ケーキや玉子焼きで砂糖を使った時に出る”焼き目(焦げ)”と、カラメルなどの”焦げ”は同じ砂糖でも原理が違います。

キツネ色の「焦げ」

ケーキやクッキーが焼き上がったときにできるこんがりとしたキツネ色。これは砂糖の成分のおかげです。

焦げ色がつくのは、糖が小麦粉、牛乳、卵などに含まれるアミノ酸と反応(これをメイラード反応=褐色化という)するからです。そして、このメイラード反応が起きやすいのはショ糖ではなく転化糖の方なのです。

これまで、私の記事をがんばって読んでくれた方は「はっ!」と思い出すかもしれませんが、転化糖が入っているのは、グラニュー糖ではなく上白糖です。

転化糖の方が焦げやすい性質を持っているので、スポンジケーキを作るときに焼き色をあまりつけたくない場合は、グラニュー糖を使うといいのです。グラニュー糖を使うと上品な感じに仕上がります。

玉子焼きも同じく、上白糖を使うと焦げやすいです。ただ、上白糖にある特有のコクはグラニュー糖にはないので、好みによって使う砂糖が違います。

カラメルの「焦げ」

このカラメルのできる原理はケーキや玉子焼きの焼き色とは全く違います。砂糖に熱を加え160℃を超え、ショ糖が激しく分解したり不規則に結合したりしてできるのが「カラメル」と呼ばれる褐色物質です。

ケーキなどの焼き色の反応は転化糖の働きですが、カラメルの反応は、ショ糖が原因です

これを知らずに、「焦げやすいのは上白糖の方だから、カラメル作るのも上白糖の方がいいだろう」と思っているとちょっと混乱します。

ということは、カラメルを作るときはグラニュー糖の方が作りやすいのです。もちろん、上白糖でも大丈夫ですが、反応が少し違います。

まぁ、いろいろ実験してみてください。楽しいですし、文章で見るよりも実際やってみた方が面白いし覚えます。

第3の「焦げ」

実はもう一つ、砂糖の焦げについて忘れてはならない性質があります。それは「保水性」です。砂糖は、水を強く引き付ける性質があるのです。ケーキや玉子焼きが焦げやすい原因に「保水性」も関係しています。

そして、砂糖をたくさん加えたジャムなどが腐りにくいのもこの保水性のおかげです。

どういうことかというと、腐るというのは、食品の中で腐敗菌が増殖するためです。その菌は食品の中を自由に動き回る「自由水」とよばれる水分を利用し、繁殖しますが、砂糖が加えられた食品は、砂糖が水分を引き付けて保水しているので「自由水」が少ないのです。

だから、腐敗菌が繁殖するために使える水分が少ないので、腐りにくいのです。

砂糖の保水性は、腐敗を防止するほか、デンプンの老化防 止や油脂の酸化防止にも役立っています。

先ほどもちょっと述べましたが、この保水性はお菓子作りにも大切な役割を果たします。

砂糖が水を引き付ける性質は、

・お菓子の乾燥を防いでしっとり仕上げたり、ゼリーの離水を防いで品質を高める。

・卵白を使ったケーキでは、加熱した時に生地の空気が熱で膨らみ、その後、ゆっくり卵白のたんぱく質が固まるように砂糖を入れると、空気の膨らみが妨げられないために柔らかさを保ってくれる。

メレンゲを作る時も、、、

・卵白を泡立てる時に砂糖を入れるのも砂糖がたんぱく質(の水分)と結び付く性質がある。

・卵白を泡立てながら砂糖を入れるとその性質により砂糖と”卵白のたんぱく質”がくっつき、”なめらかさとツヤ”泡の安定度が増し、泡の立ちすぎも防ぐ。

このように、砂糖には色々な作用があります。

 

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