前回の記事の「ショ糖」「ブドウ糖」「果糖」の続きです。

「砂糖の科学」朝倉書店2006より

糖類は種類によって、甘味の強さ、甘味を感じる時間の長さ、温度による変化に違いがあります。

砂糖(=ショ糖)は温度 にかかわらず甘さがほぼ一定ですが、果糖は低温では甘く、 高温では甘さが減少します。

フルーツにも冷やして食べると甘さが増しておいしくなるものがありますよね。それは果糖の成分が多い果物だからです。

「ショ糖」

果糖とぶどう糖が一つずつ結合した化学構造を持っています。

つまり砂糖の主成分(ショ糖)= 果糖1:ブドウ糖1

ショ糖は他の糖類に比べ安定性が高く大量に用いても安心できます。

ブドウ糖

糖類の中でも最も吸収されやすく、小腸から直接吸収されるので、消化の必要がなく、すぐにエネルギーとして利用されます。甘味は砂糖の70%ですが、さわやかな甘味が特徴です。

「果糖」(フルクトース)

果糖は、果物や蜂蜜の中に多く存在する糖で、果物に多く含まれることからこのように命名されています。

天然の糖の中で最も甘い糖で、甘さは砂糖の1.2~1.7倍、すっきりしたキレのよい甘さです。

糖の中ではもっとも甘味が強いものですが,温度により甘みが変化する(温度が低くなると甘みが強くなり、温度が高くなると甘味が弱まったりして、甘味の調節が難しくなる)性質をもっています。

図のように、ショ糖の甘さを100とすると、ブドウ糖は温度によらず約60です。

これに対して果糖は約80から約140まで温度によって甘さが大きく変化し、温度が低いときに甘さが強く感じられるようになります。果物を冷やすことにより甘みが活性化されるのはこの性質によるものです。

「果糖」「ブドウ糖」の特性

アミノ酸と反応します。つまり、焼きあげたいお菓子や高温で煮詰めるシロップの材料として用いると必要以上に焦げ色が付いてしまう

まとめ

なぜ果糖は温度によって甘さが変わるのでしょうか?これは果糖の分子構造が温度によって変化するためです。

果糖には分子構造の違いからα型の果糖とβ型の果糖があります。人間はβ型の果糖に対してα型の果糖の約3倍の甘さを感じます!(゜レ゜)

果糖の温度を下げていくと、α型の果糖がβ型の果糖に置き換わっていくので、温度を下げることで、果糖全体に占めるβ型の果糖の比率が増えることが、果糖の温度を下げると甘さが強くなる理由です。

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