有害食品奇譚0 ~我らの時代の悪者にされた食べ物の悲劇について語る~

とある飲食関係のイベントに参加した時のトークショーで、話されていたことがとても印象に残ったので、自分の考えも含めてここに残そうと思います。

色々な意見、見解があると思いますが、これも一つの視点での物事のとらえ方として気軽に読んでいただけたらと思います。

食品・料理・食べ物の良い悪いの違い

私は人よりも、少しは健康に気を使っている方だと思っています。運動も定期的にしていますし、食事も気を使って選んで食べています。

最近ふと思ったことは、「なぜ身体に悪い食品が存在するのだろう?」という疑問です。

フグなど、素材そのものに毒が入っていたり、古くなって腐ってしまったりした食品などは別にしても、世の中には、身体に良い食べ物と悪い食べ物というものが存在します。

例えば、野菜や魚、肉で、オーガニック、無農薬、無肥料、無添加は良い。

また、ファーストフード、お菓子、白砂糖、加工品は悪い。

このように言われています。

「何を当たり前のことを言っているの?」とあなたは思うかもしれませんが、はたして、それは本当なのでしょうか?

食に携わる者として、さまざまな知識をつけることは必要です。しかし、ちまたに流れるうわさや情報、本などを読んで鵜呑みにしてしまうのも問題があります。

というのも、私自身、結構妄信的に突き進む傾向があるので、注意しなければいけないと普段から思っているのですが、なにせ、今の時代情報が多く、うかつに何でも吸収しようとすると、何を信じればいいのかわからなくなります。

また、信じなくて良くても、とにかく毎日何かは選択をしなければならなかったりするので、困ってしまいます。

さて、ちょっと話が外れましたが、良い食べ物、悪い食べ物という定義はなんでしょうか?

冒頭に少し触れましたが、先日、ある食に関するイベントに参加した時、そこにいたお偉い方が、話していたことが妙に心に突き刺さったので、今日はその話をしたいと思います。

、、、と言っても、そんな長い話ではありません。

そもそも世の中に悪い食べ物など無い

今でこそ、

  • 化学調味料は身体に良くない。
  • 添加物は○○の病気の元になる。
  • マ〇ドナルドのハンバーガーを食べすぎると成人病になる。
  • ○○のパンを食べると善玉菌が死滅する。
  • トランス脂肪酸は絶対食べたらダメ!

などなど、本当にあった怖い話もビックリの恐ろしい情報が色々あります。

だから、

  • 野菜を中心に食事をしましょう。
  • 添加物の入っていない食生活をしましょう。
  • 化学調味料は入れてはダメ。
  • ファーストフードはやめましょう。

と言われます。これは、現代の話です。しかし、時計を逆回しにして、時間を遡ってみてください。

過去の歴史から学ぶ、良い食べ物・悪い食べ物

例えば、化学調味料が作られた時代。「うま味」が発見されたころ。そもそも化学調味料を食べることによって起こる、さまざまな副作用や症状などは、誰もわからなかったのかもしれません。

もちろん、作っていた当人も、

「この化学調味料ができることで、料理がもっと美味しくなって、日本がもっと元気になって、食事をもっと楽しめる世界にしていきたい!」このような想いを持って、研究して作っていたんだと思います。

逆に当時、

「へっへっへー、この素晴らしい調味料によって、世の中の食をコントロールし、食べる人みんなを慢性肥満にして、病気体質の世の中にしてやろう」なんて考えて作っていたとはどうしても思えません。

添加物も同じです。戦時中、食べ物が十分に入らなかった時代を経験してきた人たちが、

「できるだけ多くの人に満足にごはんを食べてもらいたい。」

「できるだけ長く食事の品質を維持して、遠くの町や村まで届けることができ、明日の食べ物さえ困っているような人たちを一人でも助けたい。」

、、、こんなような思いから、いくつかの添加物は作られていたかもしれません。

先ほどと同じように、

「しめしめ、この添加物を組み合わせて、食べる人を気付かないうちに、病気にしてしまおう」なんて考えていたとは思えません。

ファーストフードもそうです。特に子供は大好きですが、そんな子供の満面な笑顔を見ることができる手段がファーストフードかもしれません。お菓子なども砂糖たっぷりでも、人を幸せにします。果たして砂糖の入ったものを食べるのはそれは本当に悪いことなのか?

など、そんな疑問さえ浮かんでくるかもしれません。

肥料も農薬が作られ、使用されてきた背景も、

「できるだけきれいな状態で消費者に届けたい。」「たくさん作ることで、喜んで食べてくれる人が待っている。」

中には、「お金儲けのため」とか「誰よりも稼いで有名になって権力を持ちたい」なんて人もいるでしょうが、そんな人は後からでてきただけで、そもそも、そんなダークすぎる考えを持っている人なんてほんの少数派だと思います。

これを読んで、あなたも色々思うことや意見もあるでしょうが、

、、、このことからも、

今でこそ研究が進んで、「あれは悪い、これは悪い」と言って、添加物もそうですし、農薬とかも悪者にされていますが、それが使われ始めた当初は、みんな本当に心から、

「この世の中を良くしていこう」と思って作っていたのではないでしょうか?

そうやって、過去に頑張ってきてくれた人たちのおかげで、今の私たちの生活が実現されているのです。

食品以外でも、例えば、悪の代表格ヒトラー。この人も、歴史が悪者にしているだけであって、私達は実際会ったことなんてありません。

本当は世の中を良くしようと思って、頑張っていたけど、戦争に負けたから悪者にされたという見方もできます。

美味しい店が潰れるのも、有名店で修業した料理人が出したお店が潰れてしまうのも、ある審査員のつけた評価が悪いという印象だけで、世の中が「あの店は悪い」と決めつけてしまう。

本当は実際に行ってみればすごく良い店なのに、結局潰れた店だからそのレッテルを張らされる。

このようにみると、私達は、常にアンフェアな状況にいると言えます。でもその中で、生きていかなければならないのです。

アンフェアな食品戦争時代

そう思うと、一概に、「添加物は良くない」「オーガニックは良い」などと時代の新参者の私たちが言える立場ではないことに気付かされます。

もしかしたら、今私たちが当たり前のように健康で身体に良いと思っている食事も20年30年後には、「実はこんな副作用があるから危険です!」なんて言われているかもしれません。

でもそんなこと知らずに私達は今の常識で正しいことを主張します。なぜなら、それが、この世の中を良くしていくと信じ込んでいるからです。

だからと言って、「添加物の入った食品を積極的に摂りましょう。」「なにが正しいかわからないから、食事に気を使わなくていいです。」とか言っているわけではありません。

盲目的に、「これは悪い、良い」と信じこんで、かたくなにガンコになって、何かの食品を否定したり、叩いたり、差別したり、見下したり、そんなことはしない方が良いと思うのです。

なぜなら、おそらく未来には、全く違った結果が出てくるかもしれませんし、あまりにもそれしか見えていないと、あるとき裏切られたりしたら、取り返しの無いことになってしまいそうです。

今でもさまざまな食品業界で、色々な想いを持って仕事をされている方がたくさんいます。

どんな業界でも、働いている人たちみんなは「お客さんに喜んでもらおう」「もっと明るい世の中にしていこう」と信念をもって取り組んでいるかもしれません。

だから、、、

だからというわけではないですが、食事は、人であれば誰もが行う生命活動です。(ブレサリアンとかリッキタリアンとかは置いといて)

そんな身近にあるものだからこそ、日々の食事を見直して、大切にし、感謝して、食事を楽しんだり、料理を作ったり、提供したりしていってくれればと思います。

先人たちが残してくれた食の世界が“今”です。それを私たちはもっと素晴らしい未来につなげられるように。特に食に携わる人たちには、日々考えていただきたいテーマだと思う今日この頃です。

これからの世代の使命

どうすれば、世界中の人が食べ物に困ることなく生活でき、食事をすることに感謝することができ、良い循環を起こすことができるのか?

そうやってみんなが考えれば、“食”で世界を変えることは難しくないことなのかもしれません。ただ、今認められているもので、本当にたべてはダメなものもあります。確実に実験により、わかっている有害物質を含んだ食品もあります。

世界一の投資家(資産はなんと9兆円!)といわれる「ウォーレン・バフェット」という90歳近くになるおじいちゃんがいるのですが、コカコーラとマクドナルドが大好きです。

でもピンピンしています。なんとも不思議なことです。そんな人もいるので、本当に人のからだはそれぞれだと思います。

大食い大会に出ている人のように、いくら食べても太らなくて、消化できてしまうような体質もいれば、少し食べるだけでも、太ってしまう体質の人もいます。

つまり、ご自身でしっかりとした知識を身に付け、身体で実感してみることも大事だと思います。

グルテンフリーダイエットのように、ある一定の期間、グルテンの入っていない食事を続けた後、一日だけ、グルテンの入ったパンなどを食べて身体に出る症状を見て変化を調べることもできます。

毎晩飲むお酒を止めると、目覚めが良くなったり、ジャンクフードを食べない生活を続けていると、添加物の味が気持ち悪く感じてきたりします。

食生活を変えてみると、今まで気づかなかった部分が見えてきます。

流行に流されず、ただ目の前にある出された食事をなにも気にせずに食べるのではなく、食べ物と身体と対話しながら食事をするのが大切だと思います。

 

以上、そんな感じで今回のお話は締めくくりたいと思いますm(_ _)m