日本米の品種別アミロース含有量と世界のお米

世界中には多種類のお米があります。それぞれの国によって、お米の長さや状態が違い、その国の料理にとてもよく合います。

日本米には日本食に合ったお米が作ら、日本人好みの味になります。

お米文化の日本人は「日本のお米が一番だ!」と思っている人も多いでしょうが、それは他国も同じで、お米を主食とした民族は、それぞれ自国で作られるお米が一番だと思っています。

そんな背景もあり、世界の代表的なお米と日本のお米を比較してみました。

また最後には、日本米の品種別特徴や、アミロース含有量なども載せていますので最後まで読んでみてください。

◇ジャスミンライスと■バスマティライスの違い

ジャスミンとバスマティライスはどちらも長粒米の品種です。バスマティライスとジャスミンライスはどちらもアジア大陸を起源に生まれたお米です。

調理前の粒径 粒子のサイズと形状

◇ジャスミンライスは長粒米です。端が少し丸みを帯びており、少し半透明です。

■バスマティ米は、よりシャープで長いです。バスマティ米も長粒米とされていますが、粒が長く、細く、端が鋭いため、エクストラロングと呼ばれることもあります。

調理後

ジャスミンライスは、調理するとしっとりと固まります。

バスマティのふわふわで、一粒一粒が独立しています。

*写真わかりづらいですね。

栽培

ジャスミンライスは、 タイ、カンボジア、ラオス、ベトナムで栽培。

バスマティ米はヒマラヤ山脈のふもと。インド・パキスタン料理に使われます。

アロマとフレーバー

ジャスミンライスは花の香り。ポップコーンのような甘い香りです。味は少し甘めです。

バスマティライスは、「バスマティ」が「香り豊か」に翻訳されていることからも、かなり香りがよく、ナッツのような風味もあります。

食感

ジャスミンライスとバスマティライスは、一度調理すると見分けやすくなります。

ジャスミンライスは、一度炊くとしっとりと少し固まります。日本米に近いですが、日本米に比べるとパラパラします。

バスマティライスは、ジャスミン米の穀物よりもはるかに乾燥しているからサイズが2倍になります。食感はパサパサです。

一粒一粒がバラバラになり、おにぎりのように固く握ってもパラパラと崩れてしまいます。たとえ、しっかり吸水したり、水を多めにして炊いたとしても、その性質はほとんどわりません。

調理された米の分子構造

バスマティ米には、分岐の無い分子構造のアミロースが多く含まれています。

ジャスミンライスはアミロースよりも分岐した分子構造のアミロペクチンが含まれています。この枝分かれした構造が、モチモチ感を作り出しています。

そのため、ジャスミン米粒は日本米に少し近くなります。

調理法

ジャスミンライスを炊くときは、水が透明になるまで数回すすいでください。

ほこりやごみを取り除くだけでなく、表面のでんぷんも取り除きます。除去しないとジャスミン米の粒が通常よりもさらに凝集します。

ジャスミンライスは吸収法。炊飯の終わりまでにすべてが吸収されるように水の量を調節します。

バスマティライスは、炊く前に少なくとも30分は水に浸す必要があります。

穀物が水分を吸収したらバスマティ米を塩水(塩少し)で煮ます。ご飯を炊いた後、余分な水を抜くことができます。この技術によりバスマティ米が均一に調理されます。

1カップ、調理済み ジャスミン米 バスマティ米
カロリー 238 kcal 191 kcal
総脂質 3.5g 5% 0.61g 1%
炭水化物 45g 15% 39.85g 13%
ナトリウム 189mg 8% 199mg 8%
タンパク質 5.34g 5.59g
1.47g 8% 2.09mg 12%
カルシウム 14mg 1% 18mg 2%
カリウム 83mg 2% 51mg 1%
ビタミンA 144 IU 3% 0 IU 0%

グリセミック指数

バスマティ米のグリセミック指数(GI)は、ジャスミン米のGIのほぼ2分の1です。

バスマティ米のGIは58で、ジャスミン米のGIは109前後です。

バスマティ米のようにGIが低い食品は、ゆっくりと消化・代謝されます。なので空腹感を感じにくく、体重コントロールの面では効果的でしょう。さらにGIが低いので、インスリンと血糖値を下げる傾向があります。

「ジャスミン米」と「タイ米」

ジャスミン米(香り米)とは、タイ米(インディカ米)の長粒種のお米です。最高級のタイ米と言われています。

一般のタイ米は粘りが弱く香りが少ないのに対して、ジャスミン米は、甘味が強く味わいのあるお米です。

日本のお米の中でも、ササニシキやコシヒカリなどのように、他の米とは違い、味・香り・粘りなどが特に素晴らしく、最高級の米と称されるお米があるように、タイ米の中でも最高級品として君臨するのがジャスミン米です。

また、ジャスミン米の独特な香りタイ語では別名で「Khao Hom Mali(カオ・ホン・マリ)=香り米」と呼ばれており、甘くて香ばしいココナッツのような香りがするのも特徴です。

「ジャスミン」の由来ですが、花のジャスミンの味や香りがするというわけではないです。

ジャスミン米の稲の穂がジャスミンの白い花のように白いことから、またジャスミンの”ような”とても良い香りということで、ジャスミンと名付けられています。

日本のお米はジャポニカ種に対して、タイ米はインディカ種です。

タイ米を主食とする地域では、カレーなどの汁物に付けて食べたり、チャーハンやピラフなどのように、お米や野菜・肉など共に炒めて食されています。

高級料理店などでもジャスミン米を提供

タイ米と普段日本で食べられているお米とでは、見た目や味だけではなく「炊き方」にも違いがあります。炊き方は「お湯で茹でる」方法が一般的です。この炊き方は通称「湯取り法」とも呼ばれています。

炊き方の手順は、まず鍋にたっぷりの水を入れて沸騰させます。お湯が沸いたらインディカ米を入れて、そのまま茹でていきましょう。火加減にもよりますが、茹でる時間は15分程度が目安です。

その後、お米を取り出してしっかり水気を切れば完了です。パスタを茹でるようなイメージです。

お米をといだり水を含ませたりする必要がありません。そのため調理の時間を短縮できるメリットがあります。

「ジャポニカ種」と「インディカ種」

世界中で広く栽培されているイネは、サティバ (Oryza sativa) といわれる種です。このサティバには,ジャポニカとインディカという2種類に大きく分類されます。

ジャポニカ米は丸みを帯びてツヤがあり、ふっくらとした見た目をしていることが特徴です。味は甘みがあり、食感はやや粘り気を持っています。

日本で栽培されているイネのほとんどはジャポニカです。

インディカは、東南アジアや中国の南部などで主に栽培されており、タイ米もバスマティ米もインディカに入ります。

私たち日本人の多くは、適度な粘り気をもつ中アミロース米をおいしいと感じますが、高アミロースであるインディカ米は水分や油分を比較的吸い取りやすいため、ピラフやカレーなどと非常に良く合います。

種子中のアミロース含量が高い(22-28%程度、高アミロース米)と、粘り気がほとんどないパサパサな食感になり、中程度(16-18%程度,中アミロース米)だと適度な粘り気になります。

ジャポニカ米は中アミロース米で、インディカ米は高アミロース米です。

アミロースは、ワキシーという名前の遺伝子から作られる酵素の働きによって合成されるのですが、高アミロース、中アミロースのちがいは、このワキシー遺伝子のタイプ(対立遺伝子)が異なることが原因です。

ワキシー遺伝子による違い

ワキシー遺伝子は温度の影響を受けやすく、普通の栽培気温より低い温度や高い温度では、そのはたらきが強くなるという性質があります。

*もち米のワキシー遺伝子は完全に機能を失ってしまっているためアミロースが合成できません。

ジャポニカとインディカのアミロース含量の違いわずか2-3%です。

しかし同じジャポニカ米で、同じタイプのワキシー遺伝子をもっていてもアミロース含量が違ってきます。

それは温度によるためで、たとえば種子が育つ期間中に寒い日がつづくと、ワキシー遺伝子の働きが強くなり、通常の栽培条件ならアミロース含量が17%程度のジャポニカ品種が、20%を超すことがあります。

暑い日が秋まで続くと同じようなことが起こります。つまり極端な栽培をすると「ジャポニカ米もタイ米のように」なってしまう可能性があります。

ワキシー遺伝子を利用したお米「ミルキークィーン」

ミルキークイーンは、普通の栽培条件下では10%以下のアミロース含量です。

ワキシー遺伝子は正常にはたらいていますが、他の遺伝子の機能がなくなったために低アミロース米になります。

このミルキークィーンを寒暖の差の激しい山間地で栽培すると、もちもち感の強いお米になるそうです。ただしお米の食感やおいしさはアミロース含量だけで決まっているわけではありません。

デンプン以外の他のお米の成分もその品質の良さに関わっていると考えられています。

これらの成分も、温度などの環境によって左右されることも考えらるので、栽培条件による品質の違いは複雑です。

日本米のアミロース含有量や特徴について

品種 誕生年 アミロース含有量 特徴
コシヒカリ 1956年 16.5% 特有の粘り強さと甘み
あきたこまち(コシヒカリ 奥羽282号) 1984年 16.6% コシヒカリ譲りの味わい。独特の粘りと光沢
ササニシキ(ハツニシキ ササシグレ) 1963年 18.5% あっさり、冷めても美味しい、寿司米としても人気
ひとめぼれ(コシヒカリ 初星) 1992年 17.3% ササニシキの後継米。香り良く軟らかく粘り強い
はえぬき(あきたこまち 庄内29号) 1993年 18.1% コシヒカリに類似する粘りと美味しさ
ななつぼし(ひとめぼれ 空系90242A=F1×あきほ) 2004年 22.0% 大粒
ミルキークイーン(こしひかりの突然変異) 1998年 9% コシヒカリより粘りが強く、もち米に近い
こしいぶき(ひとめぼれ どまんなか) 2003年 14.9% 小粒。コシヒカリ譲りの美味しさと粘り強さが特徴
ふさおとめ(ひとめぼれ ハナエチゼン) 1999年 未測定 味わい深く冷めても美味しい
日本晴(玄米) 1963年 22% コシヒカリのような粘りは無く、冷めると著しい味わいの低下がある。
どんとこい(キヌヒカリ 北陸120号) 1997年 17.1% 粘りが強く柔らかい。味、外観とも良い。
あわみのり(北陸132号 キヌヒカリ) 2002年 20.2% 軟らかく粘りが強い。性質的にコシヒカリに類似。

低アミロース米は、粘り気が普通のウルチ米よりも強く柔らかいのが特徴です。そのため普通のうるち米を炊くときと同じ水加減では、柔らかくなりすぎてしまいます。

ですから普通のご飯を炊くときよりも10~15%ほど水加減を減らしてあげると丁度良いかもしれません。