シックス・ハット法(6色帽子発想法)とはエドワード・デ・ボノ氏が考えたアイデア発想法で、6色に分けた帽子をかぶり、6つの視点から考えることで、強制的に違う視点からのアイデアを引き出す方法です。
一般的には、5人ほどのグループで行うもので、ミーティングの参加者は、全員が同じ色の帽子を被り、話しを進めていきます。帽子がなければ、ポストイットや色のついた紙、プレートやカードを使ってもよいでしょう。
私は一人で考えることが多いので、寂しく一人でやっています。この思考法は、どれか一つの考えに偏ることで、新しいアイデアを考え出す方法です。例えば、人の思考がいかに単純なのかという実験では、、、
白い紙やカードを見せて「これは何色ですか?」と聞くと、もちろん、誰もが「白」と答えます。次に、白いシャツを指差して「これは何色ですか?」と質問します。これも当然「白です」と答えます。
次は「牛は何を飲みますか?」という質問をすると、、、「ミルク」というイメージが湧いた方が多くなります。
本当の答えは「水」ですね。
私達の脳細胞はパターン化しているので、「白」「白」というイメージの連想で「牛が飲むものはミルク」と連想してしまいがちなのです。
この質問に引っかからなかったアナタ!素晴らしいです。しかし、疑いすぎずに、もっと柔軟な思考を持って取り組んでくださいね。
<シックスハット法 6つの役割>
1:青い帽子 俯瞰・統括
・プロセスに対する提案
・結果をまとめる
管理的な視点です。俯瞰で物事を見て、分析し、結論立てます。
主題・目的の明確化、まとめ・調整、どこから始めるか、次に何をするのか進め方や調整、まとめを行います。
2:黄色い帽子 肯定・楽観 (対立色:黒)
・プラス思考
・利点(価値・利益)は何か
・どのようにして実現できるか
肯定的な視点です。全てをポジティブに捉えます。
出てきたアイデアの良い面を見つけ出し、実現することでどんなプラス面があるかなどを考えます。
3:黒い帽子 否定・悲観 (対立色:黄)
・悪いところ(欠点・リスク)は何か、危険性、懸念や反対について
・何が失敗しそうか
*マイナスの感情はレッドハット(赤帽子のアイデア法)にも含まれる否定的な視点です。不安材料や注意喚起を起こします。
出てきたアイデアの欠点やリスクを見つけ出し、危険な面について考えます。
4:緑の帽子 創造性・可能性
・新しいアイデア、新しい代替案
・現在の考えの枠組みを広げる
・どのようにしてブラックハット(黒帽子)の問題を乗り越えられるか
創造的な視点です。クリエイティブに考え、革新的なアイデアを提案します。
新しいアイデアや可能性、代替案はないか?自由で創造的なアイデアをどんどん出していきます。
5:白い帽子 事実・中立 (対立色:赤)
・偏らない情報
・データ、事実
・判断、意見、仮定、提案をしない
客観的に、実際のデータや数字から物事を考える視点です。
今どのような情報があるのか、どのような情報を知りたいのか、どのような情報が足りないのか?などインターネット等も使い、情報を調べながら自分の意見を出さずにデータで考えます。
6:赤い帽子 感情・直観 (対立色:白)
・どのように感じるか、直感
・好き嫌い(説明は不要)
・正当化の必要は無い
直感的に感情的で、感覚的な面から考える視点です。
どう感じたか、好きか嫌いか(理由はいらない)など、それぞれのアイデアに対して思った気持ちを論理的にではなく、感情的に表現します。(面白い!楽しそう!ウマそう!大変そう!など)
シックスハット法のやり方と注意点
大勢の場合、これらの役割はバラバラに帽子をかぶるのではなく、全員が同じ色の帽子をかぶって、1色ずつ試していきます。
かぶる順番は基本的に自由ですが、青・黄・黒・緑・白・赤・青の順番で行うことが多いです。(通常青で始まり、青で終わる)
さらに注意事項として、
*事前に主題・目的がハッキリしている場合は最初の青を飛ばしてOK
*黒の前に黄を使うとよい
*黒から始めるのは避けた方がよい
*発言力のある人が一緒の場合は、赤から始めない方がよい(結論がその人の意見に影響されるのを防ぐため)
*迅速な決断を要しているときは、黄→黒→青の順
*参加者間に葛藤がある場合には、白→緑→青の順
*ある色での議論中・議論後に、そのアイデア・議論の流れの良し悪しや、参加者の意欲について意見を求める場合、赤の考え方を採用(以下段階別判断レベル)
レッドハット6段階のチェック・レベル
1、凄い
2、好き
3、もっと情報が欲しい
4、ちょっとわからない
5、嫌い
6、憎い
その他、色の順番は、サイコロなどを使って決めるのも面白いです。では、これをどのように料理などに取り入れるのか考えてみましょう。一例として「親子丼」について考えてみます。ちなみに答えというものはないのであしからず、、、
シックスハット法 親子丼の場合
1:青い帽子 俯瞰・統括
親子丼を
・どのような順番で材料を入れるのか?
・どんぶりに盛り込むまでどのような行程があるのか?
・仕込みはどこから始めるのか?
・そしてその結果、食材費はどうなのか?スピードは?味は?お客さんの満足度はどうなのか?
これらについて、どのような調理手順が考えられるか?どの食材を使えるのか?どのような人がやるのか?などアイデアを出します。
2:黄色い帽子 肯定・楽観
青い帽子発想法で出されたアイデアをすべて肯定的にとらえます。この親子丼の
・食材の良いところは?
・調理手順の利点は?
・お客さんのメリットは?
など、すべてポジティブに考えてみてください。
3:黒い帽子 否定・悲観
次は逆にマイナス面を考えます。この親子丼の
・悪いところ(欠点・リスク)は何か?
・何が失敗しそうか?
・お客さんはどのようなクレームを言いそうか?
など、ネガティブにとらえてみてください。
4:緑の帽子 創造性・可能性
次に、その親子丼のアイデアについての可能性を広げます。
・さらなる新しいアイデア、新しい代替案は?
・丼のカテゴリーではなく、麺類やご飯なしなどにして、もっと大きなカテゴリーで考えられないか?
・どうやってブラックハット(黒帽子)の問題を乗り越えられるか
クリエイティブに考えて自由にアイデアを出してみてください。
5:白い帽子 事実・中立
データ分析です。ここでは判断、意見、仮定、提案をしないで、目の前にある情報・データをもとに客観的に考えます。
・他店ではどのような親子丼を提供しているのか?
・生産地や、栄養などのデータ
・ネットを使い、親子丼に関するさまざまな情報を調べます。
自分の意見を出さずにデータで考えてください。
6:赤い帽子 感情・直観
このアイデアの親子丼が出てきた時に、
・最初のインスピレーションは?
・どのように感じるか?
・好きか嫌いか?(説明は不要)
・作業工程がめんどくさそう
・面白そう
など、この場合、正当性があるかないかは不要です。直感的、感情的、感覚的に考えてください。
そして、最後にまた
1:青い帽子 俯瞰・統括
に戻って、考えをまとめます。それぞれの色の帽子で出されたアイデアの回答を書きだし、まとめます。
そうすることで、そのテーマである「親子丼」の全体像がイメージしやすくなり、どのような方向で新しい親子丼を作り出せるのかが見えてきます。
このシックスハット法は、文章を読んだだけでは分かりづらいかもしれませんので、一度、実際に取り組んでみることをお勧めします。