フリッターのイカを食べました。タイ料理でした。弁当に入った甘辛いイカの揚げ物だったのですが、食べた時に「え、これ鶏肉頼んだっけ?」と思い、食べた物を見ると『イカ』でした。
結構分厚い身のイカだったと思います。
「料理人なのにイカと鶏肉を間違えるなんて、、、」と軽いショックを受けていたのですが、たしかに間違えるくらい食感が似ていました。
鶏肉もイカも、たんぱくな味なので、食感が似ていれば、間違えることもあるかもしれません。
そんな疑問から、このように思いました。
「食感も味も似ているのだったら、もしかしたら栄養素も似ているのではないのか?」という素朴な疑問です。
ということで、味や食感と栄養素の関係について調べてみました。日本の2020食品成分表を元にまとめたのがこちらです。
鶏肉の胸肉とイカ、そして『シーチキン』と『チキン(鶏肉)』の名前が入っている”ツナ缶”の栄養素もついでに比較してみました。
この比較表を見て、ご判断はおまかせしますが、個人的には、結構共通点が多いなと感じました。
もちろん鶏肉とイカは全然違うものです。だから栄養素の数値に差があるものも多いですが、結構似ている部分も多いです。
タンパク質や脂質、炭水化物などの割合もイカと鶏肉は近いものがあります。
エネルギーは鶏肉の方が多いですし、ナトリウムはイカの方が多いです。しかしその他いくつかのミネラルにおいては、イカと鶏肉両方とも似通った数値に収まっています。
ビタミンも差があるものもありますが、同じような数値のように感じます。コレステロールはイカの方が断然高いですね。
ちなみに鶏肉はイカの食感に一番近いと思うムネのデータを取りました。
このような結果から、食材において、似ている形、食感、味のものは、栄養素も似てくるという推測が立てられるのかもしれません。
だから、たまに『○○と△△の食材を足したら、□□の味になる!』みたいなものがありますが、それら食材の栄養素は、実は似ているのかもしれません。*あきらかに違う栄養素もあるでしょうが。
そして、鶏肉とイカが似ている栄養素で構成されていることは分かったけど、次は
「鶏肉の部位によって、栄養素の差がどこまであるのか?」
という新たな疑問が浮かんできたので、こちらも比較してみました。
と言うのも「例えば鶏ムネとささみだったら、イカよりも違いが顕著にでるのではないか?」また「生と火を通した場合にも、鶏とイカよりも栄養素での開きが大きいのではないか?」と言う仮説です。
というわけで、部位別の栄養素の比較表も作ってみました。
この鶏肉の比較は、基本”皮なし”でまとめたのですが、
、、、これを見ると、やっぱり鶏肉は同じ鶏肉なのか、そんなに大差はありませんでした。イカより差が大きな部位はほぼ無いように思います。(そりゃそうか)
とは言っても、同じ鶏肉とはいえ部位によってこれだけ差があるというのは、ある意味面白い発見です。
同じ部位の、生と火を通した鶏肉を比べてもほとんど差が栄養素もあれば、意外と数値が変わっているものもあります。かなり興味深いですね。
ここから、火を通すことによっての栄養素の変化も予想できると言えるでしょう。
豚や牛、また野菜や穀類なども生と火を通した状態の栄養素の変化が気になってきましたが、それはまたの機会にします。
栄養学を勉強し、このような食材についての栄養の変化にも注目すると、さらに健康になるための料理に近づける気がします。
もちろんすでに研究されていて色々な料理がありますが、料理人としては、調理をしている最中に瞬時にある程度のそれぞれの栄養素(ビタミンやミネラルなど)の計算ができるようになると、さらに一歩進んだ料理人になるのではと思います。
そうすれば、ある程度ピンポイントで、足りない栄養素を補える料理をパッと作れるようになるのではと考えます。
さて、では最後に、同じ鶏肉とはいえ、圧倒的に栄養素が違う部位があります。
それは内臓です。特に肝臓だと思います。
ということで、これも比較してみました。ついでに手羽先も付け加えました。
さすが、肝臓は天然のサプリメントと言われるだけあって、栄養が半端なくあります。すごいですね。
これらの差については、書いていくと終わらなくなりそうなのでやめておきます。栄養素が100倍のところとかもあります。
特に鶏と豚の肝臓が圧倒的ですね。レバー系は1-2週間に1度は食べておきたいですね。
以上、かなり面白い検証でした。