音楽って、無限にあります。その中でもよく似た歌や、心に響くメロディー、 思わず口ずさんでしまう詞など、無限の中にも、すごく気に入った曲もあれば、そうでないものもあり、また、これからももっと多くの音楽が生まれることでしょう。
これは料理においても同じことが言えるのではないでしょうか?
世界中の色々な場所で、 料理人はそれぞれの考え方で、さまざまな料理を作り出し、無限に料理が存在します。
曲作りから学ぶ、料理の構成
楽曲の製作方法には、 「詞先(しせん)」と呼ばれる、 先に詞を書いた後で曲を付ける方法と、「曲先(きょくせん)」と呼ばれる、 先に曲を作った後で詞を付ける方法があります。
詞先と曲先では、作詞と作曲の役割分担が大きく違います。
<詞先>
作詞が曲から制限を受けることはなく、 作曲する時は、その与えられた詞が前提となるため、詞から大きく制約を受ける。
詞が持つ語感・イメージ・世界観を生かすようなメロディを構築するよう心がけなければなりません。
<曲先>
詞のない状態で既に曲が完成され、 従って譜割り(メロディの中で詞が載るリズムの割りふり)もこの時に決定されます。
作詞においては、その譜割りに言葉をはめ込むことが作業の主体となります。
作詞者は、決定されている譜割りを元に、メロディを生かしつつも語感のいい言葉を選びと、 全体として意味のある詞を構築しなければなりません。
また、「振り先」といって、 詞でも曲からでもなく、踊りの振り付けから 曲や詞をイメージして作りだす方法もあります。
以上のように、 楽曲一つを完成させるためにも、さまざまな考え方をベースにして作り出されます。
これは料理でも同じことが言えるかもしれません。何を重点に置いて料理を作るのか?
一皿の料理を考える場合、まず初めに決めなければならないことがあります。
料理の詞先・曲先・振り先
例えば、結納の席などでは、お店の自慢の料理を出すことより、祝いの食材やめでたさを意識した料理の構成が必要になります。また、 「この器を使って料理を作りたい!」 と器をベースに料理を考えるのであれば、それは、『器先』となり、
イベントなどで、 「○○メーカーの醤油を使った料理を作る」のであれば、『食品先』(呼び方は適当ですが、、、)のようになるでしょう。
目的や器、食品の他にも、調理工程、栄養、見た目(盛り付け)、食材、お客さん、サービス、感情など、何を最初に決めて、料理を作るのかが、もの作りにおいて大事なのではないでしょうか?
最初のベースによって、 出来上がりの料理そのものがだいぶ変わってくると思います。
- 器を決めてから料理をつくるのか
- 味を決めてから料理をつくるのか
- 調理工程を決めてから料理をつくるのか
- 栄養を決めてから料理をつくるのか
- 見た目(盛り付け)を決めてから料理をつくるのか
- 食材を決めてから料理をつくるのか
- お客さんを決めてから料理をつくるのか
- サービスを決めてから料理をつくるのか
- 目的を決めてから料理をつくるのか
- 感情を決めてから料理をつくるのか
曲作りであれば、 詞から、曲から、踊りからと3つありますが、挙げようと思ったら、もっと出てくるかもしれません。どれを重要視するかが大事だと思いますし、 これらいくつかを組み合わせて考えるのもいいかもしれません。
基本的には、料理を作る場合、 食材やジャンル、お店のコンセプトなど、 限られた状況の中で作ることになると思いますが、色々な条件を候補に入れることによって、 料理自体そのものが変わってくるでしょう。
料理の出来上がりだけを見るのではなく、 料理が出来上がっていく過程で、 “どのような情報を詰め込んでいるか”が大事です。そして、どんな気持ちで料理を構成していくのか?
- 生産者が一生懸命に作った食材
- 丁寧に包装・配達
- 料理人の愛情
- サービスに真心
- お客さんが楽しんで食事をする
基本的なこととして、忘れてはいけないのが、このような、人と人どうしのバトンタッチではないでしょうか?
リレーでのバトンパスのように、前の人が大事に守ってきたものを次につなげる。そんな循環の中に料理人はいるのではないかと思います。
料理は、人と人とをつなぐ“架け橋”です。
どのような基準で料理をつくるのかは人それぞれですが、無限に存在する料理の中で、全く同じ食材や調理法を用いた料理だとしても、その作り手の基準や、気持ちの込め方で、 変わってくる部分はたくさんあると思います。
今後、料理を作る時は、今日お話しした、【曲作りから学ぶ、料理の構成】の話を思い出して、
- 目的
- 器
- 味
- 調理工程
- 栄養
- 見た目(盛り付け)
- 食材
- お客さん
- サービス
- 感情
など、何を基準にして料理を構成しているのかを考えながら作っていくと、 また新しい発見があるかもしれません。