お米の歴史 ~なぜ日本はお米を大事にするのか?~
今は欧米文化の影響で、ご飯を食べない人が増えてきていますが、本来、お米とは日本人にとって切っても切り離せない存在です。
私はよく母親から、「ご飯を一粒も残しちゃだめよ」「しっかり噛んで味わいながら食べなさい」「ご飯を残したら罰が当たるよ(または目が潰れるよ)」なんてことを言われた経験があります。
しかし、なぜこれほどまでにお米を大切にしてきたのか?そのお米の大切さを受け継いできた理由をちゃんと説明できる人は、かなり少なくなってきたと思います。
これは日本の歴史や神話を読み解くと、わかってきます。
神話とは「にほんむかしばなし」や日本の童話に出てくるような話もありますが、これからお伝えすることを知っているのと知っていないのでは、今後日本人として生きていく中で、あなた自身の“質”が格段に変わってきます。
また、日本料理を学ぶ人にとっては、必ず知っておいてほしい内容です。
どこから話が始まるのかというと、『日本』という大陸が作られる話から始めます。(*古事記を元にしています)
色々なサイトや動画にもたくさんアップされている内容でもあるので、なるべく簡単にお伝えしようと思います。
日本を生んだ神様
日本の古事記では、さまざまな神様が生まれます。はじめは性別の無い神様ばかりでした。
しかし、その後、男女の『泥』『成長力』『性器』『愛』の神様が2柱(神様は“人”ではなく“柱”という数え方です)生まれました。(*神は柱に降りてくるという考えから、柱は大きな木で作られる大黒柱に神がいると信じられてきたからです)
そして、一番最後に生まれたのが、お互いを誘い、いざなう神様、伊耶那岐命(イザナギノミコト)と伊耶那美命(イザナミノミコト)が生まれました。
すこし違いますが、旧約聖書で言う、“アダムとイブ”のような存在です。
イザナギとイザナミ
この二人が国生みを始めます。まずは、大陸を作っていきます。
イザナギとイザナミの最初の子どもは、水蛭子(ヒルコ)、島にならない状態で生まれたので、海に流されてしまいます。この水蛭子はのちのエビス様となると言われています。
その後、今でいう淡路島が最初に作られ、次に四国、九州、本州などが作られ、日本列島が出来上がります。大陸ができると、今度は、神様を生んでいきました。
石や土の神様、風や山の神様など、色々な神様を生んでいくのですが、火の神様を生んだ際に、イザナミはその火による大やけどにより死に、黄泉の国に行ってしまいます。
イザナミを失ったイザナギは、妻に大やけどをおわせた火の神のことを、どうしても許すことができず、とうとう、剣で切り殺してしまいます。そして、イザナギはイザナミを連れ戻そうと黄泉の国まで行きますが、結局連れ戻すことはできませんでした。
黄泉の国から帰還したイザナギは、身体を洗い清めます。
その時もさまざまな神を生み出すのですが、その中で最後に生まれた3人の重要な神様、それが、日本神話でも最も有名な、
- 太陽(天)の神様:天照大御神 アマテラスオオミカミ
- 月(夜)の神様:月読命 ツクヨミノミコト
- 海(海原)の神様:須佐之男命 スサノオノミコト
三柱神・三貴子と呼ばれる神たちです。
三大神勅
天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、孫の邇邇芸命(ににぎのみこと)に斎庭の稲穂をお任せになられます。
アマテラスの孫たちが地上に降臨したことを「天孫降臨(てんそんこうりん)」と呼びます。
ニニギノミコトに稲穂を渡し、「この稲を育てて地上を(日本)を豊かにするように」と命されます。
その時、三大神勅(しんちょく)をニニギノミコトに託します。
三大神勅の一つ目は、「天壌無窮(てんじょうむきゅう)の神勅」
天壌無窮とは、この国の君主である自覚をもつこと。
二つ目は、「宝鏡奉斎(ほうきょうほうさい)の神勅」
三種の神器の一つである八咫鏡(やたのかがみ)を渡し、「この鏡を見て、私利私欲で民を苦しめていないかを自省し、そこに『我』があるなら取り除きなさい」と言われます。
なぜ“かがみ”なのかというと、「かがみ(鏡)」から「が(我)」を取れば「かみ(神)」となり、神としての生き方を示したのです。
そして三つめが、「斎庭稲穂(ゆにわいなほ)のご神勅」
稲を育てて、国を繁栄させることです。
斎庭の稲穂の神勅(ゆにわのいなほのしんちょく)
天照大御神は、神道で最も尊いとされる太陽の女神であり、神々の住まわれる高天原(たかあまはら)を治めておられる神です。斎庭(ゆにわ)とは、高天原にある、神々に捧げる神聖な田のことです。
天照大御神は、日本を治めることを邇邇芸命(ニニギノミコト)に託しました。その際に、天照大御神は邇邇芸命に稲穂を授け、それを地上で育てることをお任せになられたのです。
『斎庭の稲穂の神勅』 それは、古来より日本人が守ってきた、天照大御神との約束なのです。
その後、ニニギノミコトの息子たちで、日本昔話でも登場する海幸彦、山幸彦が生まれ、山幸彦の孫にあたる子にカムヤマトイワレヒコノミコトがいます。のちの皇太子です。
大和国を平安し紀元前660年、2月11日(建国記念日)に即位し、初代神武天皇になりました。山幸彦は神武天皇の祖父にあたります。
そこから日本の歴史が始まります。
以上、ざっと日本の歴史の始まりをお伝えしましたが、この話を聞くとわかる通り、日本は世界一長く続く国であることがわかります。
即位から2678年(平成30年、2018年)世界中探しても神話と現代まで繋がっている国は日本以外にありません。また、三大神勅を守ることが天皇の使命であり、125代いまだにその神勅が守られているのです。
神様のごはん 「おむすび」
『斎庭稲穂のご神勅』で稲を渡されたという話があることからも、日本は昔から稲作によってできあがった国です。
いまでも神社にまつわれているものとして、
- お米
- 水
- 塩
があります。間違っても、お米ではなく小麦粉を奉ることはありません。水ではなくお茶でもありません。塩ではなく砂糖を奉ることもありません。
これらは、最初の話でも挙げた“三柱神”にも例えられ、
『お米』=太陽(天)の神様:天照大御神 アマテラスオオミカミ
『水』=月(夜)の神様:月読命 ツクヨミノミコト
『塩』=海(海原)の神様:須佐之男命 スサノオノミコト
となります。
そして、この3つが合わさってできる食べ物、米、水、塩で出来上がるものが『おむすび』です。
お米一粒一粒が光のように感じ、それらをまとめて握ることで、おむすびはできます。つまり、神様に見立てた光の塊がおむすびで、それを食べることでエネルギーが出るのです。
よく昔話で、遠くに出かける時に持っていくものは、必ず“おむすび”です。
炭水化物としてみればそれまでですが、日本人はお米を神様に見立てて食していたことから、おむすび一つでも、多くのエネルギーを授かったと言われています。
そんな、日本の神話から登場してくるお米で、このような背景があるからこそ、天皇はお米に関する行事を大切にしています。大嘗祭(新嘗祭)と呼ばれる儀式は11月23日に稲作の豊穣を祈って行われます。
それほど大切にされているお米を、私達は、ただの栄養や炭水化物としてだけ捉え、本来の意味を無くして、食事をしている人が多くいるように思えます。
「ご飯はそれだけで食べると、たくさん食べられないけど、おむすびだと何個でも食べられる!」
このような経験をしたことはないでしょうか?というのも、おむすびは光として捉え、エネルギーを高めるものとして食べているからいくらでも食べることができるのです。
以上の事柄からも、日本がどれだけお米を大切にする国なのかがわかると思います。
、、、
ここまで、日本神話から歴史の始まりまで、一気にまとめてお話ししましたが、まだまだ伝えきれていない部分はたくさんあります。
深堀していくと、「なるほど~」と思うことが多々あります。七福神の話や、海幸彦山幸彦の釣り針の話も、生きる上で大事な教訓があらゆるところにちりばめられています。
ぜひ興味のある方は調べてみてください。
平成の終わり
さて、最後に少し余談ですが、今、この平成の時代が終わるタイミングでお話ししたいことがあります。
それは年号についてです。
年号は、日本の神話に沿って象徴されているともいわれます。
例えば、「昭和」という漢字は「日+召+和」に分解されます。これは「日(太陽)が召されて和する」という意味です。古事記で、太陽の神様、天照大御神(アマテラスオオミカミ)が世界を治めるということです。
昭和時代は戦争もありましたが、そのあと日本は発展し、技術・食べ物・安全面などさまざまな部分で世界トップの国になりました。そして世界一の長寿の国でもあります。
また、「明治」は「日(太陽)と月の両方が治める」という意味になります。江戸時代の鎖国が終わり、海外からたくさんの人や情報が入ってきて両方の良い部分を取り入れる流れが生まれました。
そして、「平成」は「岩戸成る(いわとなる)時代」とも解釈できます。
「岩戸成る」とは「岩となる」。神話では太陽の神様、天照大御神(アマテラスオオミカミ)が岩の中に隠れてしまった時のことを意味します。
その時は、世の中からは光が消え、暗闇に包まれてしまいます。
このようなことを神話になぞらえて考えてみると、平成の時代は、日本人の持ち味が最大限発揮できなかったと考えられます。
なぜ「平成」が「岩となる」なのかというと、「岩戸成る」の岩戸(いわと)。漢数字にすると「一(い)」「八(わ)」「十(と)」です。これは平成の「平」の字を分解すると「一」「八」「十」になるとも解釈できます。
もともとの「平成」の意味は違ったものですが、後々になって考えてみると、以上のような捉え方もできるのではないでしょうか。
天岩戸(あまのいわと)
そして、次の年号に変わる時が「岩戸開き」となります。
この「岩戸開き」とは、日本神話で天照大神が岩の中に隠れて、世の中に光がなくなり、真っ暗になった世の中から、多くの神様の力で、天照大神を外に出す話が岩戸開きです。
簡単に物語を説明すると、
天宇受賣命(アメノウズメ=女性)が岩戸の前に桶(すし飯を作るときのやつです)を伏せて踏み鳴らし、胸をさらけ出し、裳(も=着物の一種)の紐を陰部までおし下げて踊りました。すると、高天原が鳴り轟くように八百万の神が一斉に笑いました。
これを聞いた天照大神は、「自分が岩戸に篭って闇になっているのに、なぜ、アメノウズメは楽しそうに舞い、八百万の神は笑っているのか」と、天岩戸の扉を少し開けました。
そこでアメノウズメが「貴方様より貴い神が表れたので、喜んでいるのです」というと、天児屋命(あめのこやねのみこと)と太玉命(ふとだまのみこと)が天照大神に鏡を差し出します。
鏡に写る自分の姿をその貴い神だと思った天照大神が、その姿をもっとよくみようと岩戸をさらに開けると、隠れていた天手力男神(アメノタヂカラオ)がその手を取って岩戸の外へ引きずり出した。
そして世界に光が戻った。
というのが「岩戸開き」のお話です。
この話でも重要な部分が、アメノウズメが桶をひっくり返し踊り、胸をさらけ出すというところ、
これは言い替えると、今までの常識をひっくり返し新しいものを取り入れ、胸の内をちゃんと話し、本音でぶつかり合う。という意味を暗に意味しているのかと思われます。
、、、
というのが2019年の年号が変わる5月と日本神話の話と似ているのではないかという仮説です。
まあ、こんな考え方も面白いかなと(#^.^#)
そして、次回は、日本を代表するお米について、世界に誇れる素晴らしいお米を紹介したいと思います。