醤油は大きく分けて、5種類
- 濃口醤油
- 薄口(淡口)醤油
- たまり醤油
- 再仕込み醤油
- 白醤油
世の中色々な種類の醤油が出回っていますが、その中でも、醤油の生産量の80%を占める濃口醤油が、家庭でも、料理屋でも使われている醤油です。そして、濃口だけでも、作り方は一つではなく、
- 「本醸造方式」
- 「天然醸造」
- 「適温醸造」
- 「混合醸造方式」
- 「混合方式」
など、聞いただけではいまいちどんな作り方なのかよくわからない名前の作り方がたくさんあります。
記事の下の方でも軽く説明はしていますが、もっと詳しく知りたい方は、それぞれの製造方法をググってくださいね。ではまず、簡単に5種類の醤油の説明をします。
~醤油の種類と特徴~
濃口醤油
塩分濃度は約16%、大豆麹と小麦をほぼ同量合して作ります。
薄口(淡口)醤油
塩分濃度は18~19%、全体生産量の約14%、塩を多く加えて発酵・熟成を抑え、短い醸造期間で作るので、色が淡いです。
たまり醤油
塩分濃度約16%。ほぼ大豆だけで作られます。大豆のうまみ成分を多く含み濃厚です。加熱すると綺麗な赤色になります。
再仕込み醤油
塩分濃度は約14%。製造工程で塩水の代わりに生醤油を加えて作ります。色が濃くて、粘度があり、風味が濃厚。
白醤油
塩分濃度は18%、蒸した小麦を主原料に煎った大豆を少量使って作る。低温・短期間発酵で、発酵を抑えます。
*生醤油
もろみを搾ったままの、麹菌や乳酸菌、酵母などの微生物が生きている状態の醤油で、加熱殺菌を行わないと、微生物の力で醤油の状態が変化する。
~醤油の基礎知識~
醤油は、麹菌を繁殖させた大豆(大豆菌)と、加熱した小麦、塩、水を合わせて熟成させたものです。
醤油は発酵・熟成が進むほど、色が濃くなり、風味が豊かになり、逆に塩を多く加えるなどして発酵・熟成を抑えれば、色は淡くなります。その分旨味が弱まり、塩気を感じやすくなります。
濃口醤油の作り方のちがい
濃口醤油は大豆と小麦をほぼ同量で合わしています。濃口醤油には3通りの作り方があり、約80%流通する製品が「本醸造方式」で、発酵・熟成を微生物の力だけで行います。それ以外の2つは、生産を効率化したり、添加物による特有の風味をつくりだすことができます。
「本醸造方式」でも、発酵・熟成を自然な温度変化の中で行う「天然醸造」と、人工的に調整した温度の中で効率的に発酵・熟成を行う「適温醸造」があります。
それぞれ、「天然醸造」は、完成まで1~3年かかりますが、「適温醸造」は、6~8か月間で完成します。
醤油は、大豆、小麦、塩、水のたった4つの材料というシンプルな構造だからこそ、原料や製法が、風味に及ぼす影響は大きいのです。
原料による醤油の味の違いは?
「旨味があってまろやか」と言われるものは、原料の大豆が、丸大豆(丸ごとの大豆)で
「旨味がシャープ」と言われるものは、脱脂加工大豆(大豆油の搾りカス)から作られています。
薄口(淡口)の方が濃口より塩味が強いのはなぜか?
先ほど“醤油の種類と特徴”でも書きましたが、濃口より薄口の方が、塩分が高いです。
しかし色は濃口の方が濃いので、よく勘違いされやすく、濃口の方が塩分が高いと思われがちですが実際は違い、濃口・薄口の名前は、色の濃い薄いであって、塩味の濃い薄いではないです。その理由はなぜかと言うと、製造工程に答えがあります。
醤油は大豆・小麦・塩の3つの原料から作られますが、大豆のタンパク質から発酵によってできたアミノ酸が“うまみ”の本体となり、小麦のデンプンからできた糖分がもとになって、“甘味や酸味、香り”が作られます。
この大豆の“アミノ酸”、小麦の“糖分”が結合して、キレイな褐色が出る“アミノ・カルボニル反応”という化学反応が起こるのですが、この変化は塩が少ないほど早く、多いほど遅いのです。つまり、濃口の方が、色が早く濃くなります。
薄口は、日本料理で特にお椀などで、季節の食材の彩りを生かしながら、うまみや風味を付けるために使われてきました。なので、製造の過程でも大豆や小麦の比率を下げて、醤油の色が出にくいように、米を加えたり大麦を使ったりもします。