料理を盛り付ける時や、お正月の重箱、弁当箱で使われる

・木の箱、器

・茶托、

・木のトレイ(お盆、脇取り盆、給仕盆)*料理を持ち運ぶときに使うお盆のことを料亭では”脇取り(わきとり)”と呼びます。

・漆器椀

それぞれは木で作られています。

それらには木目が見えるものもあり、そのような(見えない場合も同じですが)ときに、木の模様の向きをどちらにして出すのが正しいのか?という疑問を解決します。

今回の記事は私自身かなり気合入れて書いてますので、じっくり読んでください。

まず、常識的なところからいきます。これを見てください。

 

問題1 縦か横か?

日本料理には慶事、弔事などの冠婚葬祭(冠=成人式。婚=結婚式。葬=葬式。祭=先祖の霊をまつる事全般。法事やお盆など)の時にその区別で、皆敷の向きや器を変えたりしますが、木に関しては、”安全性”を第一に考えます。

たまに、「木目を横に向ける」のが正しい作法で、”凶事の時”は「木目を縦にする」といってる人もいますが、これはあきらかに間違いです。

「木目を横に向ける」は正しいですが、なぜ?横なのか理由を考えなければいけません。そこで、先ほども出てきた”安全性です。先ほどの写真を見てください

もし、おぼんの木の目が縦だったら、両端を持った時に割れやすいですよね。横だったら、上下に力が加わることはないので、割れにくい。

単純ですが、そのような理由からです。ですから、弔事等で木目を縦にするというのは誰かが良い⇔悪い、右⇔左と同じような感覚で木の木目も縦⇔横と勝手に思って、強引にこじつけたのではないのでしょうか?

ま、とにかく、木目を縦にするのは危ないのでだめです。

作法の第一原理は「安全であること」(作法ではいつでも安全は表敬より優先される)が基本なので、どんなことでもそうですが、自然の摂理に逆らって、不自然なことをするとよくありません。その道具をしっかり見ることが大事です。

そのような原理を知らず、作る側も適当に作ってしまうから、使う側はもっと混乱するのは当たり前ですね。

でも、これを読めば、少なからず物事の原理は理解できるかと思います。

 

次にもう一つ疑問が出てきます。このような場合、、、。

実際にこのような切り方はしませんが、わかりやすく説明すると、この場合、赤枠のような長方形のおぼんがある場合、円の中心側が上(写真下の赤枠)か下(写真上の赤枠)のどちらかの方向にきます。

この場合、中心を手前(お客さん側)にします。(つまり写真下の赤枠の場合180度回転させた位置が正しい向き)

このように切り株をそのまま、バームクーヘンのように切った場合、正面は木の中心側となります。

木目が緩い弧を描いているなら、その弧の中心側を相手側に向ける。木目のある盆や茶托に絵柄がある場合、木目の中心側が正面になるように、絵柄の向きがそうなっているはずです。

 

さて、ここからがじゃっかんややこしくなります。次にこのようなパターンの場合。

丸太をそのままバームクーヘン状に切っていない場合、(つまり下の写真<図1>の「板目」の場合)このような時どうすればよいのか?

お重箱では、丸太の絵のパターンは無いかと思われますが、上の写真のような形はよくあります。

この場合、まず中心はどこなのか?という疑問から始まります。

ということで、木を削るところから調べてみました。まずこれ、

<図1>

”柾目(まさめ)”の場合、板材は1本の丸太からたくさん取れないため、値段も高い。乾燥による板面の収縮差が小さく、変形もしにくい。高級な将棋盤、樽材などにも使われます。

この横線だけの場合は、円にはなっていないので、確実ではないですが、年輪の中心に近い側が他の年輪どうしの感覚が狭くなるのと、幅が太くなることが多いと思われるので、木目の線が”狭くて、太い”方を手前にします。

ですが、一般的にはほとんどが”板目”です。ただ、板目は板面両側の収縮の差が大きくて、反りなど、くるいが生じやすいです。

↓板目に関する反り方の違い↓

<図2>

実際に反りは方向や置く位置に関係ないですが、”木表”が上になりると考えます。(なぜなら普通、山のように反っている面を上にして盛り付けをしないから)

で、<図1>と<図2>の板目を注意深く見てください、中心側は口が開いているなのか、閉じている方なのかわかりません。

言っている意味わかりますか?

私は、普通に木を縦に切った場合、どちらか上側(天)か下側(地面)か一方方向に円の中心がくると思ってました。この写真の青い丸で囲ってある部分を見ていただければわかります。

このように真っ直ぐ縦に切った場合でも、円の中心の向きが上向きの場合もあれば下向きの場合もあります。ようするに、円の中心が、木の中心とは限りません。

つまり、青い円を横に見た場合、「<<<」でも「>>>」でも”どちらが中心が分からない”となります。

ですが、なんとなくイメージ的に口が開いている(「<<<」なら右側)の方が中心に近い感じがします。このような考えのもと、下図の写真の場合について考えます。

左下に中心(らしい模様)がある場合です。

*板目の場合で「>>>」の時、左側が中心、右側が外側と仮定した場合。

これは、外側は右に来ていますが、中心は下部に近いため、写真と同じ方向での方が、左右か上下かというどちらが大切か?を考えた場合、上下の方に優位があると思われますので、中心を下に持ってくることを優先に考えて、この写真の向きでよいかと、、、。

逆にこのような時は、

(これも同じく口が開いている方を中心と仮定した場合)

右下に中心が来ているので、この写真の向きで置いてもいいかなと思います。

で、結局、色々調べた結果、、、、このような木目の場合はどちらでもよい!!で、いいんじゃないですか?

今回説明したような木目に関する理論・知識を持ったうえで判断して方向を決めるのであれば最初の方に原則として言っていた「安全性」さえ守っていれば、とりあえずいいんじゃないかと、、、

ってことで、どうでしたでしょうか?理解できました??

自分でも書いてて混乱してくるくらいですから、見ている方はなんのこっちゃ理解できない人もたくさんいるかと思います。

その時は気軽に質問してくだい。

 

なんで、ここまで調べたのかというと、私自身は料理人としてずっと「>>>」でやってきただけに(老舗料亭のベテラン料理人から教えてもらったけどなんでなのかは「こういう決まりやねん!」て言ってた)

ネットで調べたら、「<<<」の向きで、、という記事を見て「なぜだろう?」と思い、いろいろ調べた結果、今回のような結論に達しました。

私は、「>>>」の方がしっくりきますので、こちらで行こうと思います。

 

長い間、読んでくださってありがとうございます!

あ~疲れた、、、(+o+)