季節の料理に添える“かいしき”の表現

「かいしき」とは?

「かいしき」とは料理に添えて季節感や清潔感を表すもので、日本料理の最も大切な特色の一つであり、掻敷、改敷、皆敷、会敷等の文字で書かれます。

 

この「かいしき」には、料理の下に敷く葉っぱや紙の事を指す場合もあれば、刺身や前菜等で草花等で季節感や景色を添える場合もカイシキと言い、呼び方が2種類あります。

  • 天紙・奉書紙=紙掻敷(紙かいしき)
  • 植物の葉など=青掻敷(青かいしき)

※天ぷらの下などに敷く天紙や剥き物野菜等も“かいしき”です。

昔の日本では食器のかわりに“かしわの葉”や“椎の葉”等を使用していました。昭和の時代は、笹とかもみじ等しか使わなかったのですが、今では梅、桜、花菖蒲、南天、朴葉等なんでも使うようになっています。

青竹の器等もかいしきに入ります。青竹はよく夏の清涼感を出す為に使いますが、冬にも使用することもあります。今でも、料理屋の若い子たちは、よく山に行って竹や季節の葉を料理用に取りに行ったりしているところはありますが、普通に、使い易いように長さ、大きさの整ったものが色々売ってあるので買う料理屋も多いです。

かいしきの思い出

私もよく竹林や山に行って、よさそうな葉や竹を切りに行ったりしてました。が、そこが自分の土地でなければ“違法”になります。あたりまえですが、他人の土地のものを奪ったことになるので罰せられます。山でも公園でも、誰かの所有物または国のものってことになっているので、警察に見つかったらやばいです。

わたしは捕まったことはありませんが、友人は警察に職務質問されそうになって逃げてきたり、捕まっても警察に質問されたら、他のライバル店の料理屋の名前で働いてると言え!って教えられたりしました。

ひどい話ですね(笑)

ま、だいたい、取りに行くのは朝早くか、夕方や夜なので、近所の住民にもかなり怪しがられます^^(もちろん事前に下調べして、“この場所のこの木が一番きれいな葉っぱだな、、”とかチェックして印とかつけておくので、夜でもすぐに見つけられます(^○^))

こういうことをしていると、色々な植物を普段から気にしていて、出かけているときでも、「あ、この葉っぱすごいキレイで使える!こんど夜中こっそり取りに行こうかな、、、」なんて思うようになります。で、先輩にとってきたものを見せると「よしでかした!えらい!!」みたいになって、喜ばれるんですね。

あと、売っている葉っぱ(料理用)って意外と高いんです。だから、それにお金払うなら、とってきた方が安く済むということで、取りに行かされます。こんな世界です。料理屋の裏側、、、

 

って余談になりました。話を戻します。

「あしらい」と「かいしき」の違い

両者とも同じく料理の添え物ですが、「あしらい」は主に料理に付き添うような形で横や正面、天に置きます。かいしきも、あしらいの一種であるという考え方もあります。「かいしき」は主に料理の下に敷く植物の葉などを意味します。

という分け方が一般的ですかね、、、

なんで料理に“かいしき”を使うのか?

植物の葉、花、小枝を用いる「青かいしき」と、天ぷら紙のように和紙を敷いたり、立てかけたりする「紙かいしき」

これらは冷蔵庫等の保存設備がない時代には、防腐や防臭の作用も兼ねていました。

このような習慣のない他国では「なんで、食べられない物を器に盛るの?」と思われることもありますが、我々日本人にとっては、庭木や部屋を飾る生け花と同じように季節感を味わうのに大切なものなのです。

 

次に季節による草木の使い分けをのせるので参考にしてくださいね

〔季節のかいしき〕

春のカイシキ (2~4月)

山茶花(さざんか)・椿・梅・菜の花・裏白・南天・ゆずりは・ひば・しだ・杉・

桃の枝・彼岸桜・うるい・花山葵・葉山葵楓・筍の皮・山吹・躑躅(ツツジ)・山桜

八重桜・芽吹いた枝花つぼみ各種

夏のカイシキ (5~7月)

菖蒲(しょうぶ)・蓬(よもぎ)・やまほうし・若朴葉・山蕗・蕨(わらび)・いたどり

梅花空木(バイカウツギ)・若柿の葉・胡瓜の葉と花・かじの葉・紫陽花(あじさい)・里芋の葉・熊笹・もみじ

蓮の葉・朝顔・夕顔・葛の葉・ほおずき

秋のカイシキ (8~10月)秋の七草入ってますね

紅葉・萩・小菊・栗(葉・いが)・栃の葉・桑の葉・すすき・撫子(なでしこ)・桔梗(ききょう)・ふじばかま

無花果(イチジク)の葉・銀杏の葉・桜の葉・団栗の葉・柿の葉

冬のカイシキ (11~1月)

いちょうの葉・冬苺の葉・蜜柑の枝・柊(ひいらぎ)・冬苺

乾燥朴葉・裏白・檜葉(ひば)・柳・松葉

 

これらは一例で、必ずしもこの“かいしき”じゃなきゃいけないというわけではありません。他にもその季節の花や葉はたくさんあります。

料理に盛り付ける草木、花、葉についての衛生面

専門研究者の話によると、「野外で植えた、木の葉や花には、多種類の細菌がついていて、水で洗っても取れないものもいます。葉に太陽がよく当たり、雑菌が多いほど殺菌作用をしている。それで防腐用として使われる葉もありますが、温室で育てれば植物に殺菌能力がない」らしいです(゜レ゜)

それじゃあ、料理を盛ったら、ダメじゃないか!言う人も出てきますが、それほど心配するほどのこともないみたいです。ある程度要点をまとめると、

  • 新しい葉には殺菌能力がある。ただ、短時間使うことを勧める。
  • 長時間置くと、葉の殺菌能力もなくなるし、少量の細菌でも美味しい餌を与えれば当然繁殖する。皿も洗いが足らなければ同じことである。
  • 昔から、長く時間を置く食べ物に使われている葉は、葉を塩漬けにしたり、食べ物と一緒に蒸したりしている。生の葉を使う場合葉の表面がつるつるの葉を使うなどの工夫がある。
  • どんな葉でも良いという物ではない。綺麗な葉でも中には毒素を含んでいる物もある。詳しく植物の性質を知る必要がある。

覚えておきましょうね。

 

ps、、、

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