とても残念ですが、魚が大好き日本人にとって衝撃な事実を発表しなければなりません。
それは、食べると危険な魚。どんな魚かというと、水銀を含む魚です。
水銀は御存じの通り、日本三大公害病の一つで有名な水俣病のもとになった重金属です。
そんな水銀を含んだ魚を私たちは知らず知らずのうちに食べています。
その証拠に、検査をすると日本人は世界でも、水銀の蓄積量が多いです。
なぜ日本人に多いのかというと、理由はもちろん【魚をたくさん食べるから】です。
魚はオメガ3など身体にも良い成分はありますが、見極めて食べないと健康を害する恐れがあるので、これからお伝えすることは、しっかりと覚えておいてください。
水銀のリスク
水銀を特に注意するべき人は、胎児や新生児、そして妊婦さんです。
特に妊婦さんは水銀の蓄積量が高いと、その水銀がすべて赤ちゃんに移ってしまうのでかなり危険です。
すべての魚は微量の水銀を含んでいます。それは微量なため、健康上の問題は引き起こしません。
しかし一部の魚には大量の水銀が含まれます。
水銀にも種類がありますが、危険なのが有毒な【メチル水銀】。室温で液体に変わる金属で、時間をかけて魚や人の体に蓄積します。
特に炭鉱で働く人はメチル水銀を暴露(被害を受ける)可能性は高いです。
メチル水銀は、脳と脊髄の中枢神経系に対して毒性を発揮します。どうなるかは水俣病の被害を見ればわかると思います。
水銀の障害
運動能力低下、言語発達能力低下、脳の麻痺、失明、難聴、精神機能障害、肺機能障害、成長障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症、うつ病、不安、高血圧、心臓発作のリスクの増加、てんかん、記憶障害、痺れ、震え、筋力低下、腎臓や脳への永久的な損傷など恐ろしい症状ばかりです。
体の機能が正常であれば、水銀は自然と身体から排出されます。
しかし栄養が足りていない人は水銀を排出する機能が弱く体内にたまります。
妊婦さんの場合、それら水銀は胎児に移ります。
また、水銀をたくさん摂り過ぎることで、排出が間に合わずに病気を引き起こす可能性もあります。
魚の水銀と原因
魚に見られる水銀は「メチル水銀」です。
なぜ魚に含まれるのかというと、人為的な工業汚染、石炭、石油、木材の燃焼などから、火山噴火や森林火災など、それらが川や海に流れたり、大気中に放出され水中に入ります。
そして、メチル水銀を含んだ水中の細菌や微生物を、魚が食べることで蓄積されます。
大きな魚は、さらに水銀を含む小さな魚を食べます。 どのような魚に水銀が多いのかというと、大きな魚・長期間生息する魚、餌の摂取量の多い魚、そして深海魚が当てはまります。
どの魚が安全?危険?
このデータは、日本含め、アメリカ、EU(イギリス)、オーストラリアなど世界各国の機関からのデータをまとめたもので、少し変更を加えてあります。
国、生息地域によって魚の水銀量は少し変化します。
*オーストラリアの海域のほとんどの魚は水銀レベルが非常に低いと言われています。
低水銀の魚
- イカ
- イワシ
- エビ
- カキ
- カニ
- カレイ
- キス
- サーモン・マス
- サバ
- サヨリ
- ザリガニ(Crayfish)
- シマアジ
- ウチワエビ
- タコ
- ティラピア
- ナマズ
- ニシン
- ホタテ
- ボラ
- メルルーサ
- ほとんどの貝類
*小さい魚が多いです。
中~高程度の水銀を含む魚
これらの魚は、小さな子供や妊婦さんは控えてください。
- アマダイ
- アンコウ
- カマス
- ギンダラ
- コイ
- サワラ
- スズキ
- タイ系
- タラ
- バス系
- ハタ
- マヒマヒ
- ロブスター
- バラマンディ(東南アジアやオーストラリアの河川から沿岸の内湾に生息)
- キンメダイ
- イラコアナゴ(安いアナゴの加工品の代表)*オキアナゴも避けましょう。マアナゴ、うなぎやハモは水銀は少ないです。
- エッチュウバイガイ(白バイ)深海200~500mに生息。
*比較的中~大きめの魚・深海魚が多いです。
さらに高水銀の魚
たくさん食べないようにしましょう。小さい子供や妊婦さんは完全に避けましょう。
- サメ
- マグロ(詳しくは後述します)
- カジキ [メカジキ(Swordfish)>マカジキ・クロカジキ類(Marlin)]*メカジキの方が多い
番外:超高レベル水銀(魚ではないが、最も水銀量が多い海の生物)
- イルカ:ハクジラ亜目(マッコウクジラ以外は水銀含有量が高い)
ちなみに、クジラ(ヒゲクジラ亜目)は主にプランクトンを食べ、水銀濃度はそれほど高くありません。
一般的に食用となるクジラはヒゲクジラ亜目のイワシクジラやミンククジラです。
イルカとクジラの違いは体の大きさです。体長4~5メートル以下をイルカと呼びます。クジラという種類の中にイルカがいるというイメージです。
クジラ目は、ヒゲクジラ亜目とハクジラ亜目に大別されます。
ハクジラ亜目に属する小型のクジラ=イルカとなります。
ハクジラでも見た目がクジラっぽいもので5m以上になることもあります(ツチクジラやゴンドウクジラは和歌山県の一部の地域で食べられています)。
水銀魚に関する質問(Q&A)
Q:キンメダイやカサゴなどに水銀が多いのはなぜ?
キンメダイやカサゴの仲間は、体長の割に寿命が15~20年と長いです。また深海や海底近くに生息していることも原因だと言われています(水銀は沈むため)。
アラスカ沖で捕獲されたカサゴの仲間は、体長1m、推定100歳という報告もあります。
*深海性魚類ではキンメダイ、イラコアナゴ、シロマトウ、ユメカサゴ。深海および低棲性魚種にはマダラ、カサゴ、メバル、ギンダラ、コチ、メヌケがあり、水銀が平均濃度0.4ppm以上入っていたというデータもあります。
Q:カレイやカジカ目の魚は海底に住んでいるのに水銀が高くないのはなんで?
肉食の傾向が強いためだと言われています。
肉食魚とは、小魚やエビなどの水銀を多く含まない餌を好んで食べる魚です。
Q:マグロの種類による水銀量の違いはありますか?
漁獲された場所、マグロの大きさや寿命、天然か養殖、赤身かトロの部分、なども関係してきます。
- 【種類:体重/ 大きさ/ 寿命】
- ビンナガ・ビンチョウ: 30-60kg/0.6-1.4m/10-15year
- キハダマグロ: 70-200㎏/1.5-2.4m/7-10year
- メバチマグロ: 150-210㎏/2-2.5m/10-15year
- 南マグロ(インドマグロ): 180-250㎏/2-2.3m/20year
- クロマグロ(本マグロ): 300-400㎏/2.5-3m/20-30year
この中で唯一キハダマグロだけは水銀含有量は少ないです。
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/050812-1-05.pdf
Q:天然と養殖のマグロの違いは?
天然のマグロは筋肉である赤身部分が多いです。
逆に養殖マグロはトロの部分が多いです。
水銀は筋肉をつくるたんばく質にたまる性質があるため、赤身に溜まりやすいです。つまり天然の方が水銀濃度が高くなりやすいと言われています。
マグロに限らずですが、養殖の方が餌が決まっているので水銀量は少ないです。
Q:「キハダ、ビンナガ、メジマグロ(クロマグロの幼魚)、またツナ缶詰は、 水銀含有量が低いので、妊婦でも通常通り食べて良い」と言われますがどうでしょうか?
キハダマグロも総水銀量が高かったという文献はあります。
また、延縄漁という漁獲方法で捕獲されたマグロなどで水銀は高くなるとも言われています。
ビンナガマグロ・ビンチョウマグロは体長1.2m約30㎏と他のマグロに比べて小さくツナ缶に使われます。
ツナ缶のツナは養殖ではない場合が多いですが、缶詰マグロは、使用されるマグロが1歳未満のときに捕獲される小さなマグロであるため、通常、他のマグロよりも水銀レベルが低くなります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh1946/28/6/28_6_582/_pdf/-char/ja
*水銀の含有量は、缶詰、冷凍、調理などの加工技術によって減少しません。
水銀から逃れる食事対策1
魚を食べ過ぎない、水銀含有魚を食べないなどの対策をしてください。
水銀の多い魚は、サメ、カジキ、マグロ、深海魚、アナゴ、白バイ貝(エッチュウバイガイ)、バラマンディを避け、
水銀の少ない魚介類、サケ、エビ、タラ、イワシなどを選びます。
また、魚を選ぶときは外国産か日本産か、どこで摂れたのか、魚の特徴も含め事前に調べてください。(文末に参考サイトを載せています。)
水銀蓄積のリスクが少ない魚は、食物連鎖の底辺に近く寿命が短い魚、イワシ(2-3年)やサンマ(2年)などが該当します。
つまり水銀が少なく、オメガ3が多い、
イワシ・サバ・サンマ・ニシン
これらの魚はおススメです。
水銀から逃れる食事対策2
普段からバランスの取れた、栄養のある食事をすること。
ざっくりすぎるので、もっと詳しく言うと、水銀や鉛など重金属を体の外に出す働きをしてくれる食事をすることです。
それはタンパク質(プロテイン)をしっかり摂るのですが、タンパク質を作るアミノ酸の一つ『システイン』。
システインは肝臓の解毒能力を高めてくれる『グルタチオン』というアミノ酸と深い関係があるため、システインを多く含む食材を食べることで、解毒ができます。
【食材例】魚介類、肉類、にんにく、ブロッコリー、玉ねぎ、オート麦など
そのほか、体に必要なカルシウム・マグネシウム・亜鉛・鉄分・セレンなど必須ミネラルを摂ることも大事です。
また、タバコを吸う人は水銀の蓄積量は高いです。
、、、とはいっても魚は結局の良いことばかり
魚は水銀のようなマイナス面も持っていますが、それ以上に身体にとってプラス面の方が多いです。
- 重要な栄養素が多い
- 心臓発作や脳卒中のリスクを下げる
- 脳機能改善、うつ病予防
- ビタミンD
- 自己免疫疾患のリスク軽減
- 睡眠の質を改善
- 小児喘息を予防
- 高品質のタンパク質
- 飽和脂肪が低く、不飽和脂肪が高い、オメガ3が多い
<備考>
今回は水銀に特化して調べましたが、その他の重金属も魚には含まれています。
また、エビやスモークサーモンは、妊婦にとって危険にさらされる可能性があります。
<その他の参考文献・資料>
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/index-b.pdf
https://jccu.coop/food-safety/qa/qa02_02.html
https://www.fda.gov/food/metals-and-your-food/mercury-levels-commercial-fish-and-shellfish-1990-2012
https://www.foodauthority.nsw.gov.au/consumer/life-events-and-food/pregnancy/mercury-and-fish
https://www.healthline.com/nutrition/mercury-content-of-fish
https://www.verywellfit.com/the-best-types-of-fish-for-health-2223830
https://ehp.niehs.nih.gov/doi/10.1289/ehp518
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0269749117308850
水銀排出に効果的な食べ物「パクチー」&プチ雑学
最後に補足です。パクチーは、水銀だけでなくいくつかの重金属も取り除いてくれます。
パクチーは苦手な人もいるかもしれませんが、食べ続けていれば結構やみつきになります。
ぜひ普段の食事に取り入れてください。結構どんな料理にも合う食材です。(一気にアジアンテイストにはなりますが)
アメリカでは[シラントロ]、実や葉を乾燥させたものが[コリアンダー]と呼ばれますが、私の住むオーストラリアでは、
生のパクチーもコリアンダーという名前で売られています。
ちなみにパクチーは英語で通じないし、オーストラリアではシラントロでも通じません。
コリアンダーって、コリアン(韓国)に関係するのかなとアホなこと思っていた時期もありましたが、
韓国はKorean、コリアンダーはCoriander、
最初のスペルの時点で違います。全く関係ないですね。
でも面白い雑学を発見しました。
コリアンダーはギリシャでKoris(コリス)と呼ばれ、これがCorianderという言語の元なのですが、
このKoris、意味は「カメムシ」のこと。パクチーも日本名は「カメムシソウ」。
カメムシの味がする由来はここからなんですね。
でも、カメムシソウなんて名前が付けられたばかりに、とても健康に良い香草なのに、無意識・無自覚にキライという感情になってしまうのかもしれません。
私は、初パクチー初体験は日本で、従業員食堂みたいな場所でラーメンの中にパクチーが入っていました。
みんなが渋い顔をする中、私は「思っていたより、悪くないじゃん」と思いながら食べていた記憶があります。
さらについでに言うと、韓国のコリアンは、「高麗」の中国語読みが語源らしいです。
ちなみにパクチーの重金属除去について私自身も調べてみました。
エビデンスはこちらにあります。
Acupunct Electrother Res. Aug-Dec 1995;20(3-4):195-229.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8686573/# (Chinese parsleyとはパクチーのことです)
Plant Foods Hum Nutr. 2019 Jun;74(2):204-209.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30783906/
J Ethnopharmacol. 2001 Oct;77(2-3):203-8.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11535365/
J Birjand Univ Med Sci. 2008, 15(3): 11-19
http://journal.bums.ac.ir/browse.php?a_id=337&sid=1&slc_lang=en