煮染(焚き物)四説 摩訶不思議の世界 ~味の原点~

日本料理特有の料理に「煮物」があります。あなたはこの「煮物」にどれだけ種類があるか知っていますか?料理人として、日本人として答えられるでしょうか?一度考えてみましょう、、、

どうでしたか?たくさん出てきたでしょうか?さて、答え合わせです。

「うま煮」

好みの材料に出汁、塩、酒、醤油、味醂や砂糖などを加えて、汁の無くなるまで煮詰め、色よく仕上げます。

「含め煮」

最初に出汁だけで湯煮した材料に味を付けて、汁の味を含ませる。

「煮しめ」

最初から味加減した中で煮込み、少し汁気を残して煮上がりに照りを付けないもの。

 

このように日本料理には、ひとえに「煮る」と言っても、たくさんの調理法があります。そして基本となる調理法でもあります。この「煮る」は日本料理の大きな特徴の一つと言ってもいいでしょう。

煮汁を多くしたり、少なくしたりして煮詰める

煮つけ、煮染、含め煮、うま煮、照り煮、関東煮、(煮込み)

この他、調味料のちがいによって、

味噌煮、佃煮、あめ煮、醤油だき、酒煮、酢煮、梅酢煮、山椒煮などもあります。

また、揚げたり炒めたりしたものを煮る、煮びたし、揚げ煮、炒め煮。

煮あがった“色”で表す、白煮(蓮根や大根など)、青煮(蕗やサヤエンドウ)、墨煮(イカ)、琥珀煮(かぶらや大根)、べっこう煮(サツマイモ)などもあります。

まだまだあります。

くず煮、おろし煮、やわらか煮、あら煮、いとこ煮、煮びたし、治部煮、するが煮、せんば煮、煮和え

このように、煮る調理法一つ見てわかるように日本料理の原点のひとつです。実際、煮方一つで同じ食材でもさまざまな料理に生まれ変わります。

さらに言うと、茹でる、煎じるも煮る料理にいれることが多く、例えば、茹でタコ、茹で鳥、湯豆腐、湯引き、水炊き。煎り酒。いり鯛。煎り豆腐なども、煮たり湯を通したりする料理です。

なぜ日本料理に煮物が多いのか? 4つのヒミツ

煮る調理法が多い理由1

煮物にピッタリと合う日本独特の調味料が多い。

酒、醤油、味醂、味噌、だし(かつお節、昆布、椎茸)

この5つは煮物を美味しくするために必要な調味料です。

煮る調理法が多い理由2

煮物に適した食材が多い

海川の魚介、山の根菜など、四季に渡って変化に富んでいます。食材によって季節を味わうことができます。

煮る調理法が多い理由3

多種の鍋の発達

粒食民族の日本人は、粒物を多量の水で煮る必要があることから、底が深くて丸い釜や鍋の発達が進み、その材質や用途によってたくさんの鍋が出来上がり、鍋料理も多くあります。

煮る調理法が多い理由4

日本人が煮物が大好き。

冠婚葬祭などことあるごとに煮物を作ってお客様に出したり、弁当に入れたりなど、またお節や懐石料理の重要な一部にもなることから、日本の文化・生活に密着している調理法である。

 

以上の4つのことから、煮物が他国よりも発達しているものと思われます。