からすみとは
江戸時代から長崎の唐墨(カラスミ)は、越前の雲丹(ウニ)、三河の海鼠腸(コノワタ)とともに代表される日本3大珍味の一つです。
からすみとは、ボラの卵巣を塩漬けして酒などに漬けて、乾燥させたもので、高級珍味として扱われています。
作り方の順番は、血抜き⇒塩漬け⇒塩抜き⇒酒漬け⇒乾燥(干す)の工程でからすみを作ります。仕込みに1か月ほどかかります。
唐墨の名前の由来
唐墨(からすみ)という漢字は、7世紀の中国(唐)から渡来した墨「唐墨(からすみ)」に形や色が似ていたことから命名されたと言われています。昔は常温保存されていたため、色も黒に近かったと思われます。
時期と値段
ボラの卵はは主に秋~冬に出回るのですが、シドニーにはタイの子なども含め卵はあまり出回らないので、結構貴重です(シドニーにボラの卵巣(生)が出回るのは、5月6月です)。そんな中、ボラの卵巣を偶然見つけたので、即買いました。
買ったのは6月でシドニーでは冬です。値段は写真の通り、1kgで$39.99です。まあまあ高いですね。しかし、からすみの状態で売っている価格は1kg$120以上です(+o+)3倍の値段するので、だったら作った方がいいですよね。
ちなみに、一腹で卵巣が2本付いていまして、4本入りを買ったのですが、だいたい1本$5でした。値段は、2腹(4本)で約$20。つまり全部で500gほどで、1本125gです。
からすみの作り方
<1日目>血抜き
上の写真のように、血の塊が残っていますので、丁寧に取り除いてください。骨抜きを使ったり、ピンセットなどで大きな血管は取ってしまい、小さな血管は、裁縫道具の細い針(まち針)などを使い、穴をあけて絞り出したり、丁寧にそっと抜き取ります。
この時に皮を破いてしまうと、作っている最中に中から卵が出てきてしまうので、うまく作ることができなくなるので注意してください。
半日~1日(24時間)ほど冷水(氷水)に漬けて、冷蔵庫に入れて置き、血を完全に外に抜きます。血管が残っていると出来上がりに赤色が残ってしまいます。その後、水から上げて、水分をしっかりふき取ります。
<2日目>塩漬け
たっぷりの塩を使い塩漬け。塩はできれば、良い塩(天然塩など)を使いましょう。まんべんなく漬けます。
塩漬けは1週間ほどです。24時間ごとにチェックして、水分が出てきたら、その都度水分は取り除き、もし塩が減って表面が見えてきたら、また塩を追加してください。ものによっては、3~5日間ほど経っても卵からの水が出てくることもあります。
1週間後、もう水分も出なくなって、ボラの卵を触ってだいぶ固くなってきたら塩漬けは完了です。だいたい、6日~9日間が目安です。水分が抜け、大きさや重さは多少減っています。
<約一週間後> 塩抜き
塩を取り除き、水でさっと表面を洗い流して塩抜きをします。冷水に塩を少量入れ(ちょっとしょっぱいくらいの塩水、2~3%の塩)、その中に塩漬けしていたボラの卵を入れて、4~6時間ほど塩抜きします。
*なぜ真水ではないかと言うと、浸透圧の関係で、真水だと塩分が抜けにくく、外側の塩だけが抜けて、内側が塩辛くなってしまうからです。
途中、水を1~2回入れ替えてください。軽く指で押して、柔らかくなっていたらOKです。固いと塩が残っている証拠です。
<塩抜きのあと> 酒漬け
水分をしっかり取ったら、今度は日本酒に漬けます。焼酎でも良いです。今回は、お酒とたまたま余っていたハッカの焼酎を使いました。だいたい1:1で漬けこんでいます。ひたひたにつかるくらいのお酒の量を入れてください。
今回はパックに入れています。大きさによりますが、4~7日漬けます(下記写真)。*8時間くらいの短時間の酒漬けで次の工程にいく人もいます。
取り出して、しっかりペーパーなどで水気をふき取ります。触ってみると、かなり柔らかくなっていると思います。
<約2週間後>干す
<形成>重石をして、形を整え、冷蔵庫で24時間放置しておきます。重すぎると卵が破裂する恐れがあるので、気を付けてください。(重石の工程は、今回は省きました)
乾燥(干す)
外で干します。(2~3週間)
直射日光はさけて、日陰で風通しの良い場所で干してください。雨が降ったら部屋の中に移動したほうがいいです。表面に粉っぽいものや、脂が浮いてきたら取り除いてください。みるみるうちに、色がからすみっぽくキレイになっていきます。
*本来は、形成と乾燥を交互に繰り返し、形を整えます。白いカビが生えてしまった時は、ペーパーに酒やみりんなどをしみこませて、表面を優しくふき取ってください。
<3週間~1か月後>
さて、出来上がりが楽しみです^^どんどん黄色から濃いオレンジ色に変わっていきます。
1週間後待ちきれずに切ってみると、
中がまだ乾燥しきれていなかったです。でも、おいしいです。
2週間以上経って、取り出すと、カラカラに乾燥して、めっちゃ固くなりました。
ただ、個人的には焼酎のハッカの匂いが気になり(実はハッカが好きではない)、意外に匂いが残るもんだと、少し後悔しましたが、その他の人たちに食べてもらったら、大好評でした。
また、ぼらの卵巣を見つけたら、作ろうと思います。酒のあてにおつまみに最適で、ワインにも、チーズにも、もちろん日本酒にも焼酎にも抜群に合います。
大量に作った場合は、一つ一つラップして冷凍庫に保存しておいても大丈夫です。使う時は、表面の薄皮をはがしてから調理します。
以上、からすみの作り方でした。