失敗しないぬか漬け発酵 3つの菌バランス

ぬか漬けを作りました。過去にプライベートでも仕事でも、何度もぬか漬けは作ったことがあります。胡瓜のぬか漬けが一番好きです。

色々変なもの入れ過ぎて失敗したこともあれば、成功することもありました。

毎日が忙しいと後回しになりがちで、ぬか床を混ぜるのを忘れて、酸味がでてしまったりして、元通りにならなかったりすることがあるので手入れは必要です。

愛情を持って、楽しんで漬けることも大事です。

うまくできれば、メチャクチャおいしいです。そして腸内環境も抜群に良くなります。

どのように良いのかというと、

今まで晩御飯でお酒も一緒に飲んだ時などは、消化が悪くなり、便の調子も普段よりはよくなかったです。

しかし、ぬか漬けの漬け物を常食するようになってから、お酒を飲んだ翌日もお腹の調子が良いです。

お酒を飲まなかったときなんて、翌朝の目覚めもばっちりで、一日エネルギー全開で過ごせます。

そんなぬか漬けについてこれからお伝えする“原理”を知ることで、おいしいぬか漬けができます。

ぬか漬けの作り方

まず糠を買います。行きつけのお米屋さんがあれば、タダでもらえます。

できればオーガニックの米糠がいいですね。でも今回使ったのは、普通の糠です。

最初の作る段階で何を入れたのかというと、

  • 米のとぎ汁
  • 鷹の爪
  • 昆布

だけです。

あと捨て野菜でブロッコリーの芯やニンジンや大根のヘタなど、調理で使わないような部分を漬けてなじませました。

毎日混ぜ続けて、1週間くらいすれば、発酵してなじんできます。

米のとぎ汁は、白米を炊く時に出る白い水を鍋に入れ、塩も一緒に入れ火にかけて一度沸騰させたものを冷まします。

この時の塩は、ちゃんと自然塩をつかってください。

塩かげんは、混ぜたぬかを食べて見て「おいしい」と感じるくらいの塩の量です。「しょっぱい」と漬けた野菜も塩辛くなります。

鷹の爪は、防腐作用や味にアクセントの意味で入れます。乾燥したもので、中の種は取り除きます。

昆布はそのまま漬け込みます。干しシイタケも入れるといいですね。

実際、捨て野菜や、昆布たちは1~3日くらいで引き上げます。鷹の爪はそのまま。

それら捨て漬け野菜も、食べられます。炒めものなどに入れたりして食べてもOKです。

ぬか漬けに入れて失敗した珍しい食材たち

今まで過去には、さまざまな食材・液体を入れて実験しました。あまり入れる意味が無かったものもたくさんあります。

まったく知識の無かった時は、

糠に入れた液体系

ワイン、お酒、炭酸水、ジュース、焼酎、ブランデー、牛乳、チーズ、ソイミルク、みりん、

糠に入れた粉・固形

フルーツ、ベジマイト、肉、魚、ビーツ(ビートルート)

などなど、ありとあらゆるものを入れてぬか床をダメにしてきました。

*やり方によっては成功する食材もあります。ビーツはぬか床が真っ赤になる、、、

あまりにも色々混ぜすぎると、統一性がなく変な味になるので、小分けにして実験してみるのがいいと思います。

今回はビール少し入れました(普通と黒ビール)。

あと自然健康食品イベントでゲットした「サトウキビの粉」を少し入れました。これはプレバイオティクスの消化や内臓を健康にするものです。

本来は液体に溶かしたり、パンを作る時に混ぜたりして使うものです。食物繊維で味も無く、甘くもないです。

ぬか床に入れて成功した食材

当たり前のように入れる食材から、「え、なにそれ?」と思うような食材までご紹介します。

ぬか床の状態によって、相性が合う時と合わない時もあるので、すべてがうまくいくとは限りません(特に「かなり珍しいもの」群たち)

*見つけ次第どんどん書き足していきます。

一般的に入れるもの

米のとぎ汁、昆布、鷹の爪、干しシイタケ、キャベツ、白菜、ナス、キュウリ、人参、セロリ、ビール、ブロッコリーの茎、しょうが、

ちょっと変化球の食材たち

梅干し、味噌、米麹、塩こうじ、アーモンド(ナッツ類)、ネギ、にんにく、味噌、お茶葉、クコの実、パプリカ(ピーマン)、カラフルトマト、キュウリ(continental/ Lebanese)←Continentalはあまりおいしくない、

かなり珍しいもの

さとうきび粉、山芋、豆苗、

↑この写真は乾燥米麹を入れたときのもの

2タイプの乳酸菌

乳酸菌には、動物性乳酸菌と植物性乳酸菌があります。

  • 動物性はヨーグルト、チーズなど動物ベース
  • 植物性はお酒など植物ベース

ぬか床を作っていて失敗する人の特徴は、動物性乳酸菌を入れてしまうこと。

私も散々失敗しましたが、「ぬか床は乳酸菌」だからといって、単純にヨーグルトやミルクなどの動物性乳酸菌をいれる場合もあります。

別に動物性乳酸菌を入れてはダメではないですが、かなり個性的なぬか床になりがちなので、私は避けています。

だから今回は、「植物由来のものしか入れない」というポリシーで作りました。

*今回、ビールを入れてしまいましたが、化学調味料や添加物が含まれた食品は入れない方がよいでしょう。

植物性乳酸菌の良いところ

植物性は塩分や酸が多い過酷な環境の中で、生息しているため、酸にも塩にも強く、生きたまま腸に届くことができるという点です。

ヨーグルトなど動物性乳酸菌は、そのほとんどは胃酸で死んでしまいます

乳酸菌は死んでも、腸の善玉菌の餌になるので、問題ないっちゃ問題ないですが、植物性乳酸菌のように、生きたまま腸まで行ってくれると、直接悪玉菌を退治してくれます。

また、整腸作用、免疫力アップ、アレルギー予防、メタボ対策などにも良いです。

乳酸菌だけじゃない!?もっとも大事な3つの菌

昔の私は、ぬか床の原理を知らずに、ただひたすらこね回していました。

でもしっかり原理を理解すると、より確実にぬか漬けを成功させることができます。

そこで出てくる大事な3つの菌。乳酸菌(植物性)酵母(産膜酵母)酪酸菌です。

特徴
植物性乳酸菌
  • アミノ酸(うまみ成分)をつくる、
  • 強い酸性(雑菌の繁殖防止)
  • 酪酸菌と闘うと負ける
  • 空気があまり好きでない
酪酸菌
  • 炭水化物を分解して悪臭(酪酸)を出す
  • 腸内で腐敗菌を倒す
  • 空気が大嫌い(空気に触れると数分で眠る)
産膜酵母
  • シンナーのような匂い(酢酸エチルを精製)を出す
  • 増えすぎた乳酸菌を食べる
  • 空気が大好き(空気が無いと死ぬ)

このことから、乳酸菌は酪酸菌と産膜酵母に板挟みにあっていることになります。

上手に発酵しだすと数時間で変化があります。

以下の写真は、ぬか床を混ぜて空気がなるべく入らないようにして放置した状態と6時間経過後です。

(全く手は触れていません)

↓表面(上から撮った写真)

Before

After(6時間後)

ぬか床が膨張しているのがわかります。

↓横から撮ったぬか床。(上の青色とぬかの間隔や空気の入り具合に注目!)

Befor

After(6時間後)

ぬか床が膨張しているのがわかります。空気の穴も多くなっています。

つまり上手に発酵しています。ぬか床が生きている証拠です!

糠床をどうやってまぜる?

混ぜる時、ぬか床の中ではなにが起こっているのでしょうか?

まったく混ぜないと

乳酸菌が多くなる ⇒強い酸性 ⇒雑菌を寄せないので腐らない ⇒でも漬物が酸っぱくなる

⇒さらに放置すると酪酸菌が多くなる ⇒乳酸菌が負けるので酸度が下がる ⇒雑菌が繁殖しやすくなる

一度雑菌が繁殖し始めると腐ってしまう。

かき混ぜるのをさぼると、酸素を好まない酪酸菌などの雑菌や白カビが繁殖して腐敗の原因になります。空気に触れないと乳酸菌が増え、酸味が強くなります。

かき混ぜすぎると

酪酸菌は眠るが、乳酸菌も活動しなくなる。さらに産膜酵母が乳酸菌を食べるので、ぬか漬け本来の効果が発揮できなくなる。かき混ぜすぎも乳酸菌が増えません。

適度にかき混ぜると

乳酸菌と酪酸菌のバランスが保たれる。

⇒産膜酵母は空気に触れると酢酸エチルを作り、香りの元(アルコールや脂肪酸)を発生させる。さらに増えすぎた乳酸菌を食べて、これまたバランスを取ってくれる。

つまり、ぬか床の上下を入れ替える程度に、軽く混ぜるのが重要ということになります。

毎日空気を入れること、糠に呼吸をさせることで、微生物が働きます。

毎日まぜて空気を入れてあげないと、セメダイン臭という失敗した時の臭いが出てきます。

また、適度に混ぜ、混ぜた後にもぬか床を上から手で押さえて、平らにして空気を抜くようにしてください。

空気の無い環境を作ることで、酵母も増えすぎません。

とはいえ、糠の上からラップなどして完全に空気を防ぐのもよくありません。

容器の周りについた細かい糠は、カビの原因になるので取り除きましょう。

また水分があまり多すぎても空気が入らないため、こまめに水分も取り除きましょう。

*手で握ったら固まる程度の水分量(思っているより少なめ)でOKです。

糠床の菌を腸内環境に例えると

  • 乳酸菌=善玉菌
  • 酪酸菌=悪玉菌
  • 産膜酵母=日和見菌

酪酸菌は悪玉菌同様、悪者に思いがちですが、腸内の悪玉菌もぬか床の酪酸菌もたくさんいすぎると困るけど、いなくてはならない存在です。

温度も大事で、20~30度が熟成・発酵していきやすいです。夏場30度超える時は、冷蔵庫などに入れて雑菌の増殖を防ぎます。

また長期間保存する時は、ぬか床の表面に塩を敷き詰め、冷蔵庫に保管するとよいでしょう。

ぬか床を味見する

ところで美味しいぬか床かどうかを判断する時に、手っ取り早く簡単な方法はぬか床の糠を味見してみることです。

そこで、糠が美味しければ、そこに漬けた野菜なども美味しくできます。

私は昔、ぬか床って、なんだかキレイなイメージがなく、食べるのに抵抗がありました。

ですので、味見で口に含んだあとは「ぺっ」と吐き出していました。

しかし、糠って栄養がたくさん入っています。玄米を白米にする時に出る胚芽や種皮です。

ビタミンB1、B2、葉酸(B9)、ビタミンE、ミネラル、脂質、タンパク質、食物繊維、フィチン酸、フェルラ酸など豊富です。むしろ食べた方が良い気がします。

だから今は、毎日ぬか床を混ぜる時に、味見も含めて、糠をパクパク食べています(かなり少量ですが)

そして、毎日しっかり味見をすると、「こういう状態がおいしく漬けられるんだ」と頭と舌で感じ取れます。

ただ、酸味の多い失敗したぬか床や、放置しすぎてカビが生えているようなぬか床は味見しない、または味見しても飲み込まないようにしましょう。

また、米ぬか自体も、そこに入れる野菜も、すべてオーガニックなどにこだわると、そうとう美味しいぬか漬けができると思います。

普段、ぬか自体を味見するとわかりますが、漬けていくうちに野菜の水分などで酸味や塩味が薄くなってきます。

すると菌が発生し食中毒の原因になります。その都度、塩を足したりなどの調整も忘れないようにしてください。

ぬか床自体に栄養があるのに、なぜ食べないのか?

ふと気になったのは、

なんで今は、ぬか床を味見がてら食べて(飲みこんで)いるのに、昔は嫌がっていたのか?

考えたら色々ありました。

ぬかを食べない理由は、

理由1:”ぬか”をキレイじゃないものだと思い込んでいる。

これは大いにあります。

実際、お米は水で洗ってまわりの汚れなどを落とすことができますが、ぬかの場合、すでに粉状になっているので、洗うことすらできません。

どのような設備環境で、糠をつくり出しているかわかりません。

そんなに汚い場所とも思いませんが、土埃やらその他米以外の成分も含まれているような感じはします。

そして、粉なので取り分けることができません。

よって、ぬか以外に通常人が食べることの無い物質が混入されているのかもしれないという先入観によって、「ぬかを食べる」という選択はないように思います。

理由2:食べられないものを漬け込んでいる

ナスを漬ける時の色止めのための鉄さび、古釘、ミョウバン。また、くず野菜や葉などを捨て野菜として漬け込んでいた場合。

これらも、野菜に土が紛れ込んでいたら、ぬかに紛れ込んだり、見たことの無い微生物なども一緒に入り込んでいるかと思うと食べる気にはなりません。

鉄さびなども混入していたら、あまり食べたいとは思いませんね。

理由3:自分以外にも混ぜる人がいる

飲食店などで、複数人がぬか床を管理する場合、だいたい直接手を突っ込んで混ぜることが多いため、他人の手あかが入っていそうなぬか床を食べる気にはなりません。

理由4:水分の取り方に問題がある

ぬか漬けを作っていると、野菜から水分が出て来るのでどうしても水っぽくなります。

そんな時にぬか床の水分を取り除くのですが、ざるを突っ込んで、出てきた水分を取ったりしますが、スポンジを入れて吸収させる方法もあります。

スポンジを入れると、スポンジのカスがぬかに入っていそうで、食べるのは少し抵抗が出てきます。

理由5:そもそもぬか床づくりに失敗している

ぬか床の管理を怠ったり、ヘンなもの入れすぎて、ぬか床自体が変な酸味や匂いを醸し出していた場合。

食べたくないというより、食べてはいけません。悪い菌が繁殖している可能性があるので、お腹を壊す可能性もあります。

 

以上の理由により、「食べる」ことが無いぬか床ですが、

なぜ私は食べているのかというと、すべて毎日、自分で混ぜて、温度管理をして、古釘や土のついていそうな野菜などは入れていないからです。

だから、安心して食べられます。といっても味見程度ですが、とてもおいしいです。(いつか、ぬかによってお腹をくだしたら報告します。笑ってやってください。)