意外と使えるペクチン
ゼラチンは柑橘系のものをゼリー状にしたい場合、固さに違いが出たり、うまく固まらなかったりして使いずらいです。そんなときに使うのがペクチンです。しかし、ゼラチンのようにカチッと固まるわけではありません。あくまでゼリー状です。
「ペクチン」って聞いたことがある人は多いかもしれませんが、詳しく知っている人は少ないので紹介したいと思います。ちなみに、最近私がはまっているフルーツの味の人工イクラ球を作るのにこのペクチンが必要になってきます。別の記事で書いているので、興味あれば見てくださいね
ペクチン
増粘安定剤の一種で、食品をゼリー状に固める作用(ゲル化)、食品成分を安定化させる作用等があります。サトウダイコン、ヒマワリ、アマダイダイ(オレンジ)、グレープフルーツ、ライム、レモン、リンゴなどから酸抽出されます。
ペクチンは酸性の食品にも使用できることから、ジャム・ゼリーや、ヨーグルト飲料などの乳タンパク安定剤としても使用されます。カルシウムとのゲル化作用を直接利用するフルーチェにも使われています。
果物、野菜には量の差はありますが、ペクチンが含まれています。
皆さんご存知の、ジャムのとろみは、煮詰めたためだけではなく、果物の持っているペクチンが、煮ることによって抽出されるため、どろっとなります。
原料は何?
リンゴやかんきつ類等のすり潰した果実から得られます。ジャムやゼリー等のゲル化剤に使用されます。食べると、消化管内では食物繊維として機能します。
どんなお菓子用?
ジャム、ゼリー、ヨーグルト、他、、最近レストランで使われたりする人口イクラの製造
ペクチンの作用(ジャムの作り方)
果実を糖分と共に煮詰めると、水に溶け出したペクチンと果物の酸との作用によるゼリー化でジャムができます。ペクチンの量が少ない果物(イチゴとか)にはゲル化剤・増粘剤としてのペクチンを補いジャムをつくります。
ペクチンの特性
整腸作用があり、下痢や便秘を予防する効果があること。また血液中のコレステロールや、そのなかの悪玉と呼ばれているLDLを下げる働きがあり、動脈硬化や心筋梗塞、糖尿病にもよく、健康維持に重要な役割を持っています。
対低温性
一般に凍結・回答に対して安全です。
機械耐性
LMペクチンのゲルは機械耐性に優れていて、撹拌してもしばらく置いたらゲル状に戻ります。
使う時の注意は?
ダマになりやすいので、グラニュー糖と混ぜてから、材料に加えます。または、粉ゼラチンのように”だま”のできないように、少量の水でしめらせてから加えましょう。ちなみに、温めなくても、ジェル化します。冷たいままでも溶けて固まります。
ペクチンの種類
一般に売っている、製菓材料コーナーで目にするペクチンは融けやすいよう、最初から砂糖が混合されている場合が多いです。
製造法により、異なる性質のペクチンが得られ、高メトキシルペクチン(HMペクチン)と低メトキシルペクチン(LMペクチン)があります。
HMペクチン
- ゲル化条件
高い糖度(55%以上)、酸性(pH3.0くらい)の条件でゲル化。PHとは酸性の度合いのことで、寿司飯などはPH4.5~4.6くらいです。PH5までいくとシャリに菌が繁殖しやすくよくありません。
衛生管理上では必ず必要になってきます。(特にお持ち帰りの寿司などの場合)低いほど酸性です。
- 活用例
甘味・酸味の強いジャム等(*ジャムを作るとき、レシピによくレモン汁が使われるのは、このPH酸度の調整のためと、ペクチンの追加をするという、2つの意味があります)
他のゲル化剤では固められないような酸味の強い物を固める場合に使用される。
酸性での乳タンパク質の分離、沈殿を防止する効果がある。
LMペクチン
- ゲル化条件
糖度、PHに関係なくCa、Mg等イオンの存在でゲル化。Caはカルシウムです。乳製品や魚介類などに多く含まれます。
Mgマグネシウムの食品は?
マグネシウムは、大豆製品、魚貝類、海藻、木の実に多く含まれます。
Mgが多く含まれる食材
わかめ、こんぶ、干しエビ、しらす、豆味噌、油揚げ、つぶ入りマスタード、あさり、納豆、いわし、いくら、はまぐり、タクアン、湯葉、牡蠣、チーズ、オートミールなど、、、
飲み物では
抹茶、ミルクココア、昆布茶、に含まれ、豆乳、各種ジュース、ワインやビールにも少量入っています。
LM低メトキシルペクチンは低糖度でもカルシウムイオンとの共存で、耐熱性に優れたゲル化剤をつくる。
- 活用例
甘味・酸味を抑えたジェル状食品、牛乳を用いたデザート類。甘味や酸味を押さえたデザート類、うわがけゼリー(ナパージュ)に使われます
追記、、、
LMペクチンは、低糖度食品のゲル化剤として需要が大きいですが、粘性が低い欠点がありました。そこで、従来のHMペクチン製造法にクエン酸の添加・反応工程を加え、粘度の高いLMペクチンが開発されました。
この新しいペクチンは糖度、酸度、カルシウムイオン等に依存せずに高粘度を示します。
まとめ
このように、ペクチンはゼラチンなどと違い、煮とかしても固まるわけではなく、しっかりした甘味 糖度にして55%以上、酸度pH3.0だったり、カルシウムが必要だったり、一定の条件でジャムのようにとろりと固まります。
しかし、果実にも不定量のペクチンが含まれているため、好みの固さを作るために、単純に分量やレシピを割り出すのが難しいとも言えます。
さらに、未熟な果実では「ペクチン」が非常に長くつながって「プロトペクチン」という形態になっているから、そのままでは水に溶けず、集まってゲルを作ることもできないが、必要以上に熟しすぎた果実では、ペクチン自体がバラバラに分解され、ゲル化する能力を失ってしまう。
つまり、果物の熟れ方で、固まり方に差が出ることもあるということです。
このように、色々な条件が組み合わさってゲル化するので、糖度計を使っても、やはり思った通りの固さに調整するのは結構難しいかと思います。
ペクチンの勉強になりました。
一定の固さにするのは難しいということですが、それでも一定の固さを出したい場合、何か基準になるものはありますか?
たとえば、フルーツのpHがいくつだったらペクチンを何パーセントにするとか。
教えてください。
ご質問ありがとうございます。
ペクチンの固さはこれといった基準を作るのも
色々なバランス(酸や糖なども含め)が組み合わさっているので、
かなり難しいです。
お力に慣れずに申し訳ありませんが、
参考になりそうなサイトのURLを載せておきます。
http://inakaseikatsu.blogspot.com.au/2014/06/blog-post_27.html
よろしくお願いします。