海外では、Apprentice(アプレンティス)、Cook(クック)、Chef(シェフ)と大まかに3段階に分かれています。
- アプレンティスとは“見習い”
- クックとは3~5年の“料理経験者”
- シェフは6~10年以上の“ベテラン料理人”
というような感じに“名前で格付け”があります。実際、ビザを申請する時でもCookとChefでは申請の仕方も、給料も違ってきます。オーストラリアでは人件費は日本に比べとても高いです。
日本では時給900円とかありますが、オーストラリアのシドニーの最低賃金は約$16です。日本円にすると($1=100円換算で)最低時給が1600円です。(2013年)
これは、見習いとか年齢とか関係なく最低のスタートがその金額からスタートです。
シドニーは物価が高いので、生活する上では妥当な金額設定かなとも思いますが、飲食店経営者にはとっても痛い出費ですね。しかし、働く側にとっては、最低が$16であるなら、ちょっと経験あったら、、、、、もっともらえます。
もし、2~3年の経験のあるCookなら、時給$20はもらえます。しかも、土日などはホリデーペイといって、2倍3倍の給料になるところもあります。*ただしこれはローカル(地元)の企業の場合です。つまり日本人オーナーはブラックなところが多い。
私の知人でフレンチの料理人がいるのですが、その人は時給$40です。本人いわく普通に車を買ったり、年に1~2回は海外旅行したり、日本円で1年間500万は貯まると言ってました、、、めんたま飛び出ました(驚)
その人は15年以上のベテランシェフで小さい店ですが雇われ料理長として働いてます。しかも、働いているのは1週間で3~4日だけ。それで、少なく見積もっても年収800万近くはもらっているのです。
皆さんはどう思うかわかりませんが、私は「すげぇ!」と思いました。ちなみにローカル(オーストラリア人)が経営しています。
もう一つの例をあげます。私の友達で料理を始めて5年たたない人がいます。
その人は、定食屋で、ラーメン作ったり、お寿司を握ったりと色々やっていましたが、もちろん技術は日本料理をがっちりやっている人たちの足元にも及びません。
しかしながら、オーストラリアで育っているので、英語はネイティブレベルで話せます。その人はあるコネで、オーストラリア人の経営する日本食レストランに就職したのですが、30歳目前にして、年収800万以上。週休2日、有給は1年で3週間あります。
すごいですね、、、
ここまでの話で分かるかもしれませんが、海外でも“オーナーが地元の人”なら待遇はいいですが(場所によりますが、、、)“オーナーが日本人やアジア人の場合”、給料は最低賃金に近い形で雇っているのがほとんどです。むしろ最低賃金以下で働かせている経営者の方が多いでしょう。
そこでポイントになってくるのが、英語力です。
日本に働いている料理人には耳の痛い話かもしれませんが、個人で働く場合、海外で重要視されるのは、技術でなく英語力で判断されます。いくら技術を持っていても、コミュニケーションが取れず、その技術を誰にも伝えることができなければ意味がありません。
上記の2人は特別、料理人としてものすごい技術を持っている。知識を持っているというものではなく、英語が喋れる。そして、その環境の仕事場に飛び込んだ。たったそれだけなのです。
海外の日本食は特にですが、、、給料が高いから、仕事もレベルの高い仕事をしている、、、とも思いませんし、給料が安いから、レベルが低い料理、、、とも思いません。
とはいえ、給料は高い方が将来の開店資金に回す余裕もあるでしょうし、安い給料で満足のいく仕事をしていても、いつまでたっても働きっぱなしで貯金はたまらず、そのまま年を取っていく、、、というのもどうかと思います。
ですので、もし今後、料理人に限らずですが、海外で働きたいと思うのであれば、英語力もしっかり視野に入れていく方が賢明かと思います。
当たり前っちゃ、当たり前のことかもしれませんが、海外に住んでいても日系の企業であれば結局日本で働いているのとさほど変わりはないと思います。
でしたら、最初から地元の人が経営者のもとで働いた方がいいのかもしれませんが、やはり私たちが“外国人”扱いのため色々問題も多く、ビザというものには期限があり制限もありますので、難しいと思います。
その壁を崩しやすくする一つの手段として、語学力があると思うので、私が切に望んでいるのは、日本での素晴らしい技術を持った料理人が、世界中の国のローカル(地元)の店に飛び込んで日本料理の素晴らしいところを発揮できるようになれればいいなと思っています。
結局なにが言いたいのかというと、
海外の料理人で、日本料理の技術もそこそこに、ただ英語が喋れるだけで“なんちゃって日本料理”で高い給料をもらっているやつらはただお金のために働いている人が多い気がするので、
日本でしっかり料理を学んでいる人が、海外に出て日本料理を伝えていき、そういう人こそがその素晴らしい技術に見合った給料をもらえるような、そんな世界にしていきたいと思っています。