今回は日本の名物、夏の風物詩「かき氷」について、歴史や起源からこだわりのかき氷の作り方や最新のかき氷までお伝えしていきます。
なぜいきなりかき氷について語るのか?
最近、コロナのおかげで時間ができNetflixをよく見ます。そのネットフリックスの中の食べ物系ドラマを見ていて、どうしても食べてみたい“かき氷”がありました。
私自身かき氷を作るのは専門ではないですが、知らないうちにこんなにもレベルが高くなっていたのかと衝撃を受けたので記事にしたいと思います。
その前にお伝えしたいことが一つ、、、料理人をしていて、テレビや動画(Youtube)などを見ることはほとんどありませんでした。テレビは今でも全く見ませんし、Youtubeはたまに
・お笑い(ダウンタウン系)
・職人系の番組(仕事の流儀・情熱大陸など)
・料理関係(パレドZや孤独のグルメ、深夜食堂など)
を見ることが多かったのですが、今ではすでに見てしまったものが多くなってきて、新しい何か飲食関係の動画が無いかなーと思っていた時に、妹からNetflixを紹介されてみることになりました。
家族のだれか一人がNetflixに加入していると、その家族みんなも見れるので私は月額無料で見れちゃうのです(ラッキー!)妹が声優をしているので番組をぜひ見てほしい!ということがきっかけで初めてNetflixを使うことになったのですが、いざ番組を見てみると食べ物関係の番組がメチャクチャ多いのです!
「やばっ!!」と思わず叫びながら、今はNetflix中毒になってしまったのです、、、。
特に料理人のあなた!『ネットフリックス』ものすごく良いです!!コロナで仕事が減ってしまった今が見るチャンス!!
ありとあらゆる食のジャンルの番組があるのでぜひ勉強のためにもおすすめします。
、、、で、おススメしたい番組はたくさんあるのですが、今回のかき氷の情報は、Netflixで配信していた『サボリーマン甘太郎』めっちゃ名前が『サラリーマン金太郎』のパクリですがこれがまた面白い。
そこまで甘い食べ物・スイーツに興味がなくても楽しめます。たまにB級感が漂いますが、それもまた魅力の一つです。
さて、この『サボリーマン甘太郎』で“かき氷”の回がありました。ここに出てくるかき氷に魅了され、「かき氷ってこんなにこだわって作ってるんだ、レベル高っ!!日本スゴッ!」と思い、
ちょっと調べてみることにしました。というのが今回の記事を書くに至った経緯です。
では「いざ甘味の世界へ、、、」
かき氷の起源
一般的に普及している呼び名である「かき氷」は、東京方言の「ぶっかきごおり」に由来します。他には「夏氷(なつごおり)」「氷水(こおりみず)」など。近畿では「かちわり(ごおり)」などとも呼ばれます。
また歴史は平安時代にまで遡ります。清少納言の『枕草子』の、あてなるもの(=上品なもの、良いもの)の段に
「削り氷にあまづら入れて、新しき金鋺(かなまり)に入れたる」
(細かく削った氷に甘いつゆをかけて新しい金の椀に盛りつけたもの)
と記されています。この「削り氷」が、今のかき氷のことです。当時のかき氷は小刀で削るものでした。
冷凍庫のなかった当時は氷は貴重品で貴族しか口にできないものです。しかも甘葛(あまづら)は砂糖のなかった平安時代で最高の甘味料でした。
こだわりのシロップ
シロップひとつとっても玄人と素人は違います。家庭では市販の着色料たっぷりのシロップを使う人は多いです。このシロップはいわば、水に砂糖を混ぜ着色料と香料を加えているだけで、色は赤のイチゴ味だとしても、完全にフルーツオリジナルの味とは程遠いのです。
でもプロは違います。メロンならメロン、イチゴならイチゴと食材そのものをミキサーにかけてシロップを作ります。おそらくかき氷専門店と呼ばれるお店は独自のシロップを作っているところは多いでしょう。
そういえば、昔かき氷のシロップのトリックについて書いた記事を思い出しました。
『盛り付けや見た目で味が変わる!?~かき氷の雑学~』https://wp.me/p50ahn-E1
2020年最新版のNewかき氷!
私のかき氷のイメージは屋台で出てくるような、ただシロップや練乳をかけただけのシンプルなものです。でもこの令和のかき氷はもの想像を上回るかき氷が出現しています。あずき、生クリーム、アイスクリームを乗せるのはまだ想像の範囲内でしょう。しかし最新のかき氷は例えばかき氷の上または周りに、、、
- タイ焼き
- ラムレーズン
- チョコミント
- パチパチくん入り
- ティラミス
- 甘酒
また『キャラ弁』ならぬ『キャラかき氷』などもあります。
はい、もうなんでもありです。そうなると普通に料理と融合する時代も遠くないかもしれません。かき氷が懐石料理の八寸に出てくるかもしれません。*もちろん甘味としてではなく
また形もこだわらずに、山型の盛り付けではなく、四角や東京タワーみたいな積み上げ型、ケーキ型、グラタン風、氷細工乗せ、
そのほかコーヒーアートならぬ“かき氷アート”とか上からバーナーで炙るブリュレ氷なんてのもあります。(これは斬新!)
器も特徴的なかき氷
かき氷の土台(器)もこだわる店が多いです。アイスクリームのコーンのように、そのまま全部たべられちゃうものもあれば、フルーツまるまる使い器にした盛り付け、メロンカップやパイナップルカップもあります。
また、コンビニで売っているカップのかき氷にも特徴があり、アイスクリームは円形なのに対し、かき氷は縦にギザギザが入っています。理由は『カップの中でかき氷が回転しないため』です。かき氷の場合は容器が円柱だと食べているうちに氷がぐるぐる回って食べにくくなるためです。
容器がぎざぎざなら引っかかるので、食べている途中に氷がぐるぐる回ることはありません。
こだわりの氷はどこから?
氷の作り方、凍らせる際の温度と時間で氷のタイプは大きく分けて3つあります。
天然氷:自然の寒さの中で2週間〜20日間かけてゆっくりと凍らせた氷
純氷:不純物を取り除きながら-9度で48時間以上かけてゆっくりと凍らせた氷
家庭用の氷:-20〜−25度で急速冷凍して作られる氷
またどんな水を使うのかによっても、かき氷の味が変わってくることでしょう。それはお店独自のこだわりがあると思います。よく耳にするのは富士山の雪解け水ですね。
種類別で氷の削る厚さを調節!?
かき氷の機械には大きく分けてキューブ氷用とブロック氷用の2種類があります。キューブ用(小さい氷がゴロゴロ)は厚さ調節が難しいので、かき氷職人は使わない人が多いでしょう。ということはほとんどはブロックタイプを使うのですが、これは具の量・大きさで使い分けている店が多いです。
例えば、祭りのときに出てくるようなただ単にシロップだけをかけるようなかき氷の場合は、ふわっふわの氷、つまり薄ーく削った氷を使うのです。
ただあまりにも薄すぎるとシロップの濃度で氷が崩れてしまうので注意が必要ですが、シロップ以上の重さの食材、例えばイチゴとか小豆とかを直接上に乗せないのであれば、シロップが耐えられる厚さの氷でよいので、薄くてふわっふわの氷が使えます。
逆にフルーツパフェ並みに上に色々なフルーツを乗せるようなかき氷の場合、氷を薄くふわっふわに削ってしまうと重さでスグに溶けてしまいます。なのでその場合は粗削りにしないといけません。
このように、かき氷の種類によって削る厚さを調整して、最高の状態を見極め使い分けるのがプロのかき氷職人でしょう。
ふわふわにすることで、シロップやトッピングの素材の旨味が口の中に広がりやすくなります。
神技!頭がキーンとならないかき氷!?
これは感動しました。「うそでしょ!?」と最初は思ったのですが、どうやら本当みたいです。通常、アイスやかき氷など冷たいものを一気に食べると頭がキーンとなります。
これは正式な医学病名があり「冷たいものの摂取または冷気吸息による頭痛」という名前で、以前は「アイスクリーム頭痛」とも呼ばれていました。なぜこのような頭痛が起きるのか?これには2つの原因が考えられています。
<原因1>
口の中やのどの刺激を脳に伝える三叉神経が、急激に冷やされるため。
三叉神経は主に知覚を調整していますが、冷たい刺激が強すぎて感覚信号の伝達に混乱が起きてしまい冷たさを痛みとして錯覚してしまうと言われています。
<原因2>
急激に冷やされた口の中やのどを、反射的に温めるために血流を増やそうして頭の血管も拡張する。
そのため一時的な炎症が発生し頭痛が起きる。
つまり急激な冷たさが痛みに変換され脳に伝わって起きる頭痛なのです。冷たいアイスやかき氷を食べる時って「溶けてしまうので早く食べないと、、、」と思って急いで食べます。
「でも急いで食べると頭がキーンとなる、、、でも早く食べたい」そんな葛藤をしながら食べてキーンとならないギリギリのラインで勝負しながら食べるのが普通だと思っていました。しかし、冷たいものを食べてもキーンとならない方法があるのです。それがかき氷で証明されています。
頭がキーンとならないかき氷の作り方
ポイントは削る前に常温に戻すこと。
つまり、冷凍庫はマイナス20度、高くてもマイナス5度以下には設定されているはずですが、その氷を常温に出して、氷の温度を0度に限りなく近づけることです。そうすることで痛みを感じずに食べることができます。
その他、これは頭がキーンをならないための自己対処法ですが、かき氷で頭がキーンとなった時は、おでこにかき氷の器を当てることで痛みを感じる神経を冷やし、痛みの信号を打ち消せます。
以上、たかがかき氷、されどかき氷!!かき氷を甘く見過ぎていました。ぜひ今年の夏は“こだわりのかき氷屋さん巡り”をしてみたいものです。