う”のですが、目的は、魚の身を締めて、歯ごたえを出すためと、脂を取り除くためです。
氷で冷やすため、冷たくて清涼感があるため、夏のお造りでよく出されます。
氷水にお酒(日本酒)を入れたり、塩を少量入れる場合や、皮つきの場合は霜降りをして、氷水に入れるやり方もあります。また、“洗い”の場合は身の弾力が特徴のため、活じめの魚を使います。
また活けの海老も“洗い”にすると、剥きたてそのままを味わう「おどり」や茹でた海老とも違う弾力と甘みを閉じ込めることができます。
野菜を茹でた後の“洗い”
ホウレンソウなどの青菜を茹でた後にも流水で“洗い”ます。
この場合も汚れを落とすためではなく、冷水で洗うことで、余熱で色が変色しないためにキレイな緑色を保つための“色止め”の目的と、流水に流すことで、アク抜きも行われます。
ただ、あまりにも長時間、流水にさらすと、ビタミンCなどの栄養も抜けてしまうので注意が必要です。また、タケノコやフキなどを流水にかける場合は、色止めよりもアク抜きの意味合いが強いです。
里芋は、皮をむいてゆでた後に水で洗いますが、これは表面のぬめりを取り除くためです。このぬめりを落とさずに煮ると、煮汁が粘ったり、調味料が食材に浸透しづらくなったり、熱の伝道が悪くなります。
また里芋をむいて直接煮る(味を付ける)場合は、塩でもんで洗うとよいでしょう。
ボイルした海老も洗う?
エビもゆでた後に、冷水に入れますが、鮮やかな赤色を残す目的と、ぬるぬるした殻の表面を洗い流すという目的があります。
そうめんやうどんなどの麺を茹でた後に水で洗う理由
麺もゆでた後、流水で洗いますが、この場合は、必要以上の糊化を防ぐためです。水洗いしないと、粘着力が増したり、つゆに溶けだし、汁が濁ります。
さらにゆでた後に、流水でさらしても、余熱が残っていれば、芯の方まで糊化し、水分を含んでコシがなくなります。
そうめんの場合、もむように流水で洗うのは、そうめんを作る工程で、伸ばしてもちぎれないように油を混ぜてこねているために、もみ洗いにより、余分な油を取り除くことができます。
以上が、調理における“洗い”の番外編でした。基本の洗い方はこちら↓